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綺石のクラウン  作者: もももか
第六章 『トパーズ』
60/145

XIV

自室のベッドの上。

トパーズは三角に足を折り、気力もなくただぼうっとしていた。

いつもは元気が有り余りすぎていたずらをしたり、勉強を抜け出したり、とにかく世話の焼けるトパーズ。

そんな彼がここ数ヶ月、ずっと落ち込んでいたのは周知にあった。

やっと元気が戻ってきたと思っていた矢先、この落ち込み様に家臣らもどうしたものかと様子を伺っていた。

今は自分たちが出て行くより、自然と落ち着くのを待とうと見守っていた扉を閉めた。

静かな部屋。

窓に何かが当たる音がして、目を向けた。

何もなかった。

ため息を吐いて視線を戻すと、また何かが当たる音がした。

小石が窓を叩く小さな音。

気になって窓を開け、ベランダの外を見る。

自分を呼ぶ小さな声が聞こえ、下を見た。

驚いた。

木に登ったシトリンがいた。

運動が得意でない彼に、自分が教えたやり方を使って。

「遊びに行こう」

久々のお誘いに、トパーズに笑顔が戻った。

知り尽くした街の中を走る。

大通りだと人が多いから、それを避けるように橋を渡って裏路地を行く。

楓の木々の間をすり抜ける。

「どこ行くんだ?」

「着いてからのお楽しみだよ!」

先を行くシトリンは楽しそうだった。

トパーズには気になる点があった。

それを口に出したくはなかったが、自分とシトリンが遊ぶのなら聞いておかなければならないと思い、意を決し尋ねた。

「なぁ、お前のお父さん……」

「大丈夫!」

聞かれるとわかっていたのか、先にシトリンが言った。

「父さん、今他所の街に行ってるから。しばらく街で誰も演説しないよ!」

トパーズは笑顔で頷いた。

着いたのはとある家だった。

「さ、入って!」

躊躇うトパーズだったが、背中を押されて無理やり家の中に入れられてしまった。

キッチンで知らない女性がいた。

シトリンの母親だ。

「あら、いらっしゃい。シトリンのお友達?」

「そうだよ」

「狭い家だけどゆっくりして行ってね」

座らされたテーブル。

甘い匂いと共に出されたのは自分の大好物だった。

「パンケーキだぁ!」

「母さんのパンケーキ、すっごく美味いんだ!トパーズも食べてみてよ!」

「あら?王子様と同じ名前なのね。トパーズ君、シロップ何がいい?」

「オレはちみつ!」

「じゃあボクメープル!」

たっぷりとシロップがかけられたパンケーキを、二人で頬張る。

「おいひー!」

「だろ?」

「沢山食べてね」

美味しい美味しいと二人が食べてくれるので、シトリンの母も笑いながらおかわりを焼く。

違うシロップの味も試したくて、皿を交換し、数口食べてからトパーズはシトリンに尋ねた。

「なぁ、シトリン」

「何?」

「お前さ、こぉ〜んなでっかいパンケーキに、こぉ〜んないっぱいシロップ掛けて食べてみたくない?」

「う〜ん……素敵だけど、ボクはいいや」

「なんで?」

「なんでって……そんなにいっぱい食べれないよ。ボクは今食べてるくらいで十分かな」

「そっか。それもそうだな」

「なんでそんな事聞くの?」

「内緒〜」

「ヘンなの」

二人で食べた小さなパンケーキは、何よりも美味しかった。

【ロイヤルゲームのルール:6】

『キャスリングは夜十二時を原則とする』

キャスリング後六時間以内に決闘場に現れない場合、戦意放棄とみなし該当の七国王ヘプタークの負けとなる

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