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子連れ王女と誓言  作者: rare
7/8

泣き声

8

「これはこれは、このような辺境に、どうぞいらっしゃいました」

 司会の男が近づいてくる。

 男は司会とは思えぬほど質素な格好をしている。質素な出で立ちで溶け込みたいのか、それとも元からそのような心持ちの男なのか。

「……どうも。本日は、立ち寄ってしまい……」

 アーファが言葉を選んでいると、

「良いんですよ。ここは、科学を信望する者の集まりですから」

 司会の男の言葉に、アーファはふと隣の老婆を見た。目が頷いている。

「どうやら貴女は〝言霊〟の祝福を受けているようだ。しかも、かなり特殊な」

 司会の男がにこりと笑う。好感が持てる中年の男だった。

「私は……。私はこれから何処へ向かえばいいのでしょうか?」

 アーファは思い切って訊いてみた。男には頼れる何かがあった。

「貴女の道は決まっている。それをどうこうすることは出来ません」

 司会の男は踵を返して前方に戻っていこうとした。

 そのとき、初めて赤子が声を出して泣いた。

――「ほぎゃあ」

 赤子の声を聴いたとき、司会の男の足取りが泊まった。

 そのまま止まって、ブツブツと呟き続ける。

「……そうか……運命は……我々をも……この日が……」

 司会の男が振り返った。

「太古からの数式の謎が、その赤子の泣き声に含まれていました。既に我々に影響を――」

 そう朗らかに話す男の旨に、風を切る音と共に、弓矢が突き刺さっていた。

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