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13話 「えぇ!?何でそうなるんですか!」

遅くなりました^^;


でわ、どうぞ。


部屋の中が静まり、誰もが私を見つめている。


「…あ、あの、何かいけない事を」

「「かわいいーーーー!!!!!」」

「へ?わっ」


私が俯いていた顔を上げると、サリー様と王妃様が私に突進してきた。…いや、これは抱きつきたいのかな?にしては威力が強い…地味に痛い!


「こら、二人とも。エルシアちゃんが痛がってるでしょ」


と、シタリス様。


「えぇ!?本当!?大丈夫?」

「あら、ゴメンなさい。つい本音が…」


私は王妃様の言葉に苦笑した。というか、さっきから兄様がニコニコしていて気持ち悪い。


「…エルシア、顔に出てるぞ」

「あら、それは失礼」


私はニコッと兄様に笑う。兄様は溜息をついた。私が王妃様達にこの話をしたのは本当にいい人だと思ったから。だけど、本当に受け入れてくれると思わなかった。内心諦めていたから。


「取り敢えず、話を戻すわよ。今日、一緒にお食事していただける?」


王妃様がそう私に聞いてきた。私は笑顔で言う。


「お断りします」

「何でっ!?」

「王妃様、考えてみて下さい。私はここでは庶民で通しています。庶民が王族お食事していたらどう思いますか?」

「なにあの子。偉そうって思うわね」

「そういう事です」


私は真顔になっていた顔をまた、笑顔に戻す。王妃様は諦めたような顔をして肩を下げた。それから、サリー様にねだられたけど、結局断って家に帰った。…兄様は強制的に城へ置いてきたわ。


「エルーお帰り」

「え?」


私はそう言って友人の顔を凝視した。だってここにいると思ってなかったの。アイサは本当に気まぐれでしか私の家に一人で居座らない。私を起こしてくれるし、朝ごはんも作ってれる。けど、絶対に一人で私の帰りを待っている事なんて無かった。なのに、目の前に彼女はいる。…どうして?


「何で…」

「だって今日はエルーの特別な日でしょう?さぁ、着替えて」


アイサは有無を言わさない速さで私をドレスに着替えさせた。私は状況がつかめない。私が驚きで固まっていると、数分前までいた場所に到着した。飾られた私は、同じく飾っているアイサ訳の分からないと目を向ける。アイサはそんな私にくすっと笑うと手を引いた。


「エルー。楽しみましょうね」


大きな扉の前に着くとアイサがそう言った。私がその意味を問う前にアイサは扉を開いた。そして大勢の人の声が聞こえた。


『誕生日おめでとう!』


そしてパァンと破裂音が鳴り、花びらがヒラヒラと中に舞う。これは…サリー様の魔法?何で…あ。


「誕生日…?」


そう言えば今日は私の誕生日だ。でもどうして皆が知っているのか。どうして、城内の人達が私を祝ってくれているのか。その答えは目の前に立った兄様とフレイアル殿下から帰ってきた。


「これを計画したのは我々ジェーン一家だ」

「そしてそれに乗ったのは俺」

「…え?そもそもどうしてフレイアル殿下達が私の誕生日など知っているのですか?」

「それは…僕が調べに調べたからだよ」


そう言ってネファリス様が出てきた。成程…だいたい予想は出来たけど。私の情報が漏れていたなんて…不覚。


「まぁ今は楽しめ。折角、俺が用意してやったんだ。楽しまないと損だぞ?エルシア」

「分かっていますよ兄様…今日一日だけハメを外します」


私はそう言って兄様に微笑んでみせる。兄様はそれで満足したように頷いて、振り返った。…あれ?ちょっと待って。何で一庶民の為に城内の者達が動くのよ?可笑しいわ。命令で動いているにしても皆、何でそんなにニコニコ笑ってるのよ?


「ね、ねぇ兄様。どうして城内の人達が私の誕生日を祝っているのですか?」

「あ?だから俺が…」

「じゃなくて!どうして楽しそうに祝っているのですか?」


どうして命令なのに嫌そうじゃないの?普通、一人の国民にどうしてこんな事をするのかと不思議に思う筈じゃ…もしかして


「気付かれてた…?」

「お前、分かってなかったのか?」


やれやれとでも言いたそうに呆れた声を出す兄様。


「どうして…」


私は信じられないという風に呟く。何で、どうして、バレたのだろう?


「エルシアさん。それはあなたの行動よ」


私がその声に下げていた顔を上げると、侍女頭が立っていた。…え?私の行動?


「私達はね。平民のあたなだからこそ基礎から侍女としての仕事を叩き込まないといけないと思ったの。あなたが初めて城に来た時は覚えているかしら?」


私は頷く。私がこの城に働きに来たのは私が12の時。お金がなくちゃ困るから働こうと思って侍女頭に頼んだんだっけ?


「その時私は、この子は何かが違うと思って雇ったのよ」

「え?」

「普通の人と雰囲気が違ったの。あなたは」


まさか雰囲気が違っただなんて。…それはいくらなんでも変えられないわ。


「それで雇い続けていたらとても不思議な事に気がついた」


侍女頭は一息置いてから言った。


「あなたは、侍女の仕事を完璧にこなしていたの。けれど、こんな子供が侍女なんて仕事を経験しているとは思わなかった。その手際は熟練の者、そのものだったから」


私は驚いた。小さい頃は良く、部屋付きの侍女や、城内に居る侍女の仕事を遊び感覚で手伝っていたわ。母様も父様も面白そうに手伝っていたりした。兄様達は面倒だからって手伝わなかったけど。


「この子只者ではないな、私はそう思ったのよ。だからあなたが王族だって知って納得してしまったわ。それは他の人も同じよ。少なくともあなたが人間だった事が分かって安心したみたいよ」

「…え?ちょっと待ってください。私人間だと思われてなかったんですか!?」


私は侍女頭の顔を見、驚いて叫んだ。侍女頭は当たり前かのように頷く。


「あなた、ロボットじゃないのかって噂も出ていたわよ」

「えぇ!?何でそうなるんですか!」

「あまりにも仕事が完璧すぎて、どこかで作られたロボットが迷い込んできたのかもって」


ふふふと笑う侍女頭。私は心底面白そうに笑っている兄様を睨む。未だに笑っている兄様は私の視線に気づいたのか、笑いを堪えている。…余計に腹が立つわ。


「兄様!いつまでも笑わないでください!」

「だって、ロボットだぞ?」


兄様はその言葉に再び、笑う。私は何故か近くにあった辞書を兄様の頭に向けて投げる。


「あがっ」


見事、兄様の頭にクリーンヒットしましたとさ。

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