XVII
豪華なドレッサーの前で機嫌よくパックをするマリアライト。
目と鼻の穴、口元以外、真っ白なクリームを塗りたくりながら鼻歌を歌う。
「あれ?今日はスギライトいないんだな?」
寝室に現れた死神・ベルゼブブはドレッサーの鏡ごしにマリアライトに尋ねた。
「そうよ。今夜はロイヤルゲームですもの」
「そんな話聞いてないんだな」
「えぇ。貴方には言わなかったもの」
「酷いんだな。仲間外れとか陰湿なんだな」
「でも今夜のあの人は戦わないわ。ラズライトが終わるのを見届けに行っただけ」
「どういう事なんだな?」
マリアライトは楽しげに一つの鍵を見せた。
「何なんだな?それ」
「『いばら姫』の塔の鍵。特注で作らせましたの。オホホホホ」
「何でそんなの作ったんだな?」
「飲み込みが悪いわね。あの小娘を戦わせるのよ」
なるほどとベルゼブブは拳をポンと叩いた。
「アレキサンドライトがあんな状況ならアイオライトは必ずゲームに参戦する。放って置いても負けるでしょうけど、念には念を入れないと。あの人の助っ人だって言ったら疑われずに決闘場に送り込めるでしょう?それに邪魔な小娘も死んで、わらわにとって一石二鳥ですわ」
「悪質すぎて思いつかないんだな」
「可愛い妹が目の前で死んだら、さすがのアイオライトも立ち直れないでしょう?ラピスラズリもベッドから離れられずもう長くない。自分の手を汚さず、確実にラズライトが落ちる勝算ですわ」
「えげつなすぎて寒気がしてきたんだな」
「『貴方のせいで陛下は負けた。このまま黙って隠れているつもりかしら』って煽れば簡単に乗って来たわ。やっぱり、刺激のない田舎で過ごしていると頭も空っぽになってしまうのね。怖いわ〜」
「残酷すぎて震えが止まらないんだな」
マリアライトは覆っていた白いパックをペリリと剥がし、自慢の美肌の弾力を確かめながら勝ち誇った顔で言ってのけた。
「覚えておきなさい、死神。世界を制する男は、どれだけ『良い女』がいるかで決まるのよ」




