XIII
アレキサンドライトが目を覚ますと、そこは以前連れてこられたアメジストの部屋だった。
光の差さない、塵と埃で充満した物置部屋。
頭を強く打ったせいで、まだ世界が回っているような浮遊間がある。
乱暴に床に寝かせられていたせいか、体が痛む。
それどころか、逃げれないように両手を背で縛られ、足にも枷が付けられ、身動きが取れないでいた。
何とか起き上がろうとすると、アメジストに殴られた腹部が痛み、力が入らない。
寝返りを打つように体を捩らせるが、腹に力が入らないせいか中途半端な体勢になってしまう。
屈辱的な事もあるが、何もできない今の自分の無力さに腹が立ち、アレキサンドライトは思わず舌打ちした。
それでも何とか体勢を変えようと体を動かしていると、上の戸棚から何かが落ちてきた。
その際に多くの埃が舞い、咳き込んだ。
落ちてきたのは、初めてこの部屋に連れてこられた際にも見た、とある一家の肖像画だった。
どうしてそんなものがこの部屋に置いてあるのだろう。
気になってその絵を見つめる。
黒髪に雪のような白い肌……黒い瞳と高貴な身なりでシャーマナイトの王族のものだろうか。
そこまで考えた時、以前アイオライトと話した事を思い出した。
『世継だった王子も、王妃も、居住していた城ごと燃やされ、証拠も残っていない。唯一生き残ったと言われていた王女も、今の女王の体制に切り替わる際に殺されたと聞く』
権力争いに負けた先々代の王。そして、その一家の構成。
合点がいく。
この絵の王様が先々代のシャーマナイト王なら、幼い頃に会った事がある。
王女の名は何と言っただろう?
教えてくれたその名が、思い出せない。
打ち付けた頭が回って気持ちが悪い。
込み上げる吐き気に目を閉じてやり過ごす。
緊張感から開放されたせいか、自然とやってきた微睡に身を任せた。




