VI
会議室に集められた元老院、そして軍の幹部たちを前にアレキサンドライトはシャーマナイトと和平協定を結んだ事を伝えた。
「陛下、それは本当ですか!?」
「今一度、お考え直した方が……」
「悪いが、もう決めた事なんだ。シャーマナイトのプラチナとはもうサインも交わした。近い内に式の話も進めて行く。以後の話はそれからになる」
ざわめきが起こる室内、立ち上がりアレキサンドライトを見据える人物がいた。
セラフィナイトだった。
「私は納得できません」
「決定権があるのは私だ」
「歴代の王が守ってきたこのサンドライトを、陛下は敵国に明け渡すと?」
「シャーマナイトはもう敵じゃない。我らの同胞だ」
「陛下の真の同胞は我らです。誰にも何も言わず、それで皆が納得するとお思いなのですか?」
セラフィナイトと同調するかのように会議室の皆が口々にアレキサンドライトに向い声を張る。
「我らは祖国の為に戦ってきたんです!」
「これでは降伏したも同然です!」
「戦で死んでいった者たちが浮かばれません!」
何処か遠くの音のように聞こえるそれに、アレキサンドライトの反応は変わる事はなかった。
今一度、セラフィナイトは声を張る。
「皆が笑える世界を作るのが、陛下の夢ではなかったのですか!?」
静まり返る室内。
「私は陛下が幼い頃から付き従ってきました!長きに渡る戦も、祖国の繁栄と平和を願い戦ってきました!貴方を売国奴に仕立てるために今まで尽くしてきたのではありません!!」
アレキサンドライトはゆっくりと口を開く。
「プラチナから教えられた。国を治める者にとって私情は二の次だと。私にはこの戦を終焉に導ける力がない。自分に力がないばかりに多くの犠牲が出る。私たちが結ばれる事でそれが回避できるのなら、私はプラチナに従う」
「そんな戯言を本気にしてらっしゃるのですか!?」
「もう決めた事だ!」
机に手を付き、アレキサンドライトは声を上げた。
「力のない者は従うしかない!それが現実なんだ!」
「そんな世界が嫌で剣を取って戦ってきたのではないのですか!?東国の圧力に屈しないと!弱き立場の者を第一に考えるのが、陛下の信念ではなかったのですか!?」
「私の言う事が聞けないのか!?」
一同が静まり返る中、アレキサンドライトは席を立つ。
「……すまない。もう決めた事なんだ」
多くの制止を聞かず、アレキサンドライトは会議室を後にする。
同胞だった者たちの目を見るのが怖くて、最後まで俯いたままだった。




