表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/53

第0002撃「メタ氏、中学生となり部活に入る!!」の巻



平成元年1989年、4月、中学1年の1学期。


1989年の春、

小生は中学受験に見事玉砕し、

地元の公立、芝嶋中学校へと進学することとなりました。


名門中学の制服に袖を通し、

朝の通学路を鼻高々に闊歩するはずだったのが、

人生、何が起こるか分からぬものであります。


入学して間もなく、

小学校は違えど顔馴染みだった紀野に、

「部活、どこに入るん?」と訊いてみました。


紀野は「技術部やな」と、ためらいもなく答えました。


紀野は、ミニ四駆を改造したり、

模型を組み立てたりすることに長けた男であります。

技術部というのも、いかにも彼らしい選択で、

「職人の道を進む気やな」と、小生は納得したのであります。


もっとも、小生には技術部など、

ハンダごてと電気コードが縦横に走る世界など、

どうにも敷居が高うございました。


「ちょっと無理やな……」と一人ごちたところで、

今度は多坂を見つけ、声をかけてみました。


「部活、どこ入るん?」


「テニス部やな」


と、彼は実にあっさりと答えました。


「テニスボールって、当たったら痛いんちゃう?」


「アホか、軟式やぞ、ゴムボールや!」


なるほど、軟式という言葉の響きに、

小生の心はやや前向きになったのであります。

何より、友と一緒というのは心強い。


「よし、それやったら小生も……」と、

気持ちはすっかりテニス部入部モードへ。


ところが運命の土曜日、

午前中の授業を終え、午後は部活説明会。


体育館には各クラブの代表者が壇上に並び、

マイク片手に自クラブの魅力をアピールするわけですが、

その中に、ひときわ異彩を放つ御仁がいました。


肌は小麦色、

髪は天然パーマで、ふわりふわり。

さながら、黒人ジャズシンガーのような風貌。


その人こそ、写真部の部長、渡瀬氏(仮名)でありました。


小生、その時点ではまだ、

「まあぼくはテニス部やし」と、

聞き流していたのですが、


渡瀬氏の「暗室」という言葉に、

なぜか妙に惹かれるものを感じました。


陰陽でいうところの「陰」、

目立たぬ者たちの隠れ家、

そんな空気が、小生の胸をくすぐったのであります。


放課後、

各クラブを自由に見学する時間となり、

小生はまずテニス部の様子を見に行きました。


ところが、そこはすでに大盛況。

人が多すぎて、コートを見るどころか、

何がなんやら分からない状態。


「これは……縁がないな」


と判断し、ふらふらと、

写真部を目指して校舎の奥へ向かいました。


人気のない階段の隅、

白く塗られた木の戸の上に、

「写真部」のプレート。


コンコンとノックすると、


「誰や誰やー!?」


と、中から陽気な声が。


扉が開くと、あのジャズシンガー顔の渡瀬部長。


「おう、写真部へようこそー!!」


と、小生の腕を取り、

ぐいっと中へ引きずり込みました。


そこが、写真部の部室。


正確には、「暗室」と呼ばれる場所でありました。


階段の真下の三角形の空間に、

木の椅子、長机、

その奥には、現像機が3台。


「まあまあ、座ったってや」


と部長に促され、

小生は木の椅子に腰かけると、


「腹減ってるやろ?」


と、カップヌードルを差し出されました。

すでにお湯ポットまで完備。


どこかの秘密結社の勧誘を彷彿とさせる接待であります。


さらに、奥では女子部員が紙にシャーペンでコマを割り、

いわゆる漫画を描いておりました。


なんと創造的な空間でありましょうや。


赤いライトを灯せば、

そこはもはや心霊スポット。


恐ろしくも、落ち着く。

そんな矛盾した感情に包まれた小生は、

帰り際、入部届けを提出しておりました。


2日後の月曜、

多坂に向かって小生は言いました。


「写真部、めちゃくちゃ楽しいぞ!

毎日放課後、テーマパークやで!」


勢いそのままに、多坂も入部。

ふたりそろって写真部の門をくぐることとなりました。


かくして、

小生の芝嶋中学生活は、

陰の空間「暗室」とともに静かに幕を開けたのでありました。



続くよ。果てしなく続く……。

(まだまだ続くよーっ!お楽しみに〜!)



いつもお読みくださり、

無限の無限のありがとうございまする☆

ブックマーク(フォロー)していただけますと嬉しいです。

では、ご氣元よう‼️

( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )੭⁾⁾


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