第1話
まだ太陽も昇っていない早朝。開けた窓からは少しばかり肌寒い風が流れ込んでくるが寝起きの目覚まし代わりになるには、ちょうどいいぐらいのものだ。自分が寝ていた横に誰かが寝ていたようだが記憶にはない。学院の制服を手に取り、着替える。『さて、次はどこへ行こうか···』
「え?」
誰かちいさな女の子のような声が頭の中に響く。周りを見渡すが勿論誰もいない。着替え終わり部屋から出ようとドアノブがある場所に手をかけ······ようとして、あたかもそこは壁であったかのように何も無くなってしまっていた。ならば、窓はどうかと左を向く、がそこにも壁しかなく、左また左へと目を移動させ部屋を1周見回し終えたことに気付く。
しかし、扉や窓があった場所の色はよくみると少しだけ違っていた。
『もう、終わり?動くことは出来ないの?自由を失うの?』
今度は先程の声よりも大人びていてどこか色っぽく感じる。
「一体なんのことだ?僕は起きたらここにいた、ただそれだけだ。何も知りはしないのに······」
『あっれぇー、連れてくる子間違えたかにゃー?』
「一人で勝手に話すのはやめてくれ。早く俺の前に出てきてどうゆうことか教えろ!」
「夜刀、お前は本当に何もわからないんだな」
「何故、その名をお前が知っている………」
「あら、ごめんなさい。少しばかり、お喋りが過ぎたわね」
女がそういうと同時に辺りが白くなり、意識が薄れていく感覚と共に地面に倒れた。