1話
初の連載小説です。
誤字脱字見つけつつも頑張っていきますんで、どうぞよろしくお願いします。感想等お待ちしております
待ち合わせの時間から数分。
ふわふわとした可愛らしい服を着てきた、可愛い顔立ちをする少女。その少女の名は美香。買いたいものがあるらしいので、デパートに行きたいとぼやいていたのを拾い、一緒に行くことにした。もちろん可愛い美香の周りに変な虫がつかないように、だ。本当は行かなくても欲しいものを取り寄せてあげたらよかったのだが、頑として譲らなかった美香。俺の家の家柄からしてそんなこと容易い。
渋々頷いたのが確か数日前。
理由を聞くと、なんでも友人である西園寺華恋の誕生日プレゼントを買いに行きたいのだと。西園寺香恋というと、かなりうちの学校じゃ有名だ。もちろん俺もだが
見た目はキツイ美人だが、かなり優しいんだとか。あまり話さないから分からん。アイツは顔とは違い、我儘お嬢様ではないらしい。
有名な理由の一つはその顔立ちからでもある、二つ目はその家柄。俺たちが通っている学校はかなりのお金持ち高校。つまり私立。その中でも俺達生徒会、そして西園寺華恋は有名な会社の社長の息子娘だ。三つ目は女子で最大権力を持ち合わせているから。取り巻きは顔を覚えるのが面倒なほどいる。三つ目の場合女子の話だが、一応俺達もその権力は分かっている
で、何故そんな西園寺華恋と美香が仲がいいのか。
そこは俺も詳しく分かってない、ただ助けてもらったとしか。
なんとなーくだが、俺達生徒会を避けているように見える
そして、早くもそんな楽しい一日は幕を閉じ
......ようとしていた。
少し目を離したうちに、美香は見知らぬ男に絡まれていた。
ざわざわ、と群がる傍観者とも呼べる野次馬共が邪魔で近づけない。たった少しだけでこれほど引きつけるのか、美香は凄いな。とか思ってる場合ではなく!
(助けに行かねぇと.....。ていうか俺も注目されつつないか?主に女だが)
顔の整いは、誰にも負けるような気はしない。それくらい整ってるという自覚はある。もしかしたらこの野次馬、俺のせいでもあったりしないか?心なしか女の方が多いような気もするんだが。
多分ここで騒ぎの中心に入っていこうとすると、間違いなく人に押しつぶされそうな雰囲気だ。さてどうする?
と、ここでウジウジ考えてる暇はない。
男の汚い腕が美香の腕に触れたではないか!!美香は俺を探しているらしく、キョロキョロと辺りを見回しつつも抵抗している。助けに行かなければ、今すぐにでもこの群がる野次馬を蹴散らせてでも
「邪魔だ!」
そういいながら野次馬の中を通って、野次馬の最前列ともいえる場所にたどりつくことが出来た。やっと助けれる、そう思って中心に走っていこうとすると、場の異常さに気がついた。
美香はすでに男から離れていたのか、俺を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。そう、そこまではまだ良い。美香が抵抗するにもかかわらず、言い寄っていた男共が床に倒れているではないか。しかもその目の前に立つのは黒いスーツに身を包む男達。年齢は20代後半くらいか。しかしこんな服を着たやつらを見たことがある、俺は。
それは家に居るボディガードと似たような服装だった。そして、その後ろで腰に手を当てる、腕を組む、スマートフォンを弄る少女が冷たい目をしながら立っていた。
よくみるとそのボディガードのスーツについているバッチ。綺麗な白鳥が描かれている。
白鳥の....バッチ......?
どこかで見たことがある。
そう、あれは確か白鳥家の者という印ではないのか?しかし白鳥家に関わるものがなぜ今ここに居る?
白鳥家とは、日本である華族の1つ。華族は生徒会にもいる名家と白鳥家が筆頭となっているが...。後ろに構える3人の少女のうちの一人。白鳥家の長女、次期当主となる人物だ。その横...真ん中に居る少女は俺や西園寺の親が営む会社と同格の力を持つ会社の社長の娘。彼女の左隣に居るのが、日本三大会社よりかは下にあるが、それなりの力を持つ会社の社長の娘。どれも同い年の小学6年と聞く。
一番力がある真ん中に居る少女の名前は確か、と思い出しかけた時この場に厳しい言葉が響いた。
「私達の目の前から消え去りなさい!!!今すぐよ、二度と顔を見せないでくださるッ!!!?」
まだ愛くるしい瞳を持つ少女らはその瞳を鋭くさせ、彼らを睨む。まだ子供なのに、男たちはその瞳と鋭い睨みに恐れを抱いたのか、ヒィッ!と情けない声を出して野次馬の中へと入っていった
フンッと鼻を鳴らして笑った、左に居る少女。またスマートフォンに視線を行かせると、何か残りの2人に話しかけていた。その少女が笑ったことでこの場に居た皆が我を取り戻したのかハッとしていた。静かだったからさっきの笑いは聞こえてきたものの、さすがに様々な声が聞こえてくるこの場ではもう彼女らの会話は聞こえなかった。
どこか違う場所へ行くのか、それとももう帰るのか。彼女等は背を向け周りにボディガードを歩かせながら去っていこうとした。が、真ん中に居た少女は振り返った。それにつられてか、他の2人、ボディガードも振り返る。その目線の先には俺の姿。
真ん中の少女がニヤリと笑い、白鳥家の長女はなぜか俺達を睨み、左に居た少女は彼女ら2人の行動にどうすればいいのか分かっていなかった俺をスマートフォンに納めていた。何たる不覚
そしてまた背を向けて歩き出す3人。ボディガードは頭を一度下げ、同じ方向へと去っていった。俺が彼女らが誰かと気付いたと同じく彼女らも俺にやはり気付いていたのか。って、何故彼女らはこんな庶民っぽいデパートに来ていたのだろうか
「...っ、美香、大丈夫か?」
「大丈夫だよ、隼人君が来てくれたからすっごく安心した!あの子たちにもお礼を言わないといけないなぁ....。隼人君知ってる?身成りがお嬢様っぽかったから....もしかしてと思ったんだけれど....」
「一応は知ってるが、あまり会わないな....」
「そっかぁ....、次会った時は教えてね!」
美香のその言葉に頷くと、今日はもう帰ることになった。帰りはまた絡まれたら、と不安だったから送った。当たり前のことだが、今日は用心深く離れないように。
そんなことが起こった夏の日
主人公目線ではありません