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蒼空と昊  作者: 鳳篠晶來
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〈空〉が繋ぐ、僕と君

 半年前―。

 僕はまだ少し生温さを伴う、初秋の風が漂い始めた学校の屋上へと足を運んでいた。その手には、一眼レフのカメラを持って。カメラはカメラと言っても、人物や風景を撮る為の物では無い為、少しだけ通常のものとは違う。このカメラは、夜景―といっても特に夜空―を撮る為のカメラだった。

「うーん……、イマイチ納得いかないな……」

 視界の半分が星が瞬き始めた藍色、半分が夕焼けに染まるオレンジ色。その空の様子を、数枚フィルムに収めてからぽつりと呟いた。

 春からずっとこの学校の屋上でこのような状態の空を撮り続けているが、半年経った今でも、納得出来るような空を撮れたことは一度も無い。この藍色とオレンジ色の混ざり合った時間帯が、昼間の蒼空よりも遥かに短く、一瞬であるということも原因の一つだろう。もう一つの原因は、ただの運だ。僕が納得するような空が再びこの双眸に焼き付けられ、フィルムにも焼き付けられるかどうかなんて、空のきまぐれに掛かっている。もう二度と表さないかもしれないし、気まぐれにある日突然現れるかもしれない。その後者の僅かな希望に掛けて、僕は毎日屋上へと足を運ぶのだ。

「!」

 今日はもう引き返そう、と諦めて踵を返そうと屋上の柵に背を向けた瞬間、屋上のドアが僅かにキィ―、と音を立てて開かれた。

 ―そろそろ部活も終わりだろうに、一体誰がこんな所に。

 そう不思議に思って、僕は思わず足を止める。じっと見つめるドアの向こうから現れたのは、暗い目の茶髪をハーフアップにまとめ、黒い瞳を持つ少女だった。その手には、僕のように本格的な物では無いにしろ、そこそこ値は張るであろうカメラが収められていた。少女はドア付近に立っている僕には見向きもせずに、つかつかと屋上の柵へと足を進める。あまりにもその足が真っ直ぐと柵へと向かっていくものだから、一瞬ひやりとしたがどうやらそうでは無いらしかった。少女は、手中に収めていたカメラを構え、空を撮り始めたからだ。あまりじろじろと姿を眺めていては不自然、というかもはや不審者だと思い、僕は一人夢中になって写真を撮る少女から視線を外し、屋上をそっと去った。


 ―これが、僕が初めてあの人に出逢った日だった。



 あの日から、僕はよく屋上で少女を見かけるようになった。少女が屋上に現れるのは別段決まった時間ではなく、先日のような夕刻に現れる時もあるし、昼休みの時間帯という真昼間に屋上に現れることもあった。そしていつの時間帯も、決まってカメラに空の姿を収め、帰っていくのだ。その時に、少女は時々「違う」といった哀しいような表情を見せて行くことがあった。どうやら彼女も、理想の〈空〉を追い求めているらしかった。ちなみに、何故僕が昼休みまでのことを知っているかというと、昼食は昼休みで幼馴染と摂っているからである。決して、見張っているとかそういうのではない。断じて違う。

 そして今日も、先日初めて出逢ったような夕刻の屋上で、僕と少女は同じ空間にいた。同じと言っても、会話は全くないし、そもそもお互いきっと名前すら知らないだろう。少なくとも、僕は知らない。少女は、さっさとカメラで空の姿を収めると、つかつかと早足でドアの方へと向かっていく。

 ―話しかけたい、喋ってみたい。

 素直に、純粋にそう思った。彼女もきっとまた、理想の〈空〉を追い求めている仲間だ。そんな人から話を聞いてみたいと心が騒ぐのは、「類は友を呼ぶ」ということわざの通りなのか。なんて下らないことが頭をよぎった。

 その間にも、彼女は歩を進め、ドアの前まで来ていた。キィ―、と微かな音を立ててドアが開いた瞬間に、僕は無意識に声を発していた。

「あ、の!」

「……何?」

 高くすぎでもない、低すぎでもない、でもどっちかといえば低いよりの声が僕の鼓膜を震わせた。所謂、ハスキーボイスというものだろうか。

 双方の瞳は、気怠そうに少し細められており、さっさと用件を言え、と目付きとオーラがそれを物語っていた。それに一瞬の怯えを感じたものの、話してみたいという好奇心がそれを押し留めた。

「あのさ、よくこの屋上に来て空の写真を撮ってるよね?」

「それが?」

「君は、写真部なの?」

「……」

 まずは無難な話題から、喋ったつもりだった。いつもその手にカメラを収めているということは、純粋に彼女は写真部なのだと思った。他の理由は、趣味以外にカメラを構える理由はあまり、無いように思えたからだ。

