表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

飛来

作者: コーヘー

2分ぐらいで読めちゃうと思います。よろしくお願いします。

 20xx年、地球では第三次世界大戦が勃発していた。より効率よく人を殺すための兵器が次々に開発され、それらによる被害は止まるところを知らなかった。

 そんなある日、この争いを一気に終結へと加速させる出来事が起こった。やってきたのである。宇宙人が。

 フラフラと覚束ない飛び方の円盤が、A国とB国との戦場に着陸した。すがすがしいくらいUFOらしい形をしている。――つまり、麦わら帽子みたいな形だ。大きさは普通の家一軒分くらい。太陽の光が、銀色の機体にピカピカと反射している。

 A、Bどちらの国の軍隊も、敵国の新兵器だと思い、円盤に攻撃を仕掛けようとした。両軍の指揮官が一斉射撃の命令を下すため、腕を振り上げたその時。

 乗組員が現れた。

 ………………戦場から一切の音が消えてしまった。

 その場にいたすべての人間が乗組員に見とれていたからだ。

 彼、いや、そのたおやかなたたずまいは、彼女と呼んだほうがしっくりくる。

 彼女は、姿かたちこそ人間と似通っていたが、彼女の、キリストとクレオパトラを足して2で割るどころか、2をかけたような神聖かつ魅力的な雰囲気は、人間のそれとは明らかに一線を画していた。

 指揮官も兵隊も銅像のように固まって、彼女を見つめている。

 彼女が柔和な微笑みを浮かべ、言った。

「私は、東銀河平和連合の者です。この星に平和をもたらすために来ました。どうか、武器を置いてください」

 こうして、A国とB国は、戦争をやめた。

「戦争では何も解決しません。武器を捨ててください」

 こうして、C国とD国は、固く停戦協定を結んだ。

「争いは憎しみを生むだけです。武器を直ちに廃棄してください」

 こうして、E国とF国は、涙を流して猛省し、二度と戦わないと誓い合った。

 どれほど月並みな言葉も、彼女の唇からこぼれると、地球中を明るく照らす太陽のような、希望に満ち溢れた言葉に聞こえた。


 彼女の降臨から一ヶ月、兵器の類はあっさりと地球上から姿を消した。人類はもう二度と戦争をしないだろう。

 その様子を見ていた彼女は、満足そうに仲間に連絡した。

「ケケケケケ。思った通りだ。連中、厄介な武器を全部捨てやがった。今なら余裕で侵略できるぜ」

 こうして、第三次世界大戦は終結した。

ありがとうございました。もしよろしければ、感想、ご指摘などをいただけると非常にうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