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第一夜

この失われいく世界でイオは大切な存在に出会った。


この世界は可能性の在る命に祝福を与えていた。


シアもその加護を与えられていた。そしてイオも世界から加護を与えられていた。


二人の祝福は等しく同じものだった。シアの加護は失い続けること。イオの加護は護りきれぬこと。


シアは失い続けるがゆえに大事な存在を護れない。イオは護りきれぬがゆえに大事な存在を失い続ける。


二人は出会い互いを大事な存在と認識していた。だけれど其れすらもシアは失う。


記憶の喪失をも彼女は科されていたから。其れでもイオはシアが愛しかった。


失い続ける彼女を其れでも愛していた。世界が滅びる日まで共にいたい。そう願うほどに想っていたのだ。


世界に祈る。この願いをどうか奪わないで。そう切にイオは望んでいた。


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