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要石の話

作者: 志名波諸智

実話怪談風に書かれた創作です。実話ではありません。

植木職人Aさんの話。



Aさんの故郷の神社には要石という大きな石があったという。


要石というのは、有名なところでは鹿島神宮や香取神社などにあって、地面を繋ぎ止めて地下の奥底深くにいる大鯰だか龍だかをおさえつけて地震をおこさせないようにしている、という石のことである。


Aさんの故郷の要石にも同じような伝承が伝わっていたということだが、子供の頃、いたずら心をおこして要石の底を見ようとまわりに穴を掘ってみたことがあったらしい。子供のいたずらだから大した深さまで掘れた訳ではないのだろうが、掘っても掘っても底は見えず、なるほど大きなものだなあ、とAさんは思ったそうだ。


ところが、ある日、掘っていた穴の底にぼこっと空気穴のような穴が開いたのだという。


何の穴だろうと思ったAさんは木の枝を差し込んでみたり小石を落としてみたりしたそうだが、穴からは何の反応も返ってこない。


どれだけ深いのだろうと思ったAさんは、手水から柄杓で汲んできた水を穴に流し込んでみようとしたのだそうだ。



「やめろ!」



山全体がざあっと揺れるようなとんでもなく大きな怒声が轟いて、Aさんは思わず柄杓を投げ出して家へと逃げ帰った。


次の日、恐る恐る要石の様子を見に神社へ行ってみると、Aさんが掘ったはずの穴までなくなって要石は何事もなかったように立っていたという。


「山が揺れるほどの大声で怒鳴られたんですが、他の誰もその声は聞いていなかったんですよ。あの声は何だったんでしょうね」

と、不思議そうにAさんは語った。

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