三極終焉
崩れた王都中央。
瓦礫の上に立つ三人。
空は黒い。
魔力が飽和している。
中央に立つのは――
テンペスト・グラード
鎧は砕け、肩から血が流れる。
だが膝は折れていない。
「来い」
王の両腕が開く。
背後の巨樹残骸が再構成。
雷が一点に吸い込まれる。
紫雷が白へ変わる。
植物が硬質結晶化。
王の上空に形成されるのは、
“雷樹天臨・極”。
巨大な雷樹槍。
都市を貫ける規模。
対する二人。
グレイスが目を閉じる。
氷輪が完全収束。
透明。
色がない。
“存在停止”の極致。
セラフィナの黒紅が一点に落ちる。
赤でも黒でもない。
深紅の核。
燃焼ではない。
“概念削除”。
二人が並ぶ。
距離ゼロ。
共鳴最終段階。
外に漏れない。
内で完結する。
王が吼える。
雷樹槍が振り下ろされる。
同時。
グレイスが踏み込む。
氷が世界を止める。
セラフィナが重ねる。
炎が世界を削る。
二人の極が交差。
王の雷樹槍と正面衝突。
一瞬、均衡。
地面が浮く。
空が裂ける。
魔力が悲鳴を上げる。
王が笑う。
「それでいい!」
雷がさらに増圧。
巨樹が再生。
押し返される。
グレイスの足元が沈む。
セラフィナの腕が震える。
だが離れない。
視線が交差。
迷いゼロ。
もう頂点には立たない。
終わらせる。
二人が同時に一歩踏み込む。
氷が“運動”を凍らせる。
雷の進行が止まる。
炎が“存在”を削る。
雷樹槍の核が消える。
亀裂。
王の目が見開く。
「……!」
二重の極が雷槍を貫通。
そのまま王へ到達。
紫雷鎧を削り、
肉を裂き、
貫通。
爆発はない。
音もない。
静かな破壊。
雷樹槍が崩壊。
巨樹が塵になる。
紫雷が空へ消える。
王の身体が膝をつく。
それでも笑う。
血を吐きながら。
「……強いな」
立とうとする。
だが身体が言うことを聞かない。
王が二人を見る。
「だが覚えておけ」
呼吸が浅い。
「力は……必ず、また……」
最後まで思想は揺れない。
視線は逸らさない。
そして。
王の身体から雷が消える。
巨躯が崩れ落ちる。
静寂。
風が吹く。
世界最強の一人――
終焉。
だが。
空が軋む。
魔力が渦を巻く。
王が消えた瞬間、
世界中の魔力が均衡を失う。
氷が勝手に結晶化。
炎が空に揺らめく。
遠方で爆発音。
二人が空を見上げる。
理解する。
王は原因ではなかった。
抑えていた。
循環が暴走している。
ここからが本当の選択。




