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【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第4章

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第66話 封印の解呪と蠢く影

 扉を抜けた先は、これまでとは別世界のようだった。

 冷え冷えとした空気が肌を刺すように頬を撫で、足元の石畳にはヌル……ッと湿った苔がびっしりと張りついている。


 広大な空間は天井すら見えず、ただ闇が支配していた。

 その奥で、魔法陣が**ボウ……ボウ……**と脈打つようにかすかな光を放っている。


「なんだよ、ここは……」


 ザックが低く呟く。


 リュークは慎重に歩を進め、魔法陣の中心へと近づいた。

 そこに鎮座するのは、黒曜石のように光を吸い込む漆黒の核。


 その表面からは**ドクン……ドクン……**と微かな鼓動のような脈動が伝わり、空気そのものが震えている。


「これが……深淵の核?」


 リーナの声はかすかに震えていた。


「待て、何か来るぞ!」


 ガルドが剣を**ガキン!と構え直した瞬間、闇がズズッ……ズズズ……**と不気味に揺れ、床から無数の影が這い上がってきた。


 アンデッド兵士の群れ――それだけではない。


「っ、違う……!」


 リュークが目を細める。


 蛇のように頭部がうねる"シャドウサーペント"が**ヌルリ……ヌルリ……と体をくねらせ、素早く周囲を囲む。


 壁からは、粘液のように染み出す"ナイトメア・スライム"がポタ……ポタ……**と滴りながら姿を現し、紫の光を滲ませていた。


「なんだこいつらは!?気をつけろ、アンデッド以外の魔物もいる!」


 ガルドが剣を突き出しながら叫ぶ。


「シャドウサーペントよ!動きが速い、気を付けて!」


 リーナが即座に警告する。

 ザックは素早く辺りを見回し、瓦礫に目を留めた。


「罠を仕掛ける!時間を稼いでくれ!」

「任せろ!」


 ガルドが一歩前に出て大剣を**ズン!と叩きつけるように構え、シャドウサーペントの注意を引く。

 彼の剣がガギッ!**と蛇の尾を切り裂いた。だが――


「再生してやがる……!」


 切断面は**ジュワ……ジュル……**と蠢き、瞬く間に元の形を取り戻した。

 シャドウサーペントは傷を癒すと同時に、再び闇に紛れるように後退する。


「シャドウファング、側面を狙え!」


 リュークの命令に、黒狼は無言で応じる。

 音もなく滑るように移動し、スライムに飛びかかる。


 ザシュッ!


 鋭い爪がゼリー状の体を裂き、紫色の光と粘液が**ビチャッ!**と辺りに飛び散る。


 スライムは悲鳴すら上げず、ただ崩れ落ちた。


 リーナがすかさず詠唱を始める。


「聖なる光よ、闇を打ち払え……ライトフレア!」


 ゴッ!


 眩い光が炸裂し、アンデッドたちは**ギャアアア……**と呻き、シャドウサーペントも顔を背けて身をよじる。


 その隙にリュークは腰のポーチへ手を伸ばした。

 中から、細くしなやかなロープを引き抜く。


 それは闇の中でも微かに光を反射し、戦場の緊迫感と次の一手を予感させた――。


 リュークはロープを慎重に地面に広げ、手のひらを当てて魔力を流し込む。

 ロープは**ビク……ビク……と震え出し、まるで生き物のようにヌルリ……**とうねり始めた。


 その動きは、獲物を狙う蛇のように、静かでありながら獰猛だった。


「動け……!」


 ロープは音もなく地を這い、倒れかけたアンデッドの足元へ滑り込む。


 そして――


「縛れ!」


 リュークの叫びと共に、ロープは**ビシュッ!と勢いよく跳ね上がった。

 幾重にも足に絡みつき、まるで絞首縄のようにギチギチ……ギリリ……と締め上げる。


 アンデッドの兵士は、錆びついた鎧をギギ……ギリギリ……**と軋ませながら体勢を崩し、**ズンッ!**と重く地面に倒れ込んだ。


 もがき暴れるも、ロープは意志を持つかのように動きを封じ、完全に絡め取る。


「やった!」


 リーナが思わず声を上げた、その瞬間――


「リューク、伏せろ!」


 ガルドの切羽詰まった声が飛ぶ。

 リュークは即座に身を伏せた。


 その瞬間、**ズバンッ!**という重い音が遺跡に響く。

 ガルドは間一髪でシャドウサーペントの突進を受け止め、大剣で押し返していた。


「うおっ、速い上に重い……!」


 ガキィン!ギャリギャリッ!


 鋭い尾がガルドの剣に何度も叩きつけられ、甲高い金属音が何度も室内に響く。


 シャドウサーペントは執拗に隙を突こうと体をうねらせ、左右に揺さぶりながらガルドを追い詰める。


「クソ、動きが読みにくい……!」


 だが、ほんの一瞬。


 先程のリーナのライトフレアによって目を灼かれた影響か、サーペントは再び狙いを定めるまでにわずかに動きが鈍った。


「――今だッ!」


 ガルドは迷わず大剣を振り上げ、**ゴッ!**と真上から一気に振り下ろした。


 ガギャッ!


 渾身の一撃がシャドウサーペントの頭部を叩き割る。


 黒い液体が**ビチャッ!と飛び散り、サーペントはビクン……ビクビク……**と痙攣しながら崩れ落ちた。


「……助かった……!」


 ガルドは安堵の息を漏らしつつも、まだ気を緩めてはいなかった。


「まだ気を抜くな!リーナ、後ろ!」


 その声と同時に、リーナが詠唱を完了させる。


「聖なる光よ、我が敵を討て……ライトフレア!」


 ゴォン……!


