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プロローグ

夜の山肌を、赤い光が照らし続けていた。

風に運ばれてくるのは、焦げた木の匂い――そしてたくさんの叫び声。


年老いた男が1人、田舎の山中には不釣り合いな装いの幼子(おさなご)を抱きかかえ、燃え盛る城下を見下ろしていた。


城は炎の中で、まるで巨大な灯籠のように揺れている。

いくつもあった長屋の屋根が次々と崩れ、火柱が夜空へ伸びた。


「……じい、あねうえは、まだこられないの?」


幼子の小さな問いに男は喉を詰まらせ、

子を抱く腕に力を込めた。

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