「違う、美術部。絵の資料集めに写真を撮ってるの」

「……そうなんだ」

 だから彼女の口から「美術部」なんて単語が出てきた時、思わずえっと声を発してしまった。

 そうか、美術部だったのか。資料集めと言われれば、確かにそれもそうかとと納得できた。だけど、それならわざわざ〈空〉に執着する意味が分からなかった。

「へぇ、そっか。……じゃあ君はどうして、〈空〉を追い求め続けるんだ」

「……気付いてたんた? ただの美術部員かと思って見逃してくれると思ったんだけどな」

「見逃すっておま……。悪いことしてないんだから、見逃すっていう表現はないだろ」

「それもそうだ」

 彼女は、からからと鈴を転がしたような弾んだ声で笑った。悪いのは目付きだけで、その他はそうでも無いのかもしれないと、半分思った。

「じゃあ逆に聞こう。君は、一体何のために〈空〉を追い求めるの?」

 彼女は、その黒い瞳でじっと僕を見つめた。あの時はよく分からなかったが、深海のように深く、よく見ないと分からないような、綺麗なダークブルーの瞳をしていた。そんな瞳に見つめられ、僕はたじろぐ。

「……質問を質問で返さないでくれ」

「人にものを尋ねるときは、そちらからだと、習わなかった?」

 それが正しかったような、もう少し違う言い回しだったような、と頭を無駄な思考の為に回転させながら、そう言われてしまえば、こっちから話す他無かった。見た目は愛らしいのに、性格は意外とドライなようだ。

 僕は藍色とオレンジ色の空を一瞥してから、口を開いた。

「自分で言うのもなんだけど、そんな大それたもんじゃ無いからな? 至極簡単、シンプルなものだ。

……昔、父親が魅せてくれた〈空〉を、もう一度この双眸に焼き付け、写真に収めたいんだ。


 夜が昼を貪り喰うように、月が太陽を追い立てるようにやってくる、昼間の蒼空が現れる時間よりは遥かに短い、この黄昏時を僕はもう一度見たいんだ。


 ただそれだけの為に、その一瞬の為だけに、僕は理想の〈空〉を追い求めてる。あの綺麗で素晴らしいグラデーションを、もう一度見たい。それに、そんな大それた理由じゃなくても、ただ単に空が好きだから追い求めるっていうのもあるけど」

 他人に、〈空〉の話をしたのは初めてだった。それに対して、少し気恥ずかしく感じる。今まで、僕のように何らかの理由で〈空〉に執着している人は、多分、目の前の彼女が初めてだ。少なくとも、僕が知っている人間の中では。だから、気恥ずかしく思いつつも、少しでも気持ちを共感できたら、という気持ちできっと僕は話しているんだと思う。普通なら、こんなせいぜい学校が同じだというだけの人間に、こんな話はしないだろう。しても、ただ馬鹿にされるだけだ。僕だって、そんなことを言われるぐらいなら、そう安々と口にするほど馬鹿ではない。誰だって、自分の夢を馬鹿にされたくはないし、傷つきたくはないから。

 ―もし、今の彼女も、僕の夢を嘲笑うのなら。

 なんて一瞬、嫌な想像が脳をよぎった。期待を大きな抱きつつも、結局は傷つくことの不安の方が大きいのだ。

 そんな不安を余所に、彼女は満足そうにふっ、と笑った。

「これで僕は君の質問に答えた。今度は、君が答える番だ」

「残念、君が答えたからと言って私が答えるとは、一言も言ってないんだけどな」

「はぁっ?」

 確かに、その通りではあった。

 僕の質問を同じ質問で返されて、まずものを尋ねる時は尋ねた方からだと言われて上手いこと理由を喋らされただけで、一言も彼女が喋るとは言っていないのだ。まんまと嵌められたな、と苦笑いを零しつつ、ポリポリと頬を掻いた。

 その時に、先に話す相手が変わっただけで、聞き返した相手も喋るつもりはあるっていう意味じゃないのかなぁ……。なんて少し思ったのは喉の奥に留まらせておいた。

「つまり、君は話すつもりはない、と?」

「そういうことになるね」

「……詐欺だ……」

「まぁ、そう言わないでよ。でも、私は君の理由を気に入った」

 僕は彼女がそう言ったことに少し驚いて、目を見開く。そう真っ直ぐに、感想を言うタイプじゃないと思っていたからだった(後にそれが間違いではないと知るが)。その行動の意味を汲み取ったのか、「心外」と言ってクスクスと笑った。

「そんな難しい理由で、〈空〉に執着してる方が難しい。理由は、至極簡単、至ってシンプルな方が何故か惹かれるものだし、綺麗だと思える。例え、それが無謀な夢だとしても、ね」

