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綺石のクラウン  作者: もももか
第十二章 『オニキス』
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V

同じ頃、サンドライト城に戻ってきたルーベライト。

教会の扉から戻るなり、ずっとその場に立ち尽くしていた。

「あ〜ぁ、アレク様の連勝もストップか〜。もうちょいいけると思ったんだけどな〜」

死神・ルシファーが呑気に言う言葉にも関心がないのか、ルーベライトは黙っていた。

目に付いた長椅子に腰掛ける。

そのまま動く気配がない事にルシファーは尋ねる。

「あれ?帰んないの?」

「ここで待ちます」

「アレク様を?シャーマナイトに行っちゃったし帰って来ないんじゃね?もう遅いし部屋に戻んなよ?」

ルーベライトは答えなかった。

途中、何度もルシファーに無駄だと言われても、黙って扉が再び開かれるのを待っていた。

夜が明ける頃、諦めて姿を消したルシファーだったが、ルーベライトはずっとその場から動こうとしなかった。

どれくらいそうしていただろうか。

朝を迎えた。

昨晩から降り続く雨はまだ止まず、相変わらず雨音を響かせていた。

睡魔と闘いながら、こくり、こくりと頭を上下させていたルーベライト。

鍵が開く重い音で目が覚めた。

ゆっくりと開かれる扉。

アレキサンドライトが現れた。

顔を見て思わず立ち上がり、駆け寄った。

アレキサンドライトも彼女がいた事に驚いている様子だった。

名を呼ぼうとして声を詰まらせた。

『君に、その名で呼んで欲しくない』

確かに言われた拒絶の言葉。

帰りを待っていたのに、どう言葉をかければいいのか、ルーベライトにはわからなかった。

「……ずっと、待っていたのか?」

彼の言葉に小さく頷いた。

アレキサンドライトが身を包んでいる黒い軍服を見る。

胸元にシャーマナイトの蛇の国章が光っていた。

「あの、お怪我は?」

「大丈夫だ。簡単だが止血はしてもらった」

「そう、ですか」

見慣れない黒い軍服。

投げかけてくれていた笑顔は、もう無い。

目の前のアレキサンドライトが、別人のように思えた。

「あの、」

言い掛けた時だった。

朝の礼拝にやってきた元老院の数人がアレキサンドライトの存在に気付き、声を掛けた。

「陛下、こんな朝早くにいかがしました?」

「それにその服、どうされました?」

胸に光る蛇の国章を見て、皆が目を見開いた。

「皆に話したい事がある。至急集めてくれないか」

「は、はい!」

言われてすぐに元老院の大老たちは教会を後にした。

それにアレキサンドライトも続いた。

「すまない。急いでいるんだ」

ルーベライトの顔を見ないまま、その場を後にする。

ルーベライトは最後まで何かを言うこともなく、その場に立ち尽くしていた。

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