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第0049撃「メタ氏、心友のぺるに酷いことをしてしまう!!」の巻


平成3年1991年、7月、中学3年の1学期。


七月には、水泳大会がありました。


小生は、自分のたぷたぷとした肥満体型を、

同級生たちに笑われるのがたまらなく恥ずかしくて、

その意識を逸らすためか、競泳中に――


「界王拳、2倍〜っ!!」


などと叫び、無理にでも笑いをとりにいきました。


が、叫んだところでスピードが倍になるはずもなく、

悟空のように水を切ることもなく、

ただ水しぶきと脂肪が波打っただけでございました。



さて、そんな無駄な気炎をあげた数日後の体育の授業でのこと。


よりによって、いじめっ子の屋山(仮名)とペアを組まされる羽目になりました。


一方が跳び箱のように身体を曲げ、

もう一方がそれを飛び越えるという、

なんとも前近代的な練習が始まりました。


が、小生は体重の都合上、飛べません。

飛ばない、というより、

正確には「落ちる」のです。


結果、屋山の背中に激突しました。


それまでにも、屋山には廊下ですれ違えば、

背中を殴られていたのですが、

この激突事件が彼の怒りのスイッチを押したようで。


授業が終わるやいなや、

小生は拳で何度も殴られ、

いつになく痛めつけられたのでした。



さて、そんな騒々しい日々のなか、

学校には教育実習生として、

O氏という若い先生がやって来ました。


これでも写真部の部長であった小生。

学ランのポケットにはカメラを突っ込んでいたのが習慣でして、

ある日、O氏が校舎と校舎を結ぶ渡り廊下を歩くのを見かけました。


「せんせー! 写すでー!」


そう叫びつつ、

小生はパシパシとシャッターを切りました。


そして、後日。

写真部の部室でもある暗室で現像したところ、

なんと、O氏の後ろに――

いや、正確には重なるように――

胎児のように丸まった、なにやら妙な影が写っていたのです。


小生は大喜びで、


「心霊写真やでこれぇ!」


と同級生たちに披露し、

案の定、皆が固まるのを見て、ほくそ笑んでいたのですが。


その後、O氏にも見せてしまったのは、

正直、やりすぎでありました。


O氏は表情を変えず、いつも通りの笑顔でしたが、

今思えば、さぞ嫌な気分だったことでしょう。



その頃、小生の心は、

どこか少しずつ壊れかけていたのかもしれません。


愛犬のぺるに対して、

自分でも説明できぬほどのひどい態度をとってしまいました。


あるとき、何を思ったのか、

ぺるの尻尾を掴み、持ち上げたのです。


ぺるは、黙っていました。


そして、小生は部屋の中でぶんぶん振り回しました。

ぺるがギャンッ! と悲鳴をあげた!


小生は、はっと我にかえりました。


部屋の中でぶんぶんと振り回していた己の手。

トイプードルとはいえ、立派に育ったぺるの重さ。

その尻尾のなかに通っている大切な神経のこと。


もし、もう少し振り回していたら。

もし、この尻尾が動かなくなってしまったら。

もう、ぺるが嬉しいときに尻尾を振れなくなってしまったら――


そう思うと、胸が締めつけられました。


屋山が、自分より弱い小生を殴っていたように、

小生は、小生より弱いぺるに対して、

非道なことをしていたのです。


学校では、いじめに遭い。

家では、母の暴言にさらされ。

布団のなかでさえ、居場所のなかった小生にとって。


ただひとり寄り添ってくれるのは「ぺる」だけだというのに……。



ある晩。

小生は、舌を出して噛みました。


痛かった。

もっと強く、もっと激しく、何度も噛みました。


鏡で見ると、ばっくりと二、三箇所裂けた舌に、血がじんわりとにじんでいました。


涙が出ました。

痛みのせいか、自責の念のせいかは分かりません。


それでも、小生はその衝動を止められなかったのです。


――ぺる、ごめんな。


枕元に疲れたように横になっているぺるのおなかに、顔をうずめました。


あたたかい。

いいにおいがする。

ミルクのにおいがした。


ぺる、頼むから、どうか、

ずっと、ずっと長生きしてくれよな。


ぼくを、置いていかないでくれよ。


死ぬときは、いっしょだぞ。


ぺるは、小生のおでこをぺろぺろと舐めてくれました。


その舌のぬくもりに包まれて、

小生は、そっと眠りの底へと落ちてゆくのでした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


大江千里「真顔」(1991年)

YouTubeで視聴する https://youtu.be/Xq7vWfG6V18?si=xybns1TSfjPCsEwS


懐かCMを観る1991年⑦7月

YouTubeで視聴する https://youtu.be/IpshfgWG9P4?si=PJywDE60FbdRvYsi


続くよ。果てしなく続く……。

(まだまだ続くよーっ!お楽しみに〜!)



いつもお読みくださり、

無限の無限のありがとうございまする☆

ブックマーク(フォロー)していただけますと嬉しいです。

では、ご氣元よう‼️

( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )੭⁾⁾

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