 まるでその無謀で真っ直ぐな夢を追い求める人物を知っているかのように、昊華先輩は懐かしそうに目を細めた。

「そういうもん?」

「そういうもの」

「ふーん」

 僕が理解し難い、という風に口を尖らせると、彼女はまた笑った。よく笑う奴だ、という印象を覚える。

「あぁ、もうこんな時間。そろそろ部室に戻らなきゃ」

「げっ、もう六時か……。まだ初秋とはいえ、夏に比べれば随分暗くなったなー」

「夏至はとうに過ぎているから。……じゃあ、私はこれで。また、逢えるといいね?」

 彼女は、ひらりと黒いスカートを揺らして僕へと背を向ける。

「またなー、……あ」

 またね、の後に彼女の名前を呼ぼうとした瞬間に、まだ僕は彼女の名前を知らないことに気付く。その事実に気付いた瞬間、僕は咄嗟に半ば叫ぶように声を発していた。

「名前は!? 君の名前!」

「また次に逢えたら、その時に教えてあげる」

「えっ」

「それから、私の胸元のネクタイ、見た?」

「は? ……あーっ!」

 指摘されて気付いた、彼女の胸元には風に揺られて赤色のネクタイがそこに在った。この学校では、一年生が緑色のネクタイ。二年生が赤色のネクタイ。三年生が青色のネクタイを着用することになっている。つまり、彼女は一つ上の先輩ということになる。そんな先輩の彼女に、僕は今までずっとタメ口を利いてきたのだ。大声ぐらい上げもする。

 その事実に、パクパクと金魚のように口を開閉させて―彼女から見たら、さぞ滑稽だっただろう―、その場で固まっていた。

「次からは気をつけるように。またね」

 そう言って、彼女は今度こそスカートを翻し、屋上のドアの向こうへと消えていった。多分彼女は、満足そうに笑っていた。

 僕は暫く、金縛りにでもあったかのように、その場から動かなかった。

彼女が先輩であった事実からくる驚きか、それともまた別の意味でなのか。その答えは、今でもあまり分からない。ただ、昊華先輩と出会えた嬉しさというものが、あらぬ方向に表れたのかもしれなかった。




 その日から、屋上へ行くと必ずといっていいほど彼女がそこにいた。いた、というよりは後からやってくるという表現の方が正しい。写真を撮っていると、ひょっこりと後ろから現れるのだ。

 どうやら彼女の名前は、凪野 昊華先輩と言うらしい。

 前回会った約束を、今回は流石におざなりにはしなかった。二回目―正確には三回目だが―に出逢った時に、ちゃんと名前を教えてくれた。漢字も律儀に教えてくれたけど、中々珍しい漢字を書くなと思ったのが正直な感想だ。最近の常用漢字では無い、筈だ。多分。数ある「空」という意味の漢字の中から、敢えてあの漢字を選んだのだから。

先輩の両親は、そこそこ漢字の持つ意味を重視するタイプらしかった。何故なら、この「昊」という漢字には「春の空」という意味があるらしい。先輩の生まれは四月、つまりは春だ。そしてその日は桜が満開だった為に、「昊華」という字を当てたらしい。……全部、昊華先輩から聞いた話だ。余程名前を気に入っているのか、その時の先輩はとても嬉しそうに語ってくれた。……まぁ、〈空〉に執着している人の名前なのだから、存外外れていないな、と思った。

 そんな先輩は、現在不貞腐れたようにぶすっと唇を突き出し、少し眉間に皺を寄せながら、ぷくりと頬を膨らませて僕の隣に腰を下ろして座っている。どうやらご機嫌斜めらしい。

 容姿がそこそこ、というかかなり整っている先輩のそんな姿でさえ、可愛らしく見えるのだから反則だと思う。こういう時、容姿端麗だと色々と武器になったりするよなぁ、と経験したことも無いくせして、妙なことを悟ってしまった。

「……先輩、今日は珍しくご機嫌斜めなんですね」

「美術室を追い出されたの。これじゃあ絵が描けない。最悪」

「……なんでまたそんな大事(おおごと)持ってんだよ……」

 思わず、本人が隣にいるというのに一人ごちてしまった。その呟きをしっかり聞き取ったらしく、「煩い」と言われてしまった。うん、でもさぁ……。話を聞かなくても分かる、多分、先輩が悪い。いや、確証は無いけどな。でもそんな感じの空気だ。まだ両の手に収まる程の回数しか逢っていない僕等だが、先輩の性格はその数回で嫌という程に分かった。

 先輩は、意外と利己主義者で、興味の無いものにはとことん無関心な人だ。

 そういう性格をしているから、なんとなく、厄介事を自分から引き起こすタイプだと思う。

「……で、何が原因で追い出されたんです?」

「……毎回部活の初めに、人物のデッサンとか物のデッサンとかするんだけど、それは必要ないから早く絵を描かせろって顧問に言った。ら、キレられて追い出された。私は、〈空〉の絵を描く為だけに美術部に入ったの。それが出来ないなら、どうでもいいわ」

