4話
その日からいっさい山吹学園のお話は出なく、やっぱり気を使わせてしまっています。でもあのあとさすがに悪く思った私は、学園の前なら....と恐る恐る提案してみました。するとやっぱり行きたかったらしく鈴子ちゃんは目をキラキラさせながら「いいの!?」と私に詰め寄ってきましたの。栞ちゃんのお家の執事さんにお願いいたしまして、3人で車に乗りますと山吹学園前まで連れて行ってもらいましたわ。今は夏ですから、車にあったクーラーをつけて車を走らせているうちに日焼け止めを3人で塗りましたわ。シミが出来ると嫌ですもの。
さすがに学園前は目立ちますから、その近くに止めてもらい、徒歩で歩きますの。日ごろから運動をしてないってわけじゃありませんから、これくらいなんてことありませんのよ?お嬢様を舐めてもらうと困りますわよ。
「.......思ってたより普通かも...ね、麗奈ちゃん」
「そうね、私たちの学院と一緒くらいの大きさかしら?」
「やだぁ!麗奈ちゃん、白鳥女学院が山吹学園と同格な訳ないよ!ウチのが警備ももーっとしっかりしてるし、大きいもん」
最初はひっそりと、今度は少し大きな声で言った。
.....鈴子ちゃん、それを大きな声で言ってしまってはいけませんわよ。周りのお姉様、お兄様方に聞こえてますわ。一斉に睨みつけられてさすがに私も引いてしまいましたけれど、この家がからのおかげの様ですわ、私たちの顔を見たらすぐに顔を背けましたわ。
さあ、帰ろうと2人の手を掴んで栞ちゃんの家の車がある場所へと戻ろうとした時___
「伊集院麗奈......」
ポツリ、と呟かれた言葉を私は拾った。
後ろを振り返ると私と同じような金色の髪の色をした女の人が立っていた。制服から見るにして、この高校の生徒でしょうか。振り返った私の顔を見て、顔色を蒼白に変えたそのお方。
栞ちゃんと鈴子ちゃん、どちらともそれを聞いていましたのかそのお方を私同様ジーッと見つめていた。2人にも見られて、さらに顔を蒼くさせる。あら?このお方の顔、どこかで見たことがありますわ。
と、思い出した私は2人の手を離し、2人よりも一歩前に出ると柔らかな笑みを作りながらそのお方に話しかける
「西園寺香恋様ですわよね?先程仰った様に、私伊集院麗奈ですわ」
「は、はひぃ!....私が西園寺香恋ですわ」
何故だか固まってしまった西園寺様に私はどうすることも出来ず、ただその場にじっと立ちながらニッコリ笑っていた。後ろの2人からは雰囲気が変わったから私と同じように笑っているのでしょうね、もちろん学院でやるような笑みを。
西園寺香恋様。
私と同じく日本三大会社のご令嬢。ここ、私立山吹学園に通っているみたいだわ。私達と同じ白鳥女学院へとご入学なさってもよかったのに.....
そういえば、と思い出した私はまだ西園寺様が固まっていらっしゃるのにもかかわらず、突如話を変えた
「私達、今度行われる西園寺様のお誕生日パーティーへと行かせてもらうことになりましたわ。及びいただいて有難うございますわ」
右後ろで栞ちゃんがそう言った。どうやら栞ちゃん達も及ばれされているらしいんですわね、てっきり私だけかと思っていました。これなら3人で行けそうね
「それでは、私達はこれで___」
鈴子ちゃんが言いきって、私達は車の方へと行こうとした時。
「ちょ、ちょっと待って!!」
突如呼び止められてしまった
「......?」
少し先ほどまでの表情を崩してしまいながらも振り返ってみる。
まだ何か言うことがあるのでしょうか、それよりも西園寺様の名前、妹のノートに書いていたような気がしますわ。
西園寺様が口を開きかけた時、西園寺様の後ろの方から山吹学園の生徒と思われる男子生徒の方が走ってこられました。私はこの顔を知っていますわ、私たちが最も嫌う生徒会の....
振り返るとお二人共「あ」という顔をしていたのを見ました、だからきっとお二人とも誰か気付いているんでしょうね。私達は同時に頷くと、少し早足でその場を去ることにしましたわ。
急いで車に乗り込むと、私たちはそう急に鈴子ちゃんの家へと戻ることにしましたの。それからまたお喋りが始まりまりました
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「どうかしましたか?」
「い、いえ......それよりもどうしてここに?」
「一緒に帰りたいなと思ったので」
「え」
3人が去った後のお話
少し短め。
伊集院ちゃんが言う私は全て「わたくし」です