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雨の日 弍

その日は雨が降っていた。


担任に呼び出され放課後16時30分まで暇だった僕は、教室のある北校舎から特別教室のある南校舎へ向かった。

埃とお日様の匂い。昔を思い出す。

そんなことを考えながら廊下を歩いて早15分。


イスの音がした。


こんな場所に誰かいるのか。

そういえばここは図書室があったかな……。そうだ、ここは


無意識の内に音がする方へ向かう足が軽やかだったのは後から気づいたこと。あの、勝手に扉を開けた手も話しかけた声も無意識で、僕はただただ言葉を探すのに必死だった。

扉を開けた先にいたのは女子生徒だった。

少し長めの前髪に胸元まである艶のいい長いブラウンの髪、こちらを見ている黒い瞳はどこか寂しげだった。首まできちんと閉められたブラウスのボタンに膝上5㎝くらいかな、長めのスカート。


そしてなにより、美人だ。


僕はこんなに美人な人を見たことがない。テレビに映る女優にモデル、可愛いと言われるアイドルも……何もない。汚いだけじゃないか。

きっとこの時は、この胸の高鳴りを抑えるために何も喋らないようにしていた。一番は気持ちを伝えたかった。

だって彼女は僕の想い人。


その時きっと、時間が止まったはずだ。僕の中ではね。


そして、僕はその場から走って逃げたんだ。涙が流れる前に。




「誰かと思ったら……啓悟くんじゃない」



この日は担任に怒られた。

災難な日だ。

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