「……」

 絶句。

 この漢字二文字が、今の状況に一番相応しい言葉だろう。まさか、ここまでとは。

 ―まぁ、好きな事をやれないもどかしさは分からんでも無いけど……。

 いくらなんでも、追い出されるレベルで顧問に文句を言うのはどうかと思う。昊華先輩は怖いもの知らず過ぎて、逆に昊華先輩が恐ろしいぞ。

「じゃあ、今まで屋上に部活の時間中に来てましたけど、それってつまり」

「好きな事をやらせてもらえないなら、行く意味は無いでしょう? だから、サボってたの」

 ―そりゃあ追い出されもするワケだ……。

 今まで真面目に出席せずに、更に今日は基礎練習は必要無い。とまで言われたのだ。そりゃあ顧問もキレるわけだ。明らかにこれは、昊華先輩が悪い。そして顧問はよく一年と半年以上も昊華先輩の我儘に耐えたと思う。今までキレなかった事に対して、僕は賞賛を送りたいね。

「それは昊華先輩が悪い」

「どうして? 描きたいものが描けなければ、意味は無いでしょうに」

「確かにそれはそうかもしれませんが、先輩の描きたい〈空〉を描く時、技量が伴っていないと話になりません」

「蒼茉は、私に下手だと言ってるの?」

「そうじゃありません。今でも十分上手くたって、まだまだ上を目指せるなら目指した方が得じゃないですか。それに、資料のない〈空〉を描くんです。少しでも、レベルアップしておいた方が、先輩にとってもいいと思いませんか」

「……確かに、それはそう」

「でしょう。だから、そのレベルアップをする為に、基礎練習があるんです。……ほら、これで少しは部活に行く気になりましたか」

「……蒼茉に指摘されたのはムカツクけど、その通り。だから、多分、明日から、行く。……と、思う」

「おっ」

 どうやら先輩は、少しは行く気を出してくれたらしい。何やら失礼なことを言われたような気がするが、聞かなかったことにする。ホント、昊華先輩の中の僕という人物は、どういうイメージ像に出来上がっているのか不思議だ。

 僕だって一般人であり、それなりの知識はある。決して馬鹿じゃない。なのにどうして、昊華先輩には馬鹿を見るような目で見られるのか、些か不満である。

 ―まぁでも多分、実際に昊華先輩のが賢いんだろうけどな。

 若干皮肉にも取れないようなことを、心中で一人ごちた。

「じゃあ明日から真面目に部活行くんですね?」

「そういうこと」

「……ちょっと、無くなっちゃいますね。此処(おくじょう)にいる時間」

「何? 蒼茉は、寂しいの?」

「うーん、確かに寂しくないと言えば、多分それは嘘になりますね。だって、放課後は必ず昊華先輩が此処にいて、喋ってたんですから」

「……、蒼茉はきっと馬鹿」

「はっ?」

 ぷくーっと頬を膨らませながら、先輩はそっぽを向いてしまった。さっきまで僕の方が馬鹿なんだろうな、なんて考えていたことを当てられたような気がして、一瞬だけビクつく。だけど、先輩が言いたいことはどうやらそいいう話ではないらしい。

「寂しいならはっきり言えばいいのに。多分とか、そんな曖昧な表現は嫌い」

「……」

 一瞬、先輩が何を言っているのか分からなくてきょとん、と動きを静止してしまう。でもその意見をすぐに理解して、僕はふっと笑い出してしまう。なんだ、案外可愛い所もあるじゃないか。

「何笑ってるのよ」

「いや、先輩も、可愛らしいこと言うなぁって」

「馬鹿なこと言うな」

 可愛い、と言われたのにも関わらず、先輩は存外冷静な態度で言葉を返してきた。可愛いのは口だけで、どうやら態度までは回らないらしい。

 だけど、先輩にだって遠回しに「寂しい」と言ってもらえて、僕の表情筋はさぞ緩んでいたことだろう。その証拠に、此方を向いた昊華先輩が若干引いたような視線を寄越してきた。しかし不可抗力である。先輩の貴重なデレだ。緩まない方が可笑しい。

「先輩、」

「……何?」

「やっぱり僕、とっても寂しいです」

「……そう、それでいいの」

 昊華先輩は、満足そうに笑った。




 それから昊華先輩は、毎日真面目に美術室に通っているようで、屋上に来る機会はめっきりと減った。時々、サボりに来るは来るけれど、それも一週間に一回程度の頻度だ。そう多くない為、顧問も目を瞑っているようだった。元々自由奔放で、気まぐれなお嬢なのだ。ほぼ毎日通っているという事の方が、重大である。

