雨の日 参
昨日は散々だった。
なんなんだあの教師は、僕の話くらい聞いてくれてもいいじゃないか。
と、よくわからない怒りによって今日の僕は機嫌が悪い。全てはあの教師の説教のせいだ。悪いのは僕じゃないし僕はなにもしてない。押し付けるな大人風情め。
ムカつくな、今日も雨だし。
廊下を歩く。
今、たぶん僕はいつも通りの顔をしてるはず。
僕は「氷の天才」なんて、ふざけた名前を付けられてるんだ。無闇に怒りを外に漏らしてはならない。
いつもどうりにいつもどうりに。
思いは心に溜めておかなくては。
数人の女子生徒に騒がれ、うざいなんて思いながら僕は教室に入り、席についた。なんだか今日はやけに騒がしい。
なんだ?今日は行事があったか?
……ないよな。
時計を見ると時刻は9時30分。あと5分で授業が始まる。
少しだけ……。読書をしよう。
鞄から出した読みかけの本に目を落とし、僕は心の中で思うのだ。
やっぱりこの漫画最高!主人公が可愛いのは勿論なことだけど、サブキャラまで作画が綺麗なところマジナイス!
「キャー!五島くんが読書してる~。」
「なに読んでるのかな!?成績いいし、やっぱり英語の本とか!?」
「素敵~。あの近寄りがたい感じ……好き!」
五月蝿いな。
僕の読書の邪魔をするな。
何が英語の本だよ、笑わせるな。そんなつまらないもの読むわけないだろ。
この世界で一番面白い本はラノベと漫画に決まってるだろ、このクラスメイトさんよ。
そう。僕はオタク。