XII
外で待っていた馬車の戸を開けると、最愛のペットが鼻を鳴らして出迎えた。
「ぷぎー」
「ピーちゃぁ〜ん!可愛いでちゅね〜!良い子にちてまちたか〜?」
破顔しながら抱き上げ、頬ずりするスギライト。
思う存分なでなでした後、ぷぎーと一鳴きする黒い子豚の頭にちゅっとキスをしてやる。
「お帰りなさい。お話は纏まりまして?」
豪華絢爛の馬車の中、一人座るマリアライトは優雅に扇を仰ぎながらスギライトに尋ねた。
「えぇ。アイオライト様も今回ばかりは一人でどうする事もできないのでしょう。じっくり話を聞いていただけました」
意味を含んだ物言いに、マリアライトは口角を上げる。
馬車に乗り込み、茶受けとしてもらってきたクッキーを差し出すと、黒豚のピーちゃんはガツガツと食べ始めた。
それを満足気に眺めながら尋ねた。
「お前の方はどうでした?」
「えぇ。楽しくお話させていただきました。居ても立ってもいられないのは皆様同じのようですわ」
「果たして、上手く乗ってくるでしょうか?」
「あの小娘の事ですもの。きっとわらわの言葉を気にしてるに違いありませんわ」
「流石は我が妻、良く出来たレディですね」
「当然ですわ!オーッホホホ!」
傍にあったワインボトルを開け、グラスに注いでやる。
それをスギライトに渡すと、彼は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「チャロアイトの勝利に」
「乾杯」
二つのワイングラスがカチリと鳴った。




