I
まだ夜空に明星が輝く前。
真夜中の帳に黒い影が舞い降りる。
一糸纏わぬ褐色の女が横たわる隣、上着一枚を簡単に羽織り煙管に火を付ける。
「そうか……あの野郎、いい気味だ」
「カーネリアンさん、これはチャンスですよ!」
紫煙を燻らせながら、アンデシン領主・カーネリアンは死神・アスモデウスの言葉にニヤリと口角が上がる。
同じ刻、東国連合・フローライト城にも死神が舞い降りる。
窓辺に現れた死神・マンモンの言葉を聞き、フローライト国王・ジェダイトは耳を疑った。
「それは誠か?」
驚くジェダイトの前、マンモンは静かに頷いた。
また同じ刻、中立国・アラゴナイトにも黒い影が舞い降りた。
黒い毛並みの良いクマのぬいぐるみ。
愛らしい姿と仕草で事を伝えると、王子・トパーズは眠い目を擦りながら不機嫌に言った。
「お前、また嘘ついてるんじゃないだろうな?」
「失敬な!私がいつ坊ちゃんに嘘をついたんです?」
死神・ベルフェゴールは欠伸をかみ殺すトパーズに必死になって事を伝えた。
さらに同刻、西国同盟・チャロアイトにも死神は舞い降りた。
死神・ベルゼブブの言葉を寝室で聞いた国王・スギライトは込み上げる笑みを隠さずにいられなかった。
「やはり、優しすぎるのも問題がおありのようで」
「天は貴方を見捨てていない。この機会、生かさないわけにはいかないわ」
隣のマリアライトが勝ち誇ったように告げ、スギライトの目にも野心の火が灯る。
そして、西国同盟・ラズライトにも死神が舞い降りた。
徹夜で公務をこなす王子・アイオライト。その彼に一息ついてもらおうと水を持ってきた妻のセレスタイト。
二人は死神・サタンから告げられた言葉に驚愕した。
ショックのあまり、セレスタイトは前のめりになってサタンに問い詰める。
「そ、そんな……!何かの間違いじゃないんですか!?」
アイオライトは持っていたグラスを床に落としてしまった。
ガラスが粉々に砕け、床に散らばる。
「アレクが……負けた……!?」
七国王の一人、サンドライト国王・アレキサンドライト。
彼がロイヤルゲームで敗北したという話は、夜明けを迎える前に全ての七国王へと知らされた。




