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I
暖かい朝の優しい光。
その光が眩しくてゆっくりと瞼を持ち上げる。
見慣れた自室。
いつもと変わらない風景だった。
時計を見ると針は起きるにはほんの少し早い時刻を差していた。
時間が許す限りもう少しだけでも、と再度瞼を閉じたが、ふと感じた違和感にアレキサンドライトはその深緑の瞳を見開いた。
何時もは閉じられているバルコニーの扉が開いて、白いカーテンが風に揺れていた。
枕元にある、自分とは違うぽかぽかと暖かい熱。
柔らかな毛並みが手に触れた。
ゴロゴロと聞き慣れない音に頭を動かす。
生暖かい湿った何かに頬を舐められた。
ザラついた感覚に思わず驚いてその方を見る。
白い毛並みの猫がこちらをじっと見つめていた。
縦長の瞳孔と目が合う。
「にゃー」
アレキサンドライトの悲鳴が城中に響き渡った。




