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紅炎戦記  作者: えみり
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選ぶもの達

空はひび割れたまま。


魔力の雨が、王都を削る。


遠くで炎が噴き上がり、


別の方向で氷山が生まれる。


世界が壊れている。


その中心に、二人。


グレイスは静かに息を整える。


暴走はない。


恐怖もない。


ただ、理解がある。


セラフィナの黒紅が揺れている。


だが今は安定している。


共鳴しているからではない。


覚悟しているからだ。


「……王は間違ってなかった」


グレイスが言う。


セラフィナが少しだけ目を伏せる。


「うん」


強者が頂点に立つ。


力が秩序を作る。


それは事実だった。


だが。


「でも、あの先に未来はなかった」


セラフィナが空を見る。


亀裂が広がる。


魔法循環陣が崩れていく。


三覚醒の先へ進む者が増えれば増えるほど、


世界は耐えられない。


今それを証明しているのが、自分たち。


グレイスが呟く。


「俺たちが頂点に立っても、同じだ」


次は誰かが挑む。


超える。


ぶつかる。


そのたびに世界が削れる。


終わらない。


セラフィナが静かに笑う。


少し寂しく、


でも優しい笑い。


「力があるから守れると思ってた」


グレイスも小さく笑う。


「俺もだ」


しばらく沈黙。


魔力の嵐の中。


それでも、二人の周囲だけは静か。


セラフィナが言う。


「なくなったら、どうなるかな」


黒紅が消える。


氷輪も消える。


戦えない。


守れない。


ただの人間。


グレイスは少し考えてから答える。


「……守り方を、探す」


力じゃなく。


方法を。


仕組みを。


支え合いを。


時間はかかる。


でも壊れない。


セラフィナが息を吸う。


「怖い?」


グレイスは即答する。


「少し」


セラフィナも頷く。


「私も」


でも。


二人は視線を合わせる。


逃げない。


王のように力にしがみつかない。


「終わらせよう」


セラフィナが手を差し出す。


グレイスが握る。


共鳴が静かに始まる。


今度は戦うためじゃない。


壊すためでもない。


“終わらせる”ため。


空の循環陣がさらに割れる。


世界が限界を迎える。


二人が並ぶ。


第三覚醒のさらに先。


超究魔法の準備。


魔法の時代の、最終局面。

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