第五話
祐一side
俺は桜と真と別れた後、一人で家に向かっていた。
約束…か…。
~回想~
「あの…仙崎先輩、一つお願いがあるんですけれど」
お願い?
俺は不思議に思って訊ねた。
「何だ?」
すると桜は立ち止まり、俺を真っ直ぐに見詰めた。
「さっきの…私が不良に絡まれていたことなんですけれど、…お兄ちゃんには言わないでほしいんです」
兄…?
真のことか。
俺が真の友人だということ…、やはり気づいていたのか。
「何故だ?」
俺が訊ねると、桜は少し困ったような顔をした。
訊いてはいけないことだったか…?
俺がそんなことを考えていると、桜は口を開いた。
「お兄ちゃん、ものすごく心配症なんです。私が小さい頃からずっとそうで…。私がちょっと転んだだけで、病院まで連れて行くし…傷ついた動物に近寄ったら駄目だって言われるし…」
…その様子だと、いろいろ大変だったようだな…。
あいつが心配するのは、あいつがシスコンだからだ。
「でも…私、お兄ちゃんが大好きなんです。以前に、友達にブラコンって言われたことがあって…。私、お兄ちゃんを心配させたくないんです」
兄を心配させたくない…か…。
桜は…やはり優しいな。
「わかった。真には黙っていよう」
俺がそう言うと、桜は顔を明るくして微笑んだ。
「ありがとうございます!それじゃぁ…約束です」
桜はそう言うと俺に手を差し伸べた。
そして小指を立てる。
「指きりです」
俺は少し驚いたが、すぐに桜の小指と自分の小指を絡めた。
「ゆーびきりげんまん嘘ついたら針千本のーますっ」
可愛いな…。
「ゆびきった」
桜はそう言うと、小指を離した。
「約束ですよ?」
「ああ」
俺は、俺に微笑む桜に向かって微笑み返した。