「今日も納得いかない、っと……」

 屋上から、今日の黄昏を見つめて、僕はぽつりと呟いた。




「蒼茉、知ってる?」

「何が?」

「美術室の女王、絶対王政やめたって」

「……ごめん、ナニソレ?」

「……蒼茉は愚鈍、有名な噂。知らない方が可笑しい」

「痛いって、すず!」

 ある日の昼休み、今日は生憎の雨の為、幼馴染と教室で昼食を摂っていると、突然幼馴染が話を振ってきた。決して口数が多いとは言えない彼女が、自ら話を振ってくるのは珍しいと思い、耳を傾ける。が、僕には全くワケの分からない話だった。なんだ、美術室の女王って。

 素直に知らない、と答えると鈴は綺麗な菖蒲あやめいろの双眸をキッと釣り上げて、手近にあった教科書で僕の頭を叩く。角で。当たり前だが、かなり痛い。

 ちなみに、幼馴染の名前はぎん鹿 すず。僕の家の隣に住む、幼馴染兼お隣さんである。まぁ、よくある話だ。

 そして、僕の〈空〉の執着を嘲笑わない、数少ない理解者でもある。形は違えど、鈴だって〈空〉に執着しているからだ。

「蒼茉はいつもどうしてそう愚鈍なの? 何を食べて生きているの? 何を見て生きているの? 何を聞いて生きているの? その口と目と耳はどれも機能してないの?」

「そこまで言われる筋合いはちょーっと無いかな? 鈴?」

「だって事実」

「違うっつってんだろ!」

「蒼茉煩い」

 そして口が少々、というかかなり悪い。容赦無い。グサグサ来る。

 まぁ、鈴がこれで口が悪くなかったらそれはそれで嫌だけどな。そんなの鈴じゃ無いわ。

 ―ガンッ。

「っいってー!」

「何か失礼なことを蒼茉に思われた、気がする」

「そういう直感的な何かで僕の頭殴るのやめてくんない!」

 ぎゃあぎゃあと文句を言ってやるが、鈴は我関せずと言った風にお弁当の中身を咀嚼していく。始めに話振ったの鈴だし、攻撃しかけてきたのも鈴だろ!

「蒼茉の所為で話が進まない」

「僕の所為だけじゃないだろ」

「八割蒼茉」

「逆じゃね」

「……。美術室の女王は―」

「流しやがったコイツ……」

「蒼茉、話を聞く」

「はいはい」

 これ以上抗議していても無駄だと悟り、大人しく鈴の話に耳を傾ける。

「呼び名の通り、美術部の所属。でも、真面目に活動に顔を出したことは今まで無い」

「……」

 ―あれ?

「挙句顧問の言うことを無視して、絵を描く始末。最近は、顧問のやり方にケチをつけた」

 ―まさか。

「でも最近、何故かやる気を出し、週一でサボるがほぼ毎日顔を出すようになった。だから、絶対王政をやめたって言われてる」

「あのさ、鈴」

「何? まさか聞いてなかったの?」

「違う違う。いや、その人の名前って分かるか」

「うん、凪野 昊華っていう一個上の先輩」

 ―やっぱりか……!

 やはりというかなんというか、その美術室の女王と呼ばれる方は、昊華先輩だった。あんな自己中心的な考えで、部活サボって顧問に楯突いたヤツとか、どう考えても昊華先輩しかいない。

 ていうか、先輩そんな有名だったんすか……。しかも悪い意味で。屋上という、割かし目立たない場所で逢っていたことをこの時程良かったと思ったことはない。もし校舎内で逢ってたりして、面倒な噂立てられたら厄介だからな。

「蒼茉、知ってるの?」

「いや、ちょっと気になっただけだよ。知り合いってわけじゃない」

「……ふぅん」

 勘ぐるような視線を鈴は寄越しくるが、鈴はそれ以上詮索してこようとはしなかった。鈴の、そういう割りと空気の読める態度が、僕は好きだったりする。

「あ、噂は続きがある」

「続き?」

「そう。その更正した原因が、男だっていう噂」

「……っ、ブフォ!?」

「ちょっと蒼茉、汚い」

「いや、悪い……。って! 何だその男って!」

 まさかそこまで広まっているとは……。噂とは恐るべし、そしてどっから漏出したんだ。少なくとも、屋上で昊華先輩といる時に誰かと出くわしたという事は無かった筈だ。多分、グラウンドからも視認できて無い、筈。後者の節は確実には否定できないが、恐らく確率的には低い筈だ。

