飛来
2分ぐらいで読めちゃうと思います。よろしくお願いします。
20xx年、地球では第三次世界大戦が勃発していた。より効率よく人を殺すための兵器が次々に開発され、それらによる被害は止まるところを知らなかった。
そんなある日、この争いを一気に終結へと加速させる出来事が起こった。やってきたのである。宇宙人が。
フラフラと覚束ない飛び方の円盤が、A国とB国との戦場に着陸した。すがすがしいくらいUFOらしい形をしている。――つまり、麦わら帽子みたいな形だ。大きさは普通の家一軒分くらい。太陽の光が、銀色の機体にピカピカと反射している。
A、Bどちらの国の軍隊も、敵国の新兵器だと思い、円盤に攻撃を仕掛けようとした。両軍の指揮官が一斉射撃の命令を下すため、腕を振り上げたその時。
乗組員が現れた。
………………戦場から一切の音が消えてしまった。
その場にいたすべての人間が乗組員に見とれていたからだ。
彼、いや、そのたおやかなたたずまいは、彼女と呼んだほうがしっくりくる。
彼女は、姿かたちこそ人間と似通っていたが、彼女の、キリストとクレオパトラを足して2で割るどころか、2をかけたような神聖かつ魅力的な雰囲気は、人間のそれとは明らかに一線を画していた。
指揮官も兵隊も銅像のように固まって、彼女を見つめている。
彼女が柔和な微笑みを浮かべ、言った。
「私は、東銀河平和連合の者です。この星に平和をもたらすために来ました。どうか、武器を置いてください」
こうして、A国とB国は、戦争をやめた。
「戦争では何も解決しません。武器を捨ててください」
こうして、C国とD国は、固く停戦協定を結んだ。
「争いは憎しみを生むだけです。武器を直ちに廃棄してください」
こうして、E国とF国は、涙を流して猛省し、二度と戦わないと誓い合った。
どれほど月並みな言葉も、彼女の唇からこぼれると、地球中を明るく照らす太陽のような、希望に満ち溢れた言葉に聞こえた。
彼女の降臨から一ヶ月、兵器の類はあっさりと地球上から姿を消した。人類はもう二度と戦争をしないだろう。
その様子を見ていた彼女は、満足そうに仲間に連絡した。
「ケケケケケ。思った通りだ。連中、厄介な武器を全部捨てやがった。今なら余裕で侵略できるぜ」
こうして、第三次世界大戦は終結した。
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