IV
連れて来られた地下牢。
そこで胸に焼印を押された。
奴隷の烙印。
そして、3286という数字。
赤く燃える鉄が俺の肌に触れると、肉が焼ける匂いが辺りに充満した。
あまりの痛みに喉が潰れるくらい叫んだ。
この焼印のせいで感染症を引き起こし、しばらく高熱で意識が飛んでしまった。
意識が戻ったのは奴隷の共同部屋とされる牢獄の中だった。
その牢獄には自分と同じくらいの少年たちがいた。
「君、大丈夫?」
「三日前にここに連れてこられたんだよ」
「胸、痛くない?」
「お腹空いてるか?もうすぐ飯の時間だから我慢しろよ」
皆、胸に烙印が押され、鉄の首輪がはめられていた。
俺より若い番号だった彼らは、もっと前に連れて来られたんだろう。
皆、境遇は違っていた。
いきなり拉致された者。
寝ていたら襲われて連れて来られた者。
村を焼かれ、そのまま捕まってしまった者。
家族と離れ離れになった者。
家族という言葉に姉さんを思い出した。
だが、鉄格子で張り巡らされたこの牢獄から出るのは不可能だった。
俺は姉さんを置いて捕まってしまった。
奴隷になった事よりも、その事の方がショックだった。
それからの毎日は過酷だった。
食物に困らなくなった代わりに、闘技場の客寄せとなる剣闘士になるべく、連日剣の稽古をやらされた。
闘える体力、筋力と並行に、何処を狙えば一撃で相手を仕留める事ができるのか、戦闘の知識も身に付いた。
稽古の途中、反抗したり手加減をしていると容赦なく鞭が飛んだ。
俺の体にも消えない跡が幾つも残っている。
年を重ね、剣闘士として使える人材になると、もっと過酷だった。
多くの観客が見る中、見世物として同じ牢の少年と闘わされた。
俺は、生きるために彼らを殺した。
観客から奴隷の管理番号でなく、名前で歓声を浴びるようになる頃、牢獄には俺一人だけになっていた。
何のために生きているんだろうと問うた事もあった。
だが、このまま死んで行くのは嫌だった。
姉さんにもう一度会えるのなら。
その僅かな希望だけが俺を支えた。