 ―じゃあ、一体何処からだよ……。

「何? 蒼茉、その昊華って先輩狙ってたの?」

「いや、違うけど……。ま、まさか男だとは思わなくてだな。てっきり顧問が頑張ったのかと」

「それは私も同じ。ソイツ、男友達はおろか女友達もいなさそう」

「うん、それはお前が言えることじゃないと思う」

「蒼茉は黙るべき」

「だからって教科書構えるのは良くないと思う、ダメ、絶対。な?」

「黙って」

 ―ガンッ。

 本日二度目の、鈴の教科書落としを脳天に食らった。



 そんな噂話を聞いた放課後。未だにジンジンと痛むような頭を撫でて、僕はカメラを構えた。今日もレンズの向こうには、納得のいく黄昏は広がっていない。

 ふぅ、と息を吐きだしてその場に腰を下ろした。

 ―さて、あの噂。どうやって収束付けるのか。

 当面問題は、そこである。

 今はまだ「男子生徒」という事が噂で広まっているだけで、特定にまでは至っていない。けれど多分、それも時間の問題だ。何処から噂が流れているのかも分からないし、それが分からなければ止めようにも打つ手はない。

 ―まさか、昊華先輩本人が噂元……、なんてことは流石に、無いよな?

 よぎる嫌な予感。いや、でも流石に昊華先輩だって馬鹿じゃないだろう。あまり目立つことが好きじゃない昊華先輩が、自ら噂を立てるとは考え難い。じゃあ、何処から漏れてるんだよって話に戻るだけ。

 ―バァンッ。

「うおわぁっ!?」

 貪り食われるオレンジを見つめながら、ぼーっと解決方法を考えていると、屋上のドアがバァンッと勢い良く開いた。その音にビビって、肩が勢い良く跳ねる。ついでに危うくカメラを落としそうになった。……あっ、あぶねぇ……。

「ちょっと昊華先輩、驚かさないでください……よ……? ……あれ?」

「君が神梛かんなぎ 蒼茉そうま君ね?」

「え? えぇっと、そうっすけど……?」

 少しの怒りを覚えながら振り返ると、そこに立っていたのは黒髪ロングの眼鏡を掛けた女性。律儀にスーツ姿な所を見ると、教師なんだろう。歳は多分、三十ぐらい。当然、後ろに立っているのは昊華先輩だと思っていた僕は拍子抜けする。ていうか、僕この教師と初対面なんだけど。向こうはどうして名前を知っている。不公平だろ。いや、論点はそこじゃないか。

「私は美術部顧問の柏木かしわぎ なぎさ。初めまして、神梛 蒼茉君」

「はぁ……。あの、柏木先生は僕に何の用で?」

 丁寧に挨拶をしてきた柏木先生は、そう問うと「せっかちな子ねぇ」と嗤う。いや、素直に思ったことと問うたらこうなっただけなんですけど。

「君だよね? ウチの……、美術部の凪野 昊華と逢ってる男子生徒って」

「……何のことですか?」

「食えないのね」

「身に覚えがないので」

 まさか生徒からよりも、顧問―教師からの追及の方が早いとは。予想外、というか関わってくるとは思わなかった。まぁ、美術部顧問だし、無関係だというわけじゃ無いみたいだけど。

 ここで素直に「はい」なんて答えたら、面倒事になるのは目に見えてる。だから、向こうに絶対的な確信があろうとも一旦は白を切ってみる。それでも、柏木先生の余裕は崩れない。

「シラけるつもり? こっちは証拠十分なのよ?」

「その証拠が嘘だとしたら?」

「それは絶対に有り得ない」

「……どうしてです?」

「だって、こっちの情報は凪野 昊華本人が証言したことだから」

「……はい?」

 ―今、この教師はなんと言った?

 昊華(とうか)先輩本人が証言したと言ったか? まさか、さっき考えた嫌な事が現実になったとでも? ……嘘だ。

 ―なんてことをしてくれたんだ、昊華先輩……!!

 厄介事や面倒事が嫌いじゃなかったのか、えぇ?

 うだうだ考えていても仕方のない事が、ぐるぐると脳内を廻る。思わず、叫びたくなった。

「そういう反応を見せるってことは、アタリでいいんだよね?」

「あぁ、もう、はい。そうですね、逢ってましたよ。此処おくじょうで、昊華先輩と」

「いよっし、ビンゴ! じゃあ美術室に毎日通うに促したのも、蒼茉君?」

「直接ってわけじゃないですけどね」

「そんな蒼茉君を見込んで、お願いがあります」

「……用件次第です」

 素直に認めると、柏木先生はよっしゃ!、とガッツポーズをする。一体何が柏木先生をここまで動かしてんだ……。いや、話の流れからして昊華先輩絡みなんだろうけど。これで面倒な事になりそうだったら絶対断る、絶対に。僕は美術部にそこまで首を突っ込む予定はないんだ。

