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6話 「なぜそのような質問を?」

今回は結構短めです。

今日も、私の周りは絶好調のようだ。


「サリー様、そろそろお勉強の時間が…」

「ネファリー!後にして頂戴!今、エルーに教えてもらってるんだから!」

「でもサリー、エルシアちゃんにも自分の仕事があるし」

「お兄様は黙っていてください!」


私の周りで絶好調に言い合うネファリス様とサリー様、そしてシタリス様。私はサリー様に花言葉を教えていただけで、勉強に支障はでないようにしていた。けど、予想以上にサリー様が気に入ってしまい、今この状態が出来上がった。


「サリー様、花言葉はお勉強が終わった後にいたしましょう」

「でも…」

「そうですね。お勉強が終われば、サリー様が大好きな菓子をお出ししますよ?」

「ネファリー!やるわよ!」

「頑張ってくださいませ」


サリー様は張り切って勉強に取り掛かる。流石に立ち振る舞いは8歳以上でも、中身は普通の子供とは変わらず、大好きなものを出されれば気合が入るサリー様。ネファリス様は私に感謝の眼差しを向け、サリー様の勉強に取り掛かった。ネファリス様とは、数日しか会っていないけど話を交わすくらいには親しくなった。そして、いつもその話題はフレイアル殿下になっている。相手が一方的にフレイアル殿下の話をするのだが、そこに何の目的があるのかしら。


「シタリス様も、フレイアル殿下のお手伝いをされてはいかがでしょうか」


私はのんびりと椅子に座り、お茶を飲むシタリス様に向かって言う。フレイアル殿下は誰もいない執務室で仕事をするのに疲れたのか、最近は何故かサリー様の部屋に大量の書類を持ってきて仕事をしている。先程の五月蝿い中で、仕事ができるのもすごいと思うが。


「兄上は自分でやってこそ意味があるって言ってるからいいんだよ」


絶対に言ってないと思う。だってフレイアル殿下頭を抱えてらっしゃるし。シタリス様はそんなことを気にしないようにお茶を飲む。この人は本当に王子なのだろうかと内心思ってしまうのは無理ないだろう。


「そうですか」


私はそう言って自分の仕事に取り掛かる。思っていても表には出さない。出してはいけない。仕事はもう慣れたのだけど…流石に一人でやるのは疲れる。サリー様のお部屋には部屋付きの侍女が私しかいない。理由を聞くと、扱いが難しすぎて皆嫌がるそうだ。慣れたら結構、いい子なんだけどね。


「エルー!!」

「なんでしょうか」

「エルーは大事な人はいるの?」


サリー様から問われた質問に私は固まる。いきなりなんの質問をしてくるかと思えば、大事な人はいるかという。私は、いつもどおりの笑でサリー様に問い返す。


「なぜそのような質問を?」

「えっと、その…ね?エルーみたいなお姉様がいたらいいなーって」


もじもじ言うサリー様は本当にそう思っているらしい。私は一瞬、本音を言いそうになるが、それをグッと抑えて笑顔で言う。


「そうでございますか。私には大事な人はいません」


私が言うとサリー様は喜んだ。けど、ゴメンなさい。私、誰とも一緒になる気ないの。私はサリー様の姉にはなれない。私はそんな思いでサリー様の後ろ姿を見ていた。その、無邪気に笑うサリー様は、いつかの私のような(・・・・・)笑顔だった。









当の昔に無くした、無邪気な私の笑顔のような。

今回はエルシアの過去がちらっと見えました。


エルシアの過去には一体何が!?


次回は、そんなエルシアの過去を書きます!!

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