友達の恋人が不細工すぎる
私が非道であるのは別に許さなくてもいい。しかしそれにしても彼の彼女は不細工だ。
私と彼は幼馴染だ。幼稚園からの付き合いで今、高校生。親友であり、彼ほど話が合う友達もいないから、私はずっと彼と一緒にいる。休み時間は駄弁るし、放課後はキャッチボールをする。学校がない日はよくゲーセンに行くし、誕生日会だってする。
無論、彼は親切であり、賢い。彼に恋する女も多いし、友人も多い。親友は私だが。だからもちろん、彼が恋人ができたと教えてくれた時は祝福した。どの音楽団とも引けを取らぬファンファーレを拍手でした気分だ。それが実際、彼の彼女に会ったとき、私はドブに頭を突っ込みたくなった。豚の糞が塗れたドブでもだ――それほどに彼女は見るに堪えない。
私は親友の自由を受け入れている。彼が彼女と付き合うことに不満があるわけではない。いや、嘘だ。つまり何が言いたいかというと、私は彼とよく遊ぶ。四六時中だ。そのときに、たとえば朝食の後、登校中に彼が彼女と手を繋いでやってきたらどうだろう。私は吐いた。
つまりはこういうことだ。私は彼を失う危機にある。かけがえのない親友を私は失うかもしれない。とても彼女が不細工なせいで。
私はどうしたらいいのだろうか。彼女に何の罪もない。私の親友が惚れた女だ。間違いなく穏やかな心を持っているし、嫉妬するほどの美女であると信じていた。たしかにそうだった。彼の言うとおりの美女だった。外面は最悪だったが。
これは先天性のものだ。彼女を責めることはない。しかし私のこの気分の悪さも先天性だ。ちゃんと宣言しておく、彼女の顔を見て吐くのは私だけだ。他はそうではない。しかし治そうと思って治るものではない。生理的に無理なのだ。どうしようもない。
ゆえに私は決断した。私は健康のためにそして親友の為に親友と縁を切ると。私は親友に面と向かってそう言った。したら親友はひどく落ち込んだ。かなり落ち込んだ。その次の日、元気に挨拶してきた。嫌な予感がした。当たった。こいつは彼女を捨てて私を取った。私は窓から吐いた。反吐である。
私ははっきり言った。
「俺のことなんかどうでもいい! 今すぐ彼女に謝ってこいよ! クズ野郎!」
彼は返した。
「女ならいくらでもいる! しかし親友はお前しかいない! そうだろ?」
弱弱しい男の目ほど気持ち悪いものは無い。俺は怒り狂った。あまりに怒り狂い、完全に嫌悪した。その結果どうなったと思う?――俺は親友の元カノと付き合った。そして毎日吐き気に狂うのである。
さぁ嫉妬しろ。嫉妬しろと。怒りの赤と気持ち悪さの青から来る、色彩の混合はなんと白、ごとくクズの心情もまた潔白のようだ。私たちを祝福した。私はクズにゲロをかけた。完全に決別しようとした。
不細工はよほど傷付いたらしい。外面だけでなく内面まで傷まみれとは可哀そうな女である。その女は自暴自棄のあまりに私を誘惑してきた。女は可哀そうであり、同情した。だんだんと女の無様が可愛らしく思ったし、そこにエロスを感じた。しかし生理的に無理だ。正直、勃つわけないだろ――と、いや、私は勃起していた。親友への怒り、その血圧が私のチンコを勃起させた。
こうして私は親友だけでなく童貞も捨てた。そして不細工な彼女を得た。このことをわざとらしく自慢した。
どうであろう、世間は残酷だ。男子諸君、友達は私の童貞卒業を祝福せず気まずくするし、親友はただ落ち込んだ。ちっとも私を羨ましいと思わないのは、やはり私の彼女が不細工だからだろうか。
いいや、こうなれば意地だ。私はこのクズどもを見返すために彼女と結婚してやろう。私だけのこの可哀そうな乙女と。彼女の作った美味しい飯をお前らに吐きかけてやる。そして青い顔して幸せそうにしてやる。お前らをゲロまみれにしてやる。
その通り生きた私は友人を失った。されど彼女はずっと私のそばにいた。それと可愛い子供が沢山出来た。




