1/55
焔
プロローグ
夜の山肌を、赤い光が照らし続けていた。
風に運ばれてくるのは、焦げた木の匂い――そしてたくさんの叫び声。
年老いた男が1人、田舎の山中には不釣り合いな装いの幼子を抱きかかえ、燃え盛る城下を見下ろしていた。
城は炎の中で、まるで巨大な灯籠のように揺れている。
いくつもあった長屋の屋根が次々と崩れ、火柱が夜空へ伸びた。
「……じい、あねうえは、まだこられないの?」
幼子の小さな問いに男は喉を詰まらせ、
子を抱く腕に力を込めた。
プロローグ
夜の山肌を、赤い光が照らし続けていた。
風に運ばれてくるのは、焦げた木の匂い――そしてたくさんの叫び声。
年老いた男が1人、田舎の山中には不釣り合いな装いの幼子を抱きかかえ、燃え盛る城下を見下ろしていた。
城は炎の中で、まるで巨大な灯籠のように揺れている。
いくつもあった長屋の屋根が次々と崩れ、火柱が夜空へ伸びた。
「……じい、あねうえは、まだこられないの?」
幼子の小さな問いに男は喉を詰まらせ、
子を抱く腕に力を込めた。
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。