推しを嫁にできました
書いてみました
のちのちこれも完成させたいと思います
推しという言葉を俺は使ったことがない、そもそもそんなこと言葉を使う場面もなかった。
そもそも推しという言葉はオタクたちが使っていた言葉だったし存在を知らなかったというのが正しい
しかしあの人に会ってからいろいろなことが変わり始めたようだった。
時間は数日前に遡る
今日はうちの会社の大規模なパーティがある。
営業部である俺は今回売上成績が上位になったらしく表彰されることになった。
その会場は東京の一等地にある名前が知れた大型のホテルだった。
そのでかい会場で行われるパーティはとんでもなく規模がでかいものだった。
2000名ほど入るホテルの宴会場の社長や会長が見つめる中ステージに立って表彰される。
控えめに言って滅茶苦茶緊張している。
「ど、どうしよう…」
心臓はバクバクと騒ぎ立てるし汗は止まらない
完全にパニックになっていた
近くにあったトイレの個室に入る
周りの音など全く聞こえない
刻一刻と迫ってきている
仕方なくそのトイレから出ていき会場に戻ろうとした時にホテルの従業員の女性が声をかけてきた。
「お客様、顔色が優れないように見えますが大丈夫ですか?」
そこにはとても可愛い女性が立っていた
少し心配そうな顔をしてこちらを見つめている。
黒髪で髪の毛を少し伸ばした彼女はきりっとしたクールビューティのような雰囲気がある女性だった。
「大丈夫ですか?」
再度確認される
「すみません、大丈夫です、心配をかけてすみません」
「お気になさらないでください」
その時の彼女は凄く素敵で思わず見とれてしまった。
彼女はごゆっくりと呟いてまた違うところに歩いて行った。
そろそろパーティが始まる、そしてスピーチをしなくてはならないはずなのにそんなことはどうでも良くなっていた。
それと同時に緊張もどこかに飛んでいってしまったようだ。
「これより高山営業株式会社の定例パーティを始めます!!」
このパーティの主催が話し始める、暫く話をした後に表彰に移ることになった。
その後あんなに考えていたスピーチも気づいたら特に問題なく終わることができた。
それ以上に頭の中を埋めていたのはあの女性の事だった。
どうしても名前を知りたいと思った。
しかしその手順が分からずに困っていると、例の女性が会場の近くにいることを見つけ何食わぬ顔で声をかけた。
「先ほどはありがとうございました、おかげさまで無事に終わりました」
先ほどのお礼を伝える。
「それなら良かったです、そのあとは気分が悪いとかはございませんか?」
「大丈夫です、特に問題ないです。」
「それなら良かった、少し心配だったんです、でもわざわざお礼を言いにここまで来たのですか?」
「それもありますが、それ以外にも少しお話がありまして...」
「お話ですか?しかし今は仕事中なので申し訳ありませんが出来かねます」
「それもそうですね、すみません、後日時間をいただくことはできますか?」
「申し訳ありませんが仕事とプライベートは分けているのですみません」
「そうですか..ではこれだけ言わせてください、貴方に一目ぼれしました!今度食事でもどうですか?」
それを言った瞬間、何を言っているんだと猛烈に後悔した
しかし言ってしまったことはなかったことには出来ないしこの人ともっと話したいと思ったのは事実だ
暫くの沈黙の後に彼女が口を開いた。
「面白い人ですね、これ私の連絡先です、近いうちに少し話しましょうか」
彼女はそういうとラインを交換しようとスマホを差し出してきた。
「ありがとうございます!」
俺はそういうと自分のスマホを取り出して連絡先を交換した。
峰沢小豆と新規に登録されたラインを見る
ピコン!といった音の後に一言
「よろしくお願いします」
とそっけなくだけど書かれたその文字をみて舞い上がってしまった。
会社のパーティは何事もなく終わり解散することになった。
二次会があるようだったが何とか断り帰路についた。
そこから峰沢さんとラインすることが増えた
今日こんなことがあったとか、こんな料理が新たに発表されたんですよ!とか
峰沢さんはラインだと少しおしゃべりでそのギャップがまたカワイイ
そんな風に少しずつ、少しずつ峰沢さんの表情を知っていく
そんなことを繰り返して1月が経った後に自分からご飯に誘ってみることにした。
「今度時間があるときに食事でもどうですか?」
「えぇ、一緒に行きましょうか」
軽い返事がLINEで返ってきた
それだけで胸が弾む、自分はこの人ともっと仲良くなりたいと思ってる
でもここからさらに進んでいく方法が分からない。
そんな不器用な俺の物語。
私、峰沢小豆はホテルで働いている。
今年で8年目になる会社を辞める人が多いホテル業では割と長くいる方だと思う
実際私の同期は入社した時には20人以上いたものだが今は数人しかいない
それも激務なわりに給料が安くわりに合わないと感じることがとても多いからだ
それでも私は続けている、それはなぜか。
簡単なことで他にやりたいこともないからだ。
皆他に夢があってそれに向かって進んでいったけれど私には特になかった。
だからなんとなく今の会社に残っている
そんな感じだった。
今日はとても大きなパーティがある、私は直接お客様とかかわることはないけれど。
そんな感じで館内を巡回していると凄く顔が青いなった男性がうずくまっていた。
流石にそんな男性を放置するわけにもいかずに声をかけることにした。
「大丈夫ですか?」
あまりにもありきたりな言葉。
でもその男性はこちらを見て一瞬ぼっーとしたと思った後「大丈夫です...」と小声で呟く
そんな彼を見捨てるわけにもいかずに暫く一緒にいることにした。
本来だったらもっと違う処置があったのかもしれないけどどうしても動くことができなかった。
それからしばらくすると男性は立ち上がりもう大丈夫です。と声をかけて会場に戻っていった。
その姿を見て少しかっこいいと思いながらも自分の職務に戻ることにした。
ある程度して会場も盛り上がってきたところで先ほどの男性が出てきた。
私を見ると近づいてくる。
「先ほどはありがとうございました」
その男性がお礼を言ってきた。
私としては何もなく終わったみたいで良かったと思いながら彼と少し話をすることになった。
本来は仕事中なので怒られるのだが今日のマネージャーは待機という命令を出して去っていった。
彼は柏田満というらしい
大企業の高山営業株式会社の営業部の3年目らしい。
何でも営業の成績が良かったらしく表彰されスピーチをすることになったらしくあんなに緊張していたらしい。
彼はある程度話していった後に少し言いづらそうに口を開いてきた
「もしよければ今度食事でもいきませんか!!」
かなり緊張していたんだろう、声が大きくて周りの人が何事かと見つめていた
しかし今は仕事中、それに初めて会った人に連絡先を教えるなんてありえない
でもその人にだけは教えてもいいかなと思うようになった。
「これが私の連絡先です、よろしくお願いしますね」
気付いたら連絡先を交換していた、これが出会いだった。
しかし連絡先を交換してからも暫くは会えなかった、お互いの仕事が忙しくなってしまったからだ。
ホテル業と営業職お互いの時間は完全に不規則で連絡が返ってくるのも不定期だった。
それでようやく会えたのはそれから数日たった後だった
読んでいただきありがとうございました
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