1話 「不満よ!というか面倒よ!」
連続投稿。頑張ってます(^^♪
「なんなのなんなの!!」
そう言って目の前の手紙を私は床に放り投げる。
私の名前はエルシア・サマーニ。このミフェス王国のファスに住む普通の女の子。周りからは強気だと言われる。ええ、自覚してます。ちょっと強気なことくらい。
私は面倒事が大嫌い。
後々の処理が面倒だし、疲れるし、イライラもする。
私は平凡なだけあってそれほど面倒事には慣れていない。
勿論、今後も慣れるような事はない。…はず。
慣れなくても面倒事には巻き込まれるのが平凡な人の特徴。そして私は今、最も厄介な面倒事に巻き込まれようとしていた。
私が先程、床に投げ出したのは……城からの招待状。何に招待されたのか、と聞かれればこう答えるしかない。
「妃選び……」
私はそう呟いた。何故、私の様な下町の娘が選ばれるのかはわからない。ただ、前王妃様が庶民って影響もあるのだろうけど…冗談じゃない!
「何を好んで妃に何かならなきゃいけないのよ!私は平凡な生活を求めてるのに!」
私はそう言って誰もいない部屋の中で手紙を睨む。私を招待したこの国の第一王子、フレイアル・ジェーンはとても綺麗なお顔だと聞いた。聞いただけ。私はそのお顔を拝見した事は一度もない。第一私はあまり王子というものを好きじゃない。私は性格が捻じ曲がっているのか、それとも子供の頃の出来事が原因なのかは知らないけど王族というものを嫌っている。世間的にどうかと自分でも思ってるんだけど仕方ない。
「あ、そうだ!アイサにも来てるかも!」
私は友人、アイサの元へと急ぐ。アイサの家に着いた私はアイサを呼んだ。
「アイサー!」
「はーい」
中からのんびりとした声が聞こえてきた。と思うと、玄関の扉が開き、アイサがひょっこりと出てきた。
「アイサ!アイサの所に招待状来た?」
「招待状?そんなの来てないよ。誰の?」
「王子の」
「…へ?」
アイサはキョトンとしていて訳がわからないように首を傾げた。私が手に握っていた手紙を広げて見せるとアイサは目を見開き私と手紙を交互に見ていた。
「よかったじゃない!エルー!!」
「何がよ!ちっとも良くないわ!何でこんな所に呼ばれなきゃいけないの!」
「何?エルーは不満なの?」
「不満よ!というか面倒よ!」
私は目の前の友人に言った。友人は『面倒』という言葉を聞いて苦笑いする。私は自分が選ばれるなんてこれっぽっちも思ってない。というか思う方が可笑しい。何でこんな下町の娘を妃に選ぶのか。しかもこんな平凡の。私はただ、呼んでみただけだろう。だから別にここまで拒む必要はない。のだが。
「何で令嬢様達に罵られに行かなきゃならないのよ!」
「でもお城のお食事って豪華だよ?食べ放題だよ?」
「…」
私はアイサの言葉に反応する。豪華、食べ放題…庶民の私は贅沢が出来ない。よって城の食べ物はごちそうだ。私にとってはとても有り難い事。
「あまりにも面倒すぎて忘れてた…よし!食べ放題ー!」
「頑張ってきてねぇ」
アイサがそういうのを聞いて私はアイサに向かって手を振った。って言っても、まだなんだけどね。後、一週間。あと一週間でごちそうが食べれる!!
サブタイトル気づきましたでしょうか?
文中のエルシアの台詞からとっております。
なんというか、サブタイトルを考えるのが難しくて…
悩んで末、サブタイトルは文中から取る、ということになりました。
これからもよろしくお願いします。