「あのね、」

「……」



「凪野さんに、絵を描かせて欲しいの!!」



「……え?」

「更正したのはいいんだけど、前は無造作に描いてくれてた空の絵を急に描かなくなったのよねー。自由に絵を描いてもいい、って言ってるのにカンバスに向かうだけで筆は全然動かないし」

「はぁ」

「なんか、描けないっていう状態でも無いようだし……。寧ろ、何か深く考えすぎちゃってる感じ? ……どう? 蒼茉君、引き受けてくれる?」

「え、や、まぁ、いいですけど……」

「ホント!?」

 ―寧ろ、それだけ?っていうのが正直な感想だ。

 もっと面倒で重要な役回りを頼まれるかと思ってた。それが、先輩に筆を執らせろという話とは。全く別方向からの頼みだったから、思わず頷いてしまった。マシな頼みごとだからいいけど、別に。

 それにしても、描かない、ね。〈空〉を描きたいから美術部に入ったと言った昊華先輩。なのに、筆を執らないとは。本末転倒もいいところだ。

 なんとか出来るとは思ってない。だけど、話を聞くぐらいなら出来るだろう。柏木先生だって多分、そこまで大きな成果を期待していない筈だ。

 ……そういえば。柏木先生の登場で番狂わせが起こったけど、元々僕が考えるべきことは噂元探しだったはずだ。そしてそれが昊華先輩だった。つまり、訊いたのは柏木先生ということになる。この先生は、どうやって昊華先輩に喋らせたんだ。

「あの、柏木先生?」

「ん?」

「昊華先輩から、屋上で逢ってる人物が僕だって、聴き出したんですか?」

「え? 普通に、最近真面目に来るようになったけど、誰かの影響?って聞いたら蒼茉って凪野さんが普通に答えてくれたんだけど」

「……普通に?」

「うん、フツーに。蒼茉、って」

 ―一体どういうことだ。

 昊華先輩なら、名前を出したら面倒な事になるってことぐらい分かってる筈。つまりは、喋ったのはわざと、ということになる気がする。……昊華先輩の意図は全く分からないけど。

「昊華先輩、他に何か言ってました?」

「あぁ、うん。ちょっと待って」

 柏木先生は思い出したように、スーツのポケットをガサゴソと探る。そして出てきたのは一枚の紙切れ。どうやら、昊華先輩からの伝言らしい。


『きっと蒼茉はわざとだって気付くんだろうね、私が蒼茉の名前を出したこと。はい、大正解。わざとです。おめでとう、蒼茉。今きっと蒼茉は、なんで?という感情とイラァッとした私への怒りを覚えてるんだろうね、知ってる。まぁ、ちゃんと答えるよ。黙ると後で煩そうだし。

 なんで簡単に口を割ったのかという話。なんでかっていう問いね。理由は単純明快、面白そうだから。それ以外に理由はない。確かにバレると面倒だけど、少なくとも私に被害が被ることは無いからね。皆私に喋りかけられないからさ。そうなれば、必然的に問い詰められるのは蒼茉でしょ? ふふっ、想像しただけでも面白そうだ。

 納得した? 納得しそうにないのは目に見えてるけど。怒るなら顧問じゃなくて、私のところへおいで。話をしよう』


「……はい、これで書いてることは全部読んだよ」

「……そうですか」

 昊華先輩のお陰で、現在怒りが最上級に膨れ上がってる。だけど、不思議と昊華先輩を怒ろうとは思わない。それは多分、昊華先輩なりのSOSを感じ取ったからかもしれない。

「先生、有難う御座いました。僕はちょっと、美術室にお邪魔しますね」

「えっ、もうとっくに活動時間は終わってる筈なんけど。ていうか、本来なら君も下校しなきゃなんだけど」

「昊華先輩は多分、まだ残ってると思うんで。やっぱり、一応は頼られてるんですから、一人にはしておけないですから」

 僕はそう言って、階段を駆け下りた。



 今まで滅多に近寄らなかった美術室。僕の芸術選択は書道だ。勿論、美術室になんて近付きやしない。そもそも縁の無い教室である。

 そんな教室で一人、ぽつんとカンバスに向かっている女子生徒。多分、昊華先輩であろう。筆を動かすこと無く、その場に佇んでいる。そもそもの話、視線はカンバスに向いてすらいなかった。視線は、〈空〉へと注がれている。昊華先輩は今、何を視ているのだろう。

「昊華せーんぱい」

「……蒼茉」

「筆、進んでないじゃないですか」

「煩いなぁ」

「先輩が呼んだくせに、意地っ張りですね」

「……煩いってば」

「はいはい」

 そのまま昊華先輩が気付くまで待っていても良かったのだけど、かなりの時間の浪費を食らってしまいそうだったからやめた。そして、先輩に声をかける。昊華先輩は一瞬だけ驚いたように悲しそうな表情をしてから、笑った。