 眩い光が部屋を満たし、アンデッドとシャドウサーペントが**ギャアア……!**と呻き、身をよじる。


 その隙に、ザックが素早く壁際の罠に飛び込む。


「今だ……!」


 彼は手際よく罠を調整し、完成と同時に小石を数個、**カラ……カラ……**と投げつけた。

 石は罠の方向に転がり、アンデッドたちは鈍い反応で釣られるように歩を進める。


 ガシャッ!バシィッ!


 罠が作動し、アンデッドの動きは完全に封じられた。

 鎧を**ギリギリ……ギシギシ……**と鳴らし、もがくそれらに対し――


「行くぞ!」


 ガルドが**ズドンッ!と渾身の力で大剣を振り下ろし、アンデッドを次々と叩き斬る。

 刃が骨と鎧をゴリッ……ギャリッ……**と砕き、重い音を立てて倒れていく。


 その間、シャドウファングはスライムの群れに飛び掛かり、**ザシュッ!ザシュッ!**と牙と爪で粘液を切り裂き、紫色の光を撒き散らしながら数を減らしていく。


 だが――その中で、ひときわ異様な動きを見せる一体がいた。


 ナイトメア・スライム。


 それは他のスライムと違い、まるで意志を持つかのように**ヌウ……ヌル……**と空中へと這い上がろうとしていた。


「……上だ!」


 異変に気づいたリュークが即座に叫ぶ。

 仲間たちはその声に反応し、再び緊張を高めた――。


 ナイトメア・スライムは、ライトフレアの光に怯みつつも、粘液状の体を壁に張り付かせ、するすると天井へと這い上がっていく。


 そして、闇に溶けるように姿を隠し、不意打ちの奇襲を仕掛けるべく息を潜めた。

(気づかなければ、あのまま……!)


 リュークは反射的に短剣を構え、周囲へ鋭く目を走らせる。


 その瞬間――


 ギュルルル……!


 天井の暗がりから滴るようにスライムが急降下してきた。

 ねじれた体から複数の触手が**ズバッ!ズバッ!**と伸び、リュークの肩を狙って襲いかかる。


「速い……!」


 リュークは咄嗟に横へ転がり、**ズシャッ!**と床を滑るようにかわした。


 直後、触手が地面へと叩きつけられ、**ジジジ……ッ!**と腐食液が石畳を焼く音が響き、白煙が立ち上る。


(腐食性……!?当たったら終わりだ!)


 リュークはすぐさま体勢を立て直し、短剣を素早く逆手に持ち替えた。

 その刃はわずかに魔力が籠められ、緊張に応じて微かに唸る。


「させるか!」


 スライムは再び天井へと張り付き、今度はさらに高所からの急降下を狙って体を収縮させ始めた。


 その動きはまるで巨大な弓を引き絞るようで、**ギチ……ギチ……**という嫌な音を立てる。


 リュークは狙いを定め、一瞬の迷いもなく短剣を投擲した。


 シュバッ!


 鋭い音と共に飛翔した刃は、空気を切り裂き――


 ズブッ!


 スライムの中心部へ深々と突き刺さった。


 一瞬、紫色の光が**ドクン……ドクン……!と脈打ち、スライムの身体がビクンッ!**と跳ね上がる。


「ギギィィィィィィィッ!!」


 耳障りな金切り声をあげ、スライムは体を**ブルブルッ……!と痙攣させ、粘液をビシャッ!ビシャアッ!と撒き散らしながら、天井からドシャァッ!**と落下した。


 床に**ズンッ!**と叩きつけられたスライムは、一度大きく跳ねた後、ぐしゃりと潰れるように崩れ、**ヌル……ヌルル……**と音を立てながら紫色の液体へと溶け落ちていく。


 リュークは短く息を整え、肩で息をしながら呟いた。


「……奇襲型か。厄介だったな」


 部屋に、再び静寂が訪れる。


 しかし、それは決して安心できるものではなかった。


「終わったか……?」


 ガルドが荒い息を整え、剣を下ろしかけながら周囲を見渡す。


「いや……まだだ」


 リュークは、部屋の中央に浮かぶ魔法陣の中心――禍々しい黒い核を鋭く睨みつけた。


 核は、まるで生きているかのように**ドクン……ドクン……**と静かに脈動し、周囲の光を吸い込むように闇を深く染めている。


(これが……影の本体か?)

 その黒い輝きは、ただそこにあるだけで仲間たちの胸に言い知れぬ不安を刻みつけていた。


「これを何とかしないと、影の正体はわからないままだ……行こう」


 リュークは短剣を拾い直し、静かに仲間たちへと呼びかける。


 重く、張り詰めた空気が場を支配する中、彼らはそれぞれ無言で頷いた。

 ――退く理由は、もうない。


 リュークたちは再び武器を構え、慎重に足を進める。

 僅かに鳴る足音すら、広い空間に不気味に反響していた。


 シャドウファングも低く唸り、リュークのすぐ傍を離れない。

 リーナは杖を強く握り、ザックは壁際を警戒しながら影の奥を睨む。


 ガルドは剣を肩に構え、いつでも飛び出せるよう身を低くしている。

 核から発せられる禍々しい脈動音――ドクン……ドクン……


 その音が、彼らの鼓動に重く重なっていく。

 彼らは互いに息を合わせ、迷いなく深淵の核へと足を踏み出した。


 影の正体に迫るために。

 そして、この闇に終止符を打つために――。



 次回:闇の守護者、覚醒

 予告:守護者と死闘、突破口はいかに

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