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プロローグ
私には親はいない。
家族は、兄の花村真だけ。
両親は私がまだ幼い頃に交通事故で亡くなった。
でも、そんな私にも大切な友達がいた。
名前は、早山百合。
幼稚園にいた時からずっと一緒だった。
私は百合が大好きだ。
なのに…なのに、百合は目を覚ましてくれない。
中学二年生の時、交通事故で重傷を負い、意識不明になってしまった。
それから、百合は目を覚まさない。
嗚呼、私のせいだ。
私が百合を誘ったから。
あの日、百合を買い物なんかに誘ったから。
私が…私のせいで…。
お願い、百合。
私は何でもする。
あなたのためなら何でもするよ。
あなたの笑顔を、もう一度見ることができるなら…私は何だってできる。
だからお願い。
目を覚まして?
目を覚まして、もう一度私にその笑顔を見せて…。