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聖玉と巫女の物語  作者: ともるん
25/53

目覚め

(温かい)

 

眠りから覚めたアシュリータは、自分がアルマンの翼の中にいることに気付いた。


「……!」

 彼の傍らにはゴヴィが寄り添っていた。大きな体を丸めている。


(これがゴヴィ? こんな近くで見るのは初めて。なんて、なめらかで美しい毛並み)

 鋭い爪は隠れているのか見当たらなかった。


 その時、外から風の音がした。

 ここは、例の屋敷ではなかった。


 即座に、アシュリータは自分が巨大な木のうろの中にいることに気付いた。

 うろの小さな入り口には、つららが下がっており、雪がちらついているのが見えた。


「雪……」

 思わず漏れた声に、アルマンが身じろいだ。


「……戻ってきたか」

 それは、元の世界にいることを意味していた。


(ここは……北の森の中?)


「……!」

 アシュリータは動こうとして、ハッとした。

 腰から下が動かない。

 見ると、木と同化していた。

 アルマンも同じだった。


「驚かせてすまない。これでずっと栄養をもらってた」

 そうするうちに、木と同化していた部分がみるみる人間の足へと変化していった。


(木に寄生していたということ?)

 まるで母親の胎内を思わせるような空間だった。


(アルマンはこうやって時々、自分の世界に閉じこもっていたの)

 アシュリータは彼の体温にくるまれながら、彼の心に触れている気がした。


 アルマンは、大人しく寄り添っているゴヴィの頭を優しく撫でていた。

「そうか、とうとう出発したか」

 まるでゴヴィと話をしているように見えた。


「準備がととのった」

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