覚醒(掌編)
最後の絵は、私の心臓だった。
それはもう外には青空が広がっていることくらい、当たり前のように。
そしてそれは鼓動を繰り返していた。
ドクン、ドクンと。
少しずつ勢いを衰えながらも、一分一秒、与えられた使命を果たそうと、動かしている。
なぜだろう、それは当たり前のはずなのに。
なぜだろう、激しい胸苦しさを覚える。
今起こったことを、全てを拒絶してしまいたい。
どうしてこうなったのだろう。ただ単に絵を見ていたはずなのに。ぐちゃぐちゃに私の身体をいじくりまわされている感覚は他の五枚からも感じたけど、これは例外だ。
全てを象徴するそれは、確かに私の心臓だ。間違いない。
それでも私はそれを抱え込まなければならない。
それは本来私の一部として存在して、私を見守り、そして――
言葉が途切れる。
泣きだせば、それは全て嘘として流されてしまう。その方が楽かもしれない。
でも泣き出すことを私は許さなかった。そうしてしまえば、私はここに存在しない。
それは一種の空虚かもしれない。それは一種の孤独かもしれない。
それでも泣き出すことは許さない。いや、許されてはならない。
私がここにいる意味が消えてしまいそうで、怖い。
でもここでは立っていなければならない。
意味を失ってはならないから。自らを守るために。
自らの身体を抱いて、震えが止まることを切に願った。それでも止まらない。
そのときいつの間にか誰かが後ろで立っていた。そして私の肩に右手を置いた。
「頑張りましたね。心配しなくてもいいのですよ、あなたはここにいる」
それは突然祝福の鐘が鳴り響くように、そっと、春の木漏れ日のような優しい声で。
「いつまでも見守っています」
それを合図に、私の意識が風のように消えて行って――
意識が水面へと浮かび上がる。
この作品の構想は一年ほど前から組み立てていたのですが、やはり書き出してみるといろいろと変更してしまいますね。特に詩の数と最後の文章に関しては、予定とは異なってしまいました。でもこれで良かったのかもしれません。僕はそう思います。
こうして久しぶりに文章を書いてみると、物凄く下手になった感が否めない。いや、もともとそこまで文章は上手くないし、詩もそこまで……という感じですけど。それでも文章を書くことでいろいろと見えてくるものもありました。特に最後の文章は、自分でも数日間はほったらかし、というかうまく書けなかったのですけど、ふと自分を自由にしてみると、すらすらと。でもこの文章、怖いですよね、たぶん。書いている俺が多少怖かったし。でもそれでも自分なりに上手く書けたか、と問われればNOですね。やはりこういった部分は特に難しいです。でも個人的にはタイトル通り、これは「入り口」です。そこから深く入り込めるようになっていきたいです。
こんな変な文章を読んでいただいた人は凄いです。逆に感心してしまいます。ですが、ありがとうございます。




