表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

9話 「申し訳ありません。記憶にございません」

今回のエルシア、機嫌悪いです。



どうして、私の周りには面倒事が降り注いでのくるのかしら。嫌がらせですか?神様。今日は朝早く城に出た私。そんな私は意味がわからない光景を目にした。


「どうして皆様、正装ではないのですか」


王族は基本、他国の王族や行事などがある場合は正装を着るのが常識。なのにこの方たちといえば、普段と同じ格好をしている。しかもフレイアル殿下まで。


「今日は正装でなくていいのよ。他国の国王様がそうおっしゃったとお父様が言ったもの」

「…そうでございますか」


私は腑に落ちないような顔を隠して笑顔で言った。他国の国王はそれほど変わり者なのだろうか。


「他国の国王様は何か探し物をなさってるようですわ。私もお手伝いできないかしら」

「どうでしょう。お手伝いできたらいいですね」


サリー様はそう言うと昨日と同じようにはしゃいでいる。私は皆様にお茶を出したりして侍女の仕事をやっていた。そして他国の国王が来るという知らせの鐘が鳴り、私達は急いで城の門の前に集まった。私はサリー様の部屋付きなので、サリー様の後ろに控える。そして鐘が三回鳴った。他国の国王が来たのだろう。私達、侍女は全員体を折り曲げる。王族のサリー様は他国の国王が来たら正式な礼をする。侍女達は他国の王族がすぎるまで顔を上げてはいけない。それが決まりだ。


「お会いできて光栄です。サリーナ・ジェーンと申します」

「こちらこそ会えて嬉しいよ。小さなお姫様」


会話が交わされる中、私は少し顔を歪めた。小さなお姫様って。暫くしてまた三回の鐘が鳴る。他国の国王が城にはいられた。そういう知らせだ。私は顔を上げて、小さく悲鳴を上げた。誰だってあげるわ!行ったと思った人が間近に居たら!!他国の国王は私を見ていった。


「エルシアかな?」


私は驚いた。というか、知らない人間が、いきなり自分の名前を呼んだらびっくりするに決まってる。私は驚きを表に出さずに言った。


「そうですが」


私が言うと目の前の人間はにこりと笑った。違う。この人は国王じゃない。改めて周りを確認すると、違う場所にこちらを見ている中年男性を発見した。じゃあ、この人は?


「僕はサフィア・バージル。覚えてない?」


サフィア・バージル…?私は記憶を探り、出た結論は。


「申し訳ありません。記憶にございません」


いや正直あった。それらしき名前の人に昔あったことある気がした。が、今、そんな事を言ったらまた面倒なことに巻き込まれるに違いない。じゃあ隠していよう。そういう結論にたどり着いた。まぁ会った事ある気がしただけで、本当に会ったかは覚えてないんだけど。


「そうなの?…残念。それじゃあサリーナちゃん、エルシア、また会おう」


そう言ってその人は城の中に消えた。サリー様は驚いて声が出ないらしく、私の顔を凝視していた。それは他の皆も同じで、唯一、ネファリス様だけは興味深そうな顔をしていた。


――――――――――――



「エルシアちゃん。さっきの人知り合い?」

「知り合いじゃありません。何回言ったら分かっていただけるんですか」


私は少し怒り気味で言った。この会話、さっきから何回目。しかも相手がその度に違う。ネファリス様から始まり、フレイアル殿下、サリー様、侍女さん達、侍女頭、女官頭、騎士、国王様、王妃様、そしてシタリス様。というか、国王様と王妃様が来た時は正直焦った。嫌という感情が表に出てないかとか、なんで来るんだとか。で、最後のシタリス様は困った顔で聞いてくるからまた頭に来て。冷静でよかった。


「一国の王子が話しかけたからビックリして…」

「私も驚きました」


安心したように言った言葉に私は言った。私だって驚いた。そしてムカついた。サリー様はさっきから落ち着きがない。フレイアル殿下も。というか、皆ソワソワしている。それがまた、イライラするというかなんというか…


「え、エルー。そろそろ王子様はお話し終わったかしら」

「どうでしょうね」


サリー様があの方を相当気に入ったのか王子様と呼ぶようになった。王子様って…まぁそういう年頃なのかもしれないわね。


「サリー様、少し落ち着いてください」

「そ、そうね。落ち着きましょう」


そう言って深呼吸するサリー様。と、フレイアル殿下。フレイアル殿下には行ってませんけど。と、思ったらシタリス様も深呼吸をしていた。…もう勝手にやってください。私がそんなことを思っていると、部屋の中にノック音が響いた。その音でサリー様が少し固まった。私は扉の前へ行き、開ける。するとそこにはサフィア・バージル様が立ってた。


「や。お邪魔しても?」

「どうぞ」


私は脇に退いて、道を開けた。


「サリーナちゃん、フレイアル殿下、シタリス君。待ったかな?」

「いえ、大丈夫です。お座りください」


サリー様が言うとバージル様はニコリと微笑んで座った。その前にはサリー様、フレイアル殿下、シタリス様。そしてその後ろにネファリス様が立っていて、私はお茶をいれている。そのお茶を出して、扉の傍へ立つと、直立不動。指示があるまで動かない。


「この度はお越しいただきありがとうございます」


そう言ってフレイアル殿下が挨拶をすると、ほかの三人も頭を下げた。そんな四人を前ににバージル様は困ったような声を出した。


「頭上げて。僕、そんなに改まるの好きじゃないんだ。だから敬語もなしでお願いしたいんだけど」

「…そちらがいいのなら」

「うん。じゃあそうして。僕の事はサフィアでいいよ」


その瞬間、サリー様の顔が輝いた。


「サフィア様はエルーと知り合いなんですか!?」

「え」


え、ちょ、何で私が出てくるのよ。私が戸惑ってるとバージル様は言った。


「うん。エルシアは覚えてないみたいだけど。子供の頃から知ってるよ」

「子供の頃のエルー!!どんな感じですの?」

「そうだねぇ。可愛かったよ。なにをやるのも素直で」

「お二人とも」

「なぁに?」

「他人の事を喋らず、ご自身の事をお話なさってください」


私はそう言った。あまり、自分の事を人にばらされるのは良く思わない。良く思う人なんているのかどうかもわからない。そんな雰囲気を感じ取ったのか、お二人ともその話題ではなく自分たちの話題に切り替えた。

うん。


やっぱエルシアは面倒ごとに巻き込まれますね(;^ω^)


締りのない終わり方になりましたが…


次回、頑張ります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