XI
翌日。
チャロアイトに歴史的機転が起きた。
国王・スギライト、並びに王族が所有する財産の半分を国民に明け渡すという条例が出され、我先にと押し寄せた民衆でチャロアイト宮殿は荒れに荒れていた。
身を案じ、宮殿の一室で身をひそめていたマリアライトと子供たちが見たものは、暴徒と化した民衆が住まいの宮殿を荒らしていく様だった。
「お兄様、怖いよぅ……」
「ここに居れば安心だよ」
怯えて震える妹のレピドライトに優しく声をかけるタンザナイト。
しかし、末っ子のエレスチャルが声を上げて泣き出してしまい、二人も釣られて泣き出してしまった。
窓から様子を伺っていたマリアライトはあるものを見て身を乗り出した。
蛇柄のドレス。コレクションルームで飾られていたそれを民衆が宮殿から持ち去ろうとしていた。
「お待ちなさい!それはわらわの誕生日を記念して作らせたドレスよ!?まだ一度しか袖を通していないのに!!」
今にも窓から飛び降りそうな勢いのマリアライトを近くにいた使用人達が必死に止めている。
思い出の宝が次々に奪われていく。
声を上げてもそれを止める術はなく、マリアライトは絶望に打ちひしがれる。
「あんまりだわ!どうしてわらわたちがこんな目に合わなければいけないの!?」
そう嘆くマリアライトの隣、スギライトは一言も発しないまま一連の様子を見ているだけだった。
長い前髪が肌寒い風になびく。
負傷した利き腕は、首から布を通して吊られていた。
何も言わない夫に気が付いて、マリアライトは声を荒げた。
「貴方も何も思わないの!?」
途端、スギライトの握り締められた手が勢い良く手摺に叩きつけられた。
顔を歪ませ、瞳がこれ以上ない憎しみに尖っている。
初めて目にする夫の荒々しい一面に、マリアライトは声を失う。
「アレキサンドライト……!!このままで済むと思うな……!!」
握り締められた拳が白くなって震える。
収まらない怒りと憎しみのあまり口調も変わるスギライトは、一人アレキサンドライトに復讐を誓った。
【ロイヤルゲームのルール:9】
『七国王が敗北、もしくは死亡した場合、死神は新たな七国王を立てる』
新たな七国王の出現により、新たな歴史が作られる




