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第0044撃「熱烈投稿!!」の巻


平成3年1991年、3月、中学2年の3学期。

放課後に写真部の部室へ顔を出すと、

3年生である、辻森部長(仮名)と中本副部長(仮名)の前にきちんと座らされ、

「今日は真面目な話がある——」

と彼らが言いました。

「夢野、4月から3年生やろ。写真部の部長をやれ」と辻森さんが言い放ち、

そして中本さんが、

「写真部の存続は、おまえの双肩にかかってるんや」と続けました。


ええ〜!責任感の必要な役まわりは、おいら御免被りたいのに……。

しかし、5分後に部室を出た小生は、

自分はさも偉い身分にでもなったかのように堂々と歩き、

なにか勘違いを起こしているのでした。


中本さんと一緒に下校しました。

相変わらずエロ談義の好きな中本さんが、

「ちゃんとセンズリしてるか?」と訊いてきました。

ノコギリで間引くような厭な響きのする単語やな。

「なんですかそれは?」と訊ねると、

「おー、そんなことも知らんのか。

歯ブラシを使ってな、チンチンをこするんや」

と中本さんが笑いながら答えました。


好奇心旺盛な小生は帰宅すると早速、

よりによって自分が普段から毎日使っている歯ブラシを陰茎にあて、

コシコシとこすってみました。

痛い! 一往復も出来ない!

ペニスがまだ弱いのかな。

〈それとも中本のやつ、

あえてぼくが悲惨な結果となる方法を話して騙してきたのか〉


    *


泡嶋書房(仮名)という古本屋が泡嶋駅の近くにあります。

小生はときおりコミックを買いに利用していました。

泡嶋書房の出入り口は狭く、

出たところの両側に移動台に載せた、

週刊誌や月刊誌が陳列されています。

まわりをビニールシートで覆っているので、

ちょっとやそっとの雨風くらいなら持ち堪えそうです。


しかし、それにしても、

引き戸の出入り口扉の重たく感じること!

「"本気"で本類を買いに来るお客しかウチは要りません」

とでも黙って主張しているようです。

店内は狭いです。

店内入って左右両面の壁に天井高く棚が聳えており、

左面にはオトナの写真集やエロビデオがずらり、

右面にはコミックが隙間なく埋まっています。

店内中央には文庫本や小説単行本などを並べた棚が二列置いてあります。


小生は中学2年まで泡嶋書房に入店しても、

左面のオトナのコーナーからは目を背けるようにして、

遠慮してるように見せていました。

おそらくは、オトナの写真集を一冊レジへ持っていったとしても、

「キミにはまだ早いだろ」と突き返され、

お客自身に棚の元あったところへ戻させられるに決まっています。


しかし、その日の小生には何らかの衝動が起きました。

「熱烈投稿」だったか学生向きの投稿写真専門の雑誌を棚から抜きとると、

小林まことの「ホワッツ マイケル?」、

そして吉田戦車の「伝染るんです。」を以て、

突きあたりのレジへ何食わぬ顔をして向かいました。


常駐している中年の店長は「いらっしゃい」とだけ口を開いて、

にこにこ笑いながら袋に詰めてくれたので、

安堵するとともに、

〈おれもやれば出来るんだ〉というような、

えも言われぬ達成感が湧き起こりました。

後日、「ホワッツ マイケル?」と「伝染るんです。」だけ、

多坂(仮名)と甲村(仮名)に貸してやりました。


そのころ、バブル崩壊のニュースが連日放送され、

日本を暗雲が立ちこめつつありました。

小生もまた、4月から暗黒の中3時代が訪れるとも知らず、

3学期の終業式を迎えようとしていました。


Mi-Ke「想い出の九十九里浜」(1991年)

YouTubeで視聴する https://youtu.be/2jf5qfZTrrw?si=3msW0uczBg0JJw6R


続く。果てしなく続く……。

(まだまだ続くよーっ!お楽しみに〜!)


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