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支援
数日後。
使者からの報告を聞いた牟岐は、目を大きく開いた。
「属さぬ、だと?」
苛立ちは、隠しきれていない。
「……保護を拒む神子など、聞いたことがあるか。」
だが次の瞬間、表情が変わる。
(もし支援を送らねば――)
“英雄”が、幼き神子を見捨てたことになる。
それは、許されない。
牟岐は、深く息を吸った。
「……よい。」
使者を見る。
「支援は送る。金も、物資もだ。……どこの城よりも早く届けろ。」
使者の顔に焦りが浮かぶ。
「……っそれが。」
「なんだ。」
答えを急かすように指で脇息を叩く。
「薫の領内より……神子への支援が、すでに始まっていると。」
牟岐の指が、止まる。
「……誰が?」
「薫 黄雀様の名が。」
一瞬、城内の空気が凍る。
牟岐は、ゆっくりと息を吐いた。
「……そうか。」
英雄の仮面の奥で、計算が、崩れる音がした。
だが、今さら引くことはできない。
「……よい。」
宗清は立ち上がると臣下に背を向ける。
「我らも今すぐ支援を送れ。」
唇は少し震えていた。




