第0063撃「メタ氏、旧友の通う中学の文化祭によばれる!!」の巻
平成3年1991年、11月、中学3年の2学期。
数ヶ月前から、
久しぶりに交流を再開した叶野(仮名)から、
突然、電話がかかってきました。
それは、彼の通う私立中学で文化祭があるから、
観に来ないか――というお誘いでした。
誘ってくれたことが、妙に嬉しかったです。
数日後。
小生は電車に揺られながら、胸をわくわくさせて向かいました。
叶野の通う『最香学園中等部(仮名)』。
最寄り駅の改札口で、
手をふる彼の姿を見つけました。
小生が突然電話をして以来、
直接顔をあわせるのは、これが二度目でした。
彼の中学は、京都大学への合格者を何人も輩出する、
大阪市内屈指の名門校です。
その校門をくぐる瞬間、
小生のような劣等生が、
何食わぬ顔で叶野と肩を並べて入っていくことに、
少しばかりの気おくれを感じました。
校内は、さすが名門だけあって華やかでした。
飾りつけにも余念がなく、
「やる気」と「向上心」と「センス」が、
そこかしこで光っていました。
叶野は自分の教室へ案内してくれました。
生徒たちの知恵と工夫が詰まった展示品が、
所狭しと並んでいます。
彼の手づくりの作品も見せてもらいました。
「さすが、叶野君やなあ!」と、思わず感服しました。
そのあとも校内を一緒に歩きました。
多くの生徒たちが行き交い、
叶野の連れている私服姿の小生を見て、
「あの人はどこの難関校の友達だろう」とでも思ったのか、
どこか丁重な視線を感じました。
小生はまたしても勘違いを犯し、
あたかも賢者然とした余裕のあるふりをして、
堂々と廊下や教室を練り歩いたのでした。
そんなとき、背後から突然、
「おい、夢野! 夢野やんけ!?」と声がします。
振り返ると、小学校の同級生・三井(仮名)でした。
なんと、彼も最香学園に通っていたようです。
ちょっと、驚きました。
見るのはおよそ三年ぶりです。
彼もまた、気持ちよく小生の来校を歓迎してくれました。
その日、小生は、
地元での暗い出来事をほんのひととき忘れ、
穏やかであたたかな時間を過ごせました。
「また近いうちに会おう!」
叶野はそう言って、改札口で手を振ってくれました。
「うん! また、こっちからも電話するから!」
小生も大きく手を振り返し、
プラットフォームへと向かいました。
プラットフォームへ歩を進めながら、
胸の奥がじんわりとあたたかくなるのを感じていました。
なぜだかよくわからないけれど、
嬉しさのあまり、涙がこみあげてきました。
まるで、心の底で長らく萎縮していた何かが、
ほんの少しだけ、
やわらかく溶けたような気がしたのでした。
中山美穂「遠い街のどこかで…」(1991年)
YouTubeで視聴する https://youtu.be/r5K2QGLTDCM?si=_sUJqyvJKxm1Mwbh
続く。果てしなく続く……。
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