第四夜 最終話
眠り続けていたシアが目を覚ました。そしてイオのことを懐かしそうに見つめていた。
其れにイオは心が揺さぶられるのを感じた。そんなはずない。でも、だけど。
そしてシアはあまやかな声音でイオに手を伸ばしながらその名を呼ぶ。
「イオ」
その声に涙をイオは堪えることができなかった。世界の影響を受けもう動くことも辛くてでも必死に伸ばされた手に手を伸ばした。
その手は触れ合いシアの手をイオは掴むことができた。泣くイオをシアは抱きしめた。
その唇が謝りの言の葉を形どる前に口付けでイオはふさいだ。
はじめての口付け。どちらにとってもはじめてでそして拙い。でも愛しい口付け。
世界が消え始めて幾ら経っただろう。だからこそシアは記憶を取り戻した。
哀しくてでも嬉しくて。口付けは深まりそしてはなれた。あたりが闇に包まれて自分たちが終わるのだと二人は気づいていた。
でも二人は笑っていたのだ。二人一緒だね。そう微笑みあう。抱きしめあった二人は闇に溶けそして消えた。
世界が滅び命は全て死に絶えでもだからこそ新たな命は生まれ来る。
滅びた世界の亡骸を糧にして今新たな世界が産声を上げんとしていた。
何処までも何処までも命は繋がっていく死すら新たな生のために。
二人もまた新たな命として生まれ来る。今度はその手を放さぬために。