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恋の絆は虹の色 【妹でも恋していい?】  作者: 小林汐希
【第1部】初めて、恋を始めます
17/33

17話 つかの間の日常に突然の嵐




 二学期になって、私は高校の学校祭の準備のために学校に残ることが多くなった。


 平日はお兄ちゃんも仕事だから、ちょうど良かったのかもしれないけど。


 あれから、これまでの分を縮めたくて何度もデートをした。


 お兄ちゃんとの関係も、最初の何となく恥ずかしいようなぎこちなさは少しずつ無くなってきた。


 


 もっとも佐紀から見たら、私たちはとっくに交際しているのかと思っていたそうで、今回の話に「まだだったの?!」と驚いていたくらい。


 私も少しずつ話し方を変えてみたり、お兄ちゃんから秀一さんと呼んでみたり。まだ試行錯誤が続く。それはそれでドキドキしたり、楽しみだったりする。


 調理室で学校祭へのクラブ参加申請の書類を書いていたときに、佐紀にあの日もらった指輪を見つかってしまった。普段はアクセサリ禁止でペンケースに入れていたのを見付けられてしまった。


「あーあ、やっぱりお兄さんは強かったか。この固い桜を手に入れるなんて」


 彼女の目的は、夏休みの補習に出された課題。


 私が遅くまで帰らないのを知ってから、こっちに来るようになった。


「佐紀だって祐介くんとうまくいったんでしょ? 文句は言わない」


「だってさぁ、桜んとこはドラマみたいじゃん。あたしもそういう恋がよかったなぁ」


「それ言っちゃ、祐介くんに失礼だよ」


 祐介くんも可哀想な話だ。でも、彼なりに考えた結果らしい。先日も初デートをしてきたとのこと。


「年下だけど、ちゃんとエスコートもしてきたわよ。まぁ、桜をターゲットにしていたなら、そのくらい練習していても当たり前よね」


「それって、どういう意味?」


 まったく、答えに困ってしまう。


「桜も鈍感だよねぇ。あれだけみんなに注目されてんのに、全然気付かないんだもん」


 彼女に言わせれば、雑誌などのメディアにも登場する私。


 男子からの注目度も非常に高かったし、駅などに置かれるフリーペーパーに載ると写真目当てで持っていく子も多かったって。


 そして、そのクライマックスとも言えるのが、来月の学校祭だった。


 この料理クラブでも、模擬店と言う形で参加をしているけど、私が入学してからは、お店のメニューを一部カスタマイズして出すようにしている。


 調理室の一部を使ったオープンキッチン風にして、さながら『さくら出張店舗』の様相だ。


 当日の私はと言えば、お店の服を着て調理場とホールを受け持つのだけど、私が3年生となる今年が最後になる予定だから、きっと校内日も一般公開日とも働き通しだろうな。


 クラブのメンバーにも、今年は忙しいと予告はしてあった。


 必要なものをルーズリーフに書き留めていながら、この日も放課後の時間に入っていた。


 雨が降っていて、この調理室前の廊下でも運動部のトレーニングが行われている。


「桜、スマホが鳴ってるよ」


「ありがとう」


 お兄ちゃんからだった。


 今日は仕事の出張から帰る日だったから、昼過ぎには戻ると言っていたっけ。


「もしもし?」


「あ、桜か? マスターが大変だ!」


 緊迫した声が内容を聞く前に事の重大性を伝えてくる。


「お父さんが?」


「とにかく、帰ってきてから話す」


「すぐに帰るから!」


 私は片づけをほかのメンバーに任せ、バックをつかみ取って調理室を飛び出しそのまま外に走った。


 頭のなかは真っ白で、途中一度も止まらずに走り通す。


 お店の前にお兄ちゃんが待っていてくれた。


「お兄ちゃん!」


「桜、ずぶ濡れだぞ。また風邪ひいちまう」


 仕方ない。傘もささずに走ってきた。気がつけば、上履きのままだったことに今ごろ気付いた。


 制服もずぶ濡れ、上履きや白いハイソックスも泥はねで真っ黒だ。でもそんなことは今はどうでもいい。


「お父さんは?」


 私は鍵を開け、濡れた服をハンガーにかけたり洗濯機に放り込んで自分の部屋に向かった。


 お兄ちゃんの前で下着までの全交換だったけど、気にする余裕なんてその時の私にはなかったのだから。


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