第ニ話 星霊との出会い
「初めまして、マスター」
目の前に突如現れた青髪の少女が喋った。マスターとは....俺のことだろうか。唖然として言葉に詰まる。
「私の名はテルス、人間ではありません。この地球の力を宿した、星霊という存在です。貴方は星霊同士の争い、星戦の参加者に選ばれました」
「….」
「貴方が先ほど手にした虹色の石、あれは輝石といい、それを拾った者が星霊のマスターとなり、星戦に参加するのです」
「ちょっと待ってくれ!いきなり出てきて色々言われても分かんねぇよ!」
言ってることはなんとか分かるが頭が追いつかない。何が起きているのか。
頭がパンクしそうだ。
「す、すみません!マスター、つい....」
「あとそのマスターってのもやめてくれ」
「すみません....あ、貴方の名前を教えて下さい」
「....星田 翔」
「了解しました。では、翔さん。順を追ってお話します。星霊は、星戦と呼ばれる戦いの為に生まれました。そしてその星戦というのが、先ほど貴方が手にしたその輝石をめぐって八人の星霊が戦い、最後に全ての輝石を手にしたものが勝者となる、というものです」
「八人....そうか、太陽系の惑星と同じ数」
「その通りです。星霊はメルクス、ウェヌス、テルス、マルス、ユピテル、サートゥス、ウラヌス、ネプトゥスの八人です」
「ほう......とりあえず寒いから、家に帰ろう」
「ただいまーって、そっか、母さんたち出張でどっちも2週間くらい帰ってこないのか....さて、色々と疲れたから夜飯食おう。冷静に考えるのはそれからだ....えっと、テルスって言ったっけ。食事はするのか?」
「基本的に必要はありませんが、頂けるのであれば、是非お願いしたいです」
「分かった。たいして美味くはないかもしれないが、両親いない時が多いからさ、多少は料理が出来る。作ってやるよ。座って待っててくれ」
「ありがとうございます!」
俺は廊下で制服を脱ぎ洋服に着替え、台所に向かい、エプロンをつけ、料理を始める前に風呂場のお湯を沸かしておく。
今日は冬至だから、柚も忘れずに。
さて、俺は超簡単なものしか作れない。炒飯でも作るか。
20分ほどで完成、二人分の皿を机に持っていく。
「出来たぞ」
「ありがとうございます」
「では早速」
「「いただきます」」
とりあえず食いながら、さっきの話の続きを聞く。
「星戦、別名プラネッツ・ロワイヤルは20年に一度、太陽系の各惑星の力を宿した星霊が戦い、どの惑星が一番力を持っているのかを競うものです。星戦に勝利した惑星は今後20年間の繁栄を約束され、その星霊は[神]と等しい存在へとなり、そしてそのマスターは、どんな願いも一つだけ叶えることが出来ます」
「神?」
「はい、正確にいうとこの太陽系全てを把握し、管理する者といったところでしょうか。ですから、翔さん達が普段想像する神様とはちょっと違いますね」
「へぇ....それで勝ったら願いが叶うのか」
「はい、大体の願いは」
「願いねぇ....特に無いんだよなぁ」
「そしてさっき拾った輝石は、私の体の中にあります。コアといった所ですかね。輝石は精霊の根幹、私たち星霊は輝石の力によってこうして具現化することが出来ているのです」
そんな話をしつつ、夕食が終わった。
「さて、テルスは風呂入るのか?」
「入らせていただけるのであれば、是非」
「着替えってどうすりゃいい」
「衣服は私の力で簡単に新しいものを用意出来ますので、心配はありません」
「ならいいんだ。準備してくるから、先入っちゃっていいよ」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
「右側のボトルがジャンプーで、左側のボトルがボディーソープだ」
「ありがとうございます」
俺はテルスを風呂場に案内してから、部屋に戻った。
....シャワーの音が聞こえる。
星霊って言っても、やっぱ普通の女の子と変わらないような気がする。
とりあえず、テレビでも見て落ち着こう....
少ししてから、テルスが風呂から出てきた。
「上がりましたよ、翔さん。お風呂に柚が浮かんでましたけど」
「今日は冬至って行って一年で一番太陽が沈むのが早いんだ。だからというか何というか、昔から冬至の日は柚風呂って風習があるんだとさ」
「そうなんですか。いい香りがしましたよ」
「満足いただけたようで何より。じゃあ入ってくる」
俺は風呂場に行き、そのまま軽くシャワーで体を流してからゆっくりと湯船に浸かる。
とりあえず、これまでの状況整理をしよう。
今日の風呂は長風呂になりそうだ。
今回も読んでいただきありがとうございました。