『来たんだ?』

 そう、言っているような気がした。来るに決まってるっつーのに。

「で? 何が原因で描いて無いんです? 顧問の柏木先生は、描けない状態じゃないって言ってましたけど。ていうか、今まで言うこと無視して描いてたらしいじゃないですか」

「それとこれとは、ワケが違うの」

「何がです?」

 わざと、追い詰めるような問い方をする。こういう時に優しくすると、結局はなあなあになってしまって、結局は解決しないと、知っているから。一度もそんな局面に接したことは無いくせに、無意識にそう思った。

 昔、同じようなことがあった……気がする、だけ。何のデジャヴを感じているのかは知らないが、取り敢えず僕は、その本能に従う。

「何がって……そんな、一々説明出来るようなもんじゃない」

「本当に?」

「疑うの?」

「いえ。でも、追い詰めないと取り零しちゃう気がして」

「ふぅん……?」

 なんだその性癖は、とでも言いたそうな視線を寄越す昊華先輩。……断じて性癖ではない。本能、いや直感だ。

「もう一度聞きます。本当に、言葉に言い表せないようなもんなんですか?」

「……、違うよ」

 以外にもあっさりと認めてくれたことには、正直驚いた。もう少し粘ると思っていた。

 ただ、それに凄くほっとしている自分がいる。どうしてこんなにほっとしているのかは分からない。けど、多分、この本能を信じることは、きっと間違ってないんだと思う。


「〈空〉は、心だ」


「……え?」

「〈空〉は、私達の心情に左右される。落ち込んでいる時に〈空〉を見れば泣いてるように見えるし、気分が良い時に見れば清々しいくらいの蒼に見える。それは視覚だけじゃない、撮ったり、描いたりしても同じ。どんなに理想の〈空〉に近いものを見ようとも、描けようとも、その時の気分次第では全くそう見えないことがある。描けないことがある。そんな自分の心丸出しの〈空〉を、こんな人が沢山いる場所で描きたいと思う? 私は思わない。それに、理解してくれない人に見せたって、何も面白く無いし、自分の〈空〉を見せるってことは、信頼した証だから。……だから、今は描きたくないの」

「今まで描いてたのは?」

「なんでだろうね?」

 心底不思議そうに笑って、先輩はつぅとカンバスをなぞった。

「……人の目なんて、気にしなくてもいいのに」

「……写真はそういうことを考えなくてもいいから、そう言えるんじゃないの」

「カメラを取られたら、そういうわけにもいかないんですよ。でもま、他人にはただ単に空が好きなんだなー、ぐらいで終わってくれますよ。別に、気味悪がられるわけじゃないんですから、いいんじゃないですか?」

「……むぅ」

 言い返す言葉が無いのか、唸る先輩。その口元はきゅっと結ばれていて、意外にも可愛らしく見えた。

「じゃあ、描く理由があれば描きますか」

「理由?」

「例えば、誰かの為に描くとか。先輩はきっと、自分の為だけに描こうとするから、そうやってウジウジ考えるんですよ。誰かの為、だなんて考えたら、ちょっとはやる気が出ませんか?」

「誰かの、為……」

「それなら別に、自分の〈空〉を見せたとは言いませんし」

「じゃあ私は、蒼茉に描けばいいんだ」

「ん!?」

 確かに、僕は「誰」かの為に描いてはどうかと薦めた。だけど、「僕」の為にとは一言も言っていない。

 どうしてこうなったら、先輩の中で僕の為に描くという方程式が生まれるのだろう。

 いや、嬉しくないといえば、全くの嘘になるんだけど。寧ろ、ちょっとした優越感が僕を支配する。

「何だか凄く描きたくなってきた、ちょっと待って、蒼茉。すぐに描く」

「えっ、いや、別にそんなすぐに実行しろとは誰も……!」

「私がやりたいの」

 そういう昊華先輩は、何時に無く真剣な瞳をしていて。止めようにも、打つ手なしなんだと、すぐに悟った。

 僕が何も言わないことを確認して、先輩は手近にあった椅子に座り、筆を執った。既にイメージは完成しているらしく、先輩の手は止まらない。凄いスピードで、色を創り出している。

 そして出来上がった色を、真っ白なカンバスへと乗せる。

 そこからは、時間が進むのが早かったように感じられる。


 思いの外、大胆に動く筆。


 みるみる内に白から色を変えていくカンバス。


 真剣な昊華先輩の双眸。


 全てが僕を惹きつけ、眼の奥に焼き付けようと必死に目を見張った。


「出来た。蒼茉、出来た!」


 そして、そう言って今まで一番綺麗な笑顔を見せた昊華先輩を、僕はきっと忘れない。


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