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ヴァルキュリア -改訂版-  作者: 花街ナズナ
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終戦


戦は結果として俺たちの勝利で終わった。


グラドについては死体が見つからなかったために行き方知れずの扱いとなったが、他の四人は死体を確認した。


エゲトは禿げ上がった頭を兜ごと叩き割られ、フェルカネンは全身から流れ出た血にへばりついた自らの髪のせいで、まるで縛り上げられているように見えた。

コルドールの自慢たった刺青は両腕ごと叩き切られたらしく、結局発見できなかった。

シャムイルはのどへの一突きで絶命したらしく、死体自体は綺麗なものだったが、失った右足と義足の境からおびただしい血が流れているのを見つけ、奴がいかに必死であったかを思って胸が押し潰されるようだった。


半日の予定が翌日になってから到着した増援部隊は結局戦闘については全くの用無しとなったが、俺にとって良かれ悪しかれ貴重な情報を携えてきてくれた。


病床のエダが死んだ。


ご親切に戦地へ宛てた俺とグラドへの手紙も持ってきてくれた。

手紙の主が死んでからその手紙を届けに来るってのはどういう冗談なんだろうな?

俺はただ苦しい思いをするだけだと分かっていた。

だから手紙は読まずにおこうと思った。


でもダメだよな。

だって妹が死ぬ間際に書いた手紙だぜ?

読まずにいられるわけ無いよな。


そして案の定、躊躇しながら開いた手紙の内容は、自分はもう長くないだろうから、せめて二人に一目会いたいというものだった。


俺は多分、生まれてこのかたこれ以上無いというほどに泣いた。

それこそ体中の水分が目から流れ出すんじゃないかとさえ思ったさ。

枯れやしないんだ。

流しても流しても、流れてきやがる。

枯れやしないんだよ。

俺は全てを失ったのに、涙だけはまるでそんな俺を馬鹿にでもするみたいに後から後からしつこく視界を濁らしやがるんだ。


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