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綺石のクラウン  作者: もももか
第十二章 『オニキス』
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XVI

「スギライト」

「何でございまし?」

「今夜は私と貴様が協力し合うタッグゲームでいいのだな?」

「はい。その通りでございまし」

「では……後ろにいるのは誰だ?」

青空が広がる決闘場。

先に足を踏み入れていたアイオライトは隣のスギライトに訪ねた。

視線を向けると、白くて長いローブで姿を隠している人物が一人。

近くに控える死神・サタンにお前の仲間かと訪ねたが首を降られた。

「ワタクシのオトモダチです。今夜のロイヤルゲームを聞いて応援に駆けつけてくださいました」

「部外者は決闘場に立ち入れないはずだろう。何者だ?」

「それはワタクシの口からは申し上げれません。あの方から口止めされていますので」

チラリと視線を向けると白いローブの人物は微動だにせず、その場に立ったままでいる。

アイオライトは辛抱できず、その人物に声をかける。

「貴様、何者だ?」

「………」

「ここは部外者以外立ち入れないはずだ。どうしてここにいる?」

「………」

「黙っていないで何とか言ったらどうだ?」

「………」

「貴様!好い加減にしろ!!」

何の返事も返さない白いローブの人物にアイオライトがとうとう声を荒げた。

その時、前方の扉が開かれた。

現れたのは七国王ヘプタークのプラチナ。生贄サクリファイスのアメジスト。死神のレヴィアタン。そして、黒い軍服に身を包んだアレキサンドライトだった。

白いローブの人物が微かに動いた。

「二対二でゲームをして欲しいと言った腰抜けはお前か?アイオライト」

足を踏み入れるなりプラチナは煽るように尋ねた。

アレキサンドライトもまさかの人物に驚いて目を見開いた。

「一人で戦うのが怖くて仲間を呼んだか。何処までも面倒な男だ」

「サンドライトは西国同盟になくてはならない存在だ。アレキサンドライトは意地でも返して貰う」

エストックを鞘からすらりと抜き、切っ先を向ける。

「アメジスト、私が相手だ」

かつて自分の部下だったアメジスト。まさかこんな形で再会するとは誰が思っただろう。

名を呼ばれ、数歩歩み寄るとアメジストは剣に手をかける。

ゆっくりと鞘から抜き、アイオライトと対峙する。

「……今でも私が憎いですか?殿下」

混血の身でありながらラズライト精鋭の聖十字軍に属して居た事。

妹のルーベライトと恋に落ちた事。

アイオライトにとって、自分の全てが許せなかったのだろう。

だからロイヤルゲームの駒として自分を選んだ。

アメジストは全てわかっていた。

「貴様の犠牲でラズライトは救われた。そのことには感謝している。だが、ラズライトに危害を加える存在を、私は見過ごすわけにはいかない。貴様をロイヤルゲームの駒にしたのは私だ。その貴様をここで止める……それが私に課せられた責任だ」

「なら、そこのスカした豚野郎の相手は我か」

カトラスをスラリと抜き、プラチナは切っ先をスギライトに向けた。

「我は今機嫌が悪い。そのイラつく顔、切り刻んで豚の餌にしてやろう」

「随分と物騒な方ですね。レディには優しく接するのが紳士の務めですが、これでは致し方ありませんね」

スギライトも腰のレイピアを抜き、お手柔らかにと構えた。

「……それでは、今からロイヤルゲームを執り行う」

ゆっくりと挙げられた死神・サタンの腕。

その腕が振り下ろされる前に、白いローブの人物が動いた。

「待ってください!」

両者の前に立つ。

聞き慣れた愛らしい声。

脱ぎ捨てられた白いローブから覗く姿。

金色の長くて綺麗な巻き髪、大理石のような白い肌、花のように色づく頬にふっくらとした唇。

何より美しい、薔薇色の瞳。

「……!ルーベ……!?」

見開かれたアレキサンドライトの瞳に写ったのは、剣を携え、着慣れない女性用の鎧を身に纏ったルーベライトだった。

同様に驚くアメジスト。

アイオライトもまさかの事態に驚いて声を上げた。

「そんな……!何故ルーベがここに!?」

「お兄様、黙っていて申し訳ありません。ですが、どうか許してください」

ルーベライトは慣れない手でもたつきながらも剣を抜き、プラチナに向けた。

「プラチナ陛下、私と戦ってください」

「何だと?」

「私が勝った暁にはアレクを、サンドライト王を返してください!」

まさかの発言にアレキサンドライトは言葉を失う。

皆が驚愕する中、一人スギライトが意味を含んだ笑みを浮かべる。

「貴様!どういう事だ!?何故ルーベがここにいる!?何故ルーベが戦わなければならんのだ!?」

すぐさまスギライトの胸ぐらを掴み、今にも噛みつきそうな勢いでアイオライトが吠える。

「マドモアゼルがそうしたいと仰っていたそうで。ワタクシはそれをお手伝いしただけでございまし」

全てが気に入らないのか、プラチナの表情はさらに怒りで歪んでいく。

「どうするの、プラチナ?貴方さえ許せばあの子と戦えるわよ」

レヴィアタンは楽しそうに言うと、プラチナの眉が微かに動いた。

そして弧を描く唇。

「……いいだろう。遊んでやろう」

指を曲げ挑発する姿。

顔に余裕の笑みがこぼれる。

「ですって、サタン」

「了承した」

死神のやり取りを聞き、アイオライトは狼狽する。

「待て!ゲームを申し込んだのは私だ!ルーベは関係ない!!」

「相手が了承している。代わりを立てれるのは一度だけだ。それを拒めば、其方の負けだ」

「そんなふざけたルール、認められるか!」

「それがロイヤルゲームだ」

そう死神・サタンが言うと、ロイヤルゲームを開始する合図である腕を振り下ろした。

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