5話
お母様に連れられて、パーティーに着て行く為のドレス(そこまで派手じゃない)を買いに来ていましたけど、お母様が選んでくれた数着のドレスから私好みのものを選ぶだけでしたわ。もっと見て回りたかったのだけれど、すぐにヴァイオリンのお稽古のご予定がありましたからそれは無理になってしまったのよね...近づくコンクールの為にも練習しなくてはいけませんし、仕方ないと言えば仕方ないのですけれど
買ったドレスは、私の色素の薄い茶色い髪の毛に似合うように赤等のように派手な色にはしませんでした。と言いましても、赤色がちらほらと入っているドレスですけれど...。薔薇柄の模様がなんとも言えず綺麗。もちろん薔薇の色は赤、お腹周りに巻く真っ赤なドレスも印象的。
多分鈴子ちゃんは、ドレスではなく着物で来るんでしょうね。栞ちゃんは大人っぽい、黒を特徴的にしていると思いますわ。なんとなく、想像できるもの。アクセサリーは持っているもので似合うのがありましたから買いませんでしたわ。
パーティーは、今日からちょうど2週間後の月曜日でしたわね。そのうちにプレゼントも買っておかないといけませんから、予定が少し厳しいかもしれない。西園寺様が好きそうなものはあまり知りませんから、似合いそうなものにしておきましょう。プレゼントはやはり自分の手で買いに行くのが良いと思いますから....と予定表を見ながら考えていると
「麗奈様?どうかしましたか?」
一緒におしゃべりしていた栞ちゃんに声を掛けられた。
もちろん口調でお察しの通り、今は既に学院にいますわ。私、栞ちゃん、鈴子ちゃんは同じクラス。それは当然のことなのですけれど....。どう言うことかといいますと、白鳥女学院のクラスは6クラスありまして、4,5組が地位が低い会社の娘様方、2,3組が中にいる華族や会社の娘様方、6組が特待生、学費を半額にしてもらっている方などが入る所で、私達1組の方々は有名な華族や会社の娘。以前男子の取り巻きの方々もいるといいましたけど、近くにある私立の方々ですわ。
なので、1組の子たちは1年生からの付き合いですからそれなりの仲。休み時間になりますと、他のクラスの方たちが押し寄せてきますけど、特別に仲がいい取り巻きの方たちが1組の子たち。1組の取り巻き筆頭は学級委員長である桐嶋薫子ちゃんになっていますわ、そこら辺に居る一般の小学生と同じような喋り方でとてもお喋りが大好きな性格をお持ちで、鈴子ちゃんと気が合っていたり
「2週後のことですわ。プレゼントどうしましょうかと」
「!?麗奈様、西園寺様の誕生日会に行くの?」
「ええ。...あら?薫子ちゃんも招待されているんでしょう?」
「招待されてたけどねー、用事があっていけなくってさ。本当は行きたかったのにぃ....皆のドレス姿見たかった....」
「はい?」
最後のは聞き取りにくかったのですけれど、取りあえずいけないことは分かりましたわ。確かクラスでも何人かチラホラと行く方がいらっしゃったような。1組の方々は一応全員呼ばれてるはずですから、薫子ちゃんのように行けない人がいてもほとんどがいるということになりますわ。
1組は人数が他のクラスに比べて格段に少ないですから、20人程度。で薫子ちゃんと他数人が行けないとして最低では10人以上は来ますわよね....?
すると、薫子ちゃんの背中からひょこっと顔を出した1組の副委員長の一条朱莉ちゃん。小柄で可愛いから皆が一条ちゃんと呼んでいてそれがもう学年では定着してきてる。特に、クラスの場所が離れている4,5,6組では薫子ちゃんと一条ちゃんはかなり有名人らしい。一条ちゃん自身が言っていた、噂話とかが見た目に反して大好きらしい。
ちなみに今、栞ちゃんが私と同じような口調なのは休み時間だから。クラス全員が私たちの本当を知っているからより仲がいいのだけれど、知らない他のクラスの方たちが休み時間に来た時聞かれてしまっていたら、元も子もなくなってしまう
「麗奈ちゃん、今のは無視していいよ。薫子ちゃんはおかしいから!」
ほわわん、とした笑顔で若干薫子ちゃんに毒針を投げつけた一条ちゃんは薫子ちゃんの背中から隣へと出てきて首をコテン、と動かす。小柄すぎて学年が違うようにも見えるのは仕方ない、仕方ないわよね
「一条ちゃんもパーティー行くんでしょ、写真撮っといてね。よろしく。後その時の様子とか仕草とかもう全て教えてね、よろしく頼むよ!」
「分かってるよぉ~、薫子ちゃん」
何のお話をしているのかは分かりませんけれど、2人はやっぱり仲が良いらしく話がどんどん弾んでいっています。向こうとこっちに分かれてまた最初の人数に戻りますと、ガールズトークに浸っていきましたわ。やっぱり鈴子ちゃんはパーティに着物で行くらしく、栞ちゃんもいつも通りな感じと言っていた。そして私もなぜかドレスを予想されていて見事に当たりましたの。長年一緒に居たらそれは趣味も分かってくるのね。
その休み時間は他のクラスの方々が来ることなく、終わりましたわ。
チャイムがなると、それぞれの席に座り、次の授業の用意をしだした皆。
次の休み時間に聞いたことですけれど、他の人達もパーティーに少しは行くらしくて一分もいけないのは薫子ちゃんだけとなっていました。