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この知識を異世界で  作者: ココナッツ
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アイデンの森

-1-

アイデンの森とはエレメンティス最大級の森であり、素材の宝庫として名高いのと同時に、木々が高くそびえ立っており視界も良くない。おまけに森の中腹にはダンジョンがあり、森の最深部付近には小型とは言えドラゴンや毒蟲などの恐ろしいものが蔓延る世界有数の迷宮と呼ばれている。

しかし、それも中層や深層の話であり浅い部分ではそれ程危険な生き物もおらず、新人冒険者が先輩冒険者に連れられて来ることら良くある事である。しかし当然ながら低層にはいい素材は少なく交通費も考えるとあまり良い稼ぎ場とは言い難いのも事実である。

-2-

「ふっふっふっ」

洞窟での生活が慣れてくると不思議と余裕が出てくるものでこの世界で生き抜くためのトレーニングを始めることにした。そこで真っ先に思いついたのが走り込み……つまり基礎体力作りである。平面ではなく森の中を走っているので余計負荷が掛かり体力と足腰の筋肉が鍛えられていく。体感で5キロ程走ったところで走るのを止め、ゆっくり呼吸をする。

「今日の走り込みはこんなもんでいいか。それより、いい加減街に行くための用意も始めないとな……」

走り込みを終え軽くストレッチをしながらこれからの予定を思い浮かべる。一先ず街で売れそうなものを候補に挙げていく

「(塗り薬、解熱剤、上薬草、あとは……調味料が少しあるがこれだけじゃ買い取ってはくれないか?)」

街に入るのも暮らすのも何にしても先立つ物にはお金が必要である。こちら側に来る際に得た知識では薬類は割と売れるらしいので、こちらをメインにして金策をしていくことになるだろう。

「っにしてもこれ、どうすっかな……」

そう呟きながらながら魔力量を測った時にできた水溜りと、その周りで急成長した魔草を眺める。

魔草とは魔力を含んだ普通の薬草などより高い効果を保有する特殊な薬草の総称で、魔力を豊富に含んだ水辺に生えていたり、霊山やダンジョンなど魔力が濃い場所などで見られるものである。今回水溜りに生えてきた魔草はムーングラスと呼ばれ三日月状の黄色い草でマナポーションの原料となるものである。

「でも、乳鉢と乳棒だけじゃまず無理だよなぁ。魔石とか硬化材とかも必要だし、専用の包丁なんかも必要だし……」

ムーングラスなどの魔草は特殊な加工をしなければ効力は発揮されないものも多い。ムーングラスの場合、まず細かく刻みそれを細かく砕いた魔石と一緒に混ぜるようにすり潰しペースト状にする。次に専用の布で余計な水分などを絞る。この水分も役に立つものなのでビンなどに溜めておく。水分が無くなったら硬化材で固めて完成である。ちなみに絞った水分は甘く調味料になる。

「んー保存は出来るし単体で売っても良いんだけど、少し勿体無い気も……むー」

ムーングラスをどうするかで悶々と考えながら手槍を振ったり突いたりして、体に慣らしながら呟く。

「そもそもまだしばらくここーーーーアイデンの森からは抜けられそうには無いね」

数日の暮らしでここがアイデンの森であることが確定していたのだった。

-3-

なんだかんだ色々やっていくうちに、こちらに来ておよそ二週間ほど経ちいよいよライトウルフを退治しようと立ち上がった。

元は平和な日本から来たこともあり殺すことに躊躇いはあるものの罠に掛かったウサギなどを殺して食べているため、少しは慣れ始めている。

「それに、いい加減自分がどれくらい自衛できるのかとかも確認しなきゃダメだし、避けては通れない道だしね」

右手に握る手槍をクルクル回しながらライトウルフを探す。ここがアイデンの森の比較的浅いとこであるとわかった今、ある程度の力が無ければやられると言うのは分かっており、魔法だけではダメだと思ったからである。

幸いにも、手槍の扱いや基本戦闘術などの知識もあるため降れば振っただけ力になっていると実感できていた。

「っ!いた」

30分ほど歩き回り、二匹のライトウルフを発見した。双方とも平均的な大きさでねずみ色の体毛が風に揺られ寝そべっており、二匹がこちらに気づいた様子はない。そっと風下に移動しドクドクとなる胸を押さえつける。

「大丈夫、俺なら出来る。いざとなれば魔法もある。大丈夫、大丈夫」

初の魔物戦ということもあり、手足は震え逃げたしたい気持ちで一杯になる。しかし、必死に己を鼓舞し手槍を握り直すとライトウルフの前に飛び出し片方のライトウルフの顔面目掛けて一気に突き出した。

「ぎゃうん!?」

不意打ちであったことも幸いし見事に頭を潰されたライトウルフはヨロヨロと倒れ顔から血を流している。

「グゥゥ…ガァァア!!」

仲間をやられたライトウルフは怒りに身を任せ噛み付こうと腕に迫る。

「っ!!」

咄嗟に手槍を横薙ぎにし軽くではあるがライトウルフの腹に傷をつける。この事に相手が格上であると悟ったライトウルフは踵を返すとさっさと逃げていった。

「はぁはぁ…勝ててよかった……」

震える手を見ながらぼんやりとつぶやいた。

震えが収まった頃にはライトウルフを洞窟まで引っ張り毛皮などを切り分けて、ライトウルフの肉で祝勝会をした。



未だに主人公の名前も出てこないが、こんなペースで大丈夫だろうか……


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