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【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第4章

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第60話 封印の記録と影月の真実

 ◆ 古文書の探索:影の謎を追って

 リュークは、古道具屋で手に入れた地図を片手に街の図書館へと足を運んでいた。


 ベルハイムの図書館はギルドの近くにあり、かつてこの街を治めていた貴族が集めた資料が眠っているという。


「黒い影……影月の遺跡か」


 リュークは地図を広げ、じっと視線を走らせた。


 その目は、ただの道筋ではなく――謎を解く鍵を探していた。


 彼は静かに立ち上がり、シャドウファングと共に図書館の奥深くへと足を踏み入れる。


 長い時を刻んだ木製の棚が静かに並び、蝋燭のほのかな灯りが、重苦しい空気の中でわずかに揺れている。


 シャドウファングはリュークの背後を慎重に歩き、時折、鼻をひくつかせて周囲を警戒していた。


「古い地図、古代遺跡、影に関する噂……何か手がかりがあるはずだ」


 呟くリュークの前に、カウンターの奥から老司書がゆっくりと顔を上げた。


 白髪混じりの眉をひそめ、静かに問いかける。


「何を探しているんだね?」

「街の“黒い影”に関する古い記録を探しているんですが、何か残っていませんか?」


 老司書はしばし考え込み、顎に手を当てたまま渋く唸った。


「影、か……。ならば地下資料室に古文書が眠っているはずだ。

 もっとも、あそこは滅多に人が入らない。」


「埃まみれだし、中には危うい記述もある。

 ……それでもいいのかね?」


 リュークは迷わず頷いた。


「もちろん。お願いします」


 老司書は無言で頷くと、手元の鍵束を持って先導する。


 重々しい鉄扉の前に立ち、鍵を回すと――ギィ……と鈍い音と共に扉が開かれた。


 ひんやりとした空気が一気に吹き出し、リュークは無意識に身をすくめる。


 階段を下り、薄暗い地下室に足を踏み入れると、古びた棚と積み重なった書物が静かに出迎えた。


「……すごい数だ」


 リュークは呟きながら棚へと歩み寄り、一冊ずつ丁寧に確認していく。


 古い本はどれも劣化しており、ページをめくるたびに埃が舞い上がる。


 その中で、彼の手がふと一冊の書に止まった。


 表紙には、かすれた文字でこう刻まれていた。


『ベルハイム年代記』

「これか……?」


 リュークは慎重にページをめくる。


 灯りに照らされた文字は、まるで長い眠りから目覚めたかのように、ゆっくりと浮かび上がっていく。


 リュークは息を詰め、文字の一つひとつを見逃すまいと目を凝らした。


(頼む……何か、手がかりがあってくれ――)

 緊張と期待の入り混じる中、彼はその記述を追い続けた。


【影月の遺跡】

 その名が記された瞬間、リュークの心臓は強く跳ねた。


 ページに刻まれていたのは、謎めいた記述だった。


“かつて、この地には影月の祭祀場が存在した。

 古の時代、魔術師たちは月の力を借り、闇を封じる儀式を行ったという。


 だが封印は完全ではなく、時折、黒き影が現れるとされる。

 ”

「封印……か」


 リュークは思わず呟く。


 かつて地下水道で遭遇した“影”の正体が、頭をよぎった。


 さらにページをめくると、古びた地図が現れた。


 先ほど手に入れた地図と重ね合わせると、記されている場所がぴたりと一致する。


「やはり……影月の遺跡。そこに何かがある」


 確信めいたものが、胸の奥で静かに灯る。


 そして、さらに深部に記された言葉が、決定的な手がかりとなった。


“遺跡の奥深くには『深淵の魔核』が眠る。


 これを目覚めさせし者は、闇を操る力を得るとも、滅びの使者となるとも言われる。

 影が現れるのは、その封印が弱まりつつある証拠だ。

 ”

「深淵の魔核……」


 リュークはページを閉じ、ゆっくりと深く息を吐いた。


 黒い影の正体――それが何なのか、完全には分からない。


 だが、答えへと繋がる道がはっきりと見え始めていた。


「シャドウファング。遺跡に行こう。あそこに……すべてがある」


 隣にいる黒狼は、まるで言葉を理解したかのように、静かに鼻を鳴らし、リュークを見上げた。


 その仕草に力を得るように、リュークは古文書を丁寧に閉じ、静かに立ち上がった。


 夜のベルハイムはひっそりと静まり返っている。


 石畳を踏みしめる足音だけが、静かな闇の中に響いていた。


 ふと、リュークは立ち止まり、夜空を仰ぐ。


 雲に覆われた月は姿を隠し、世界は深い闇に沈んでいる。


「――影の正体を突き止める。その闇の秘密を……必ず暴いてやる」


 静かに、だが決意を込めた声が夜に溶けた。


 リュークは短剣の柄を強く握り、迷いのない足取りで闇の奥へと歩き出す。


 次なる目的地――影月の遺跡へと、覚悟を携えて。


 ◆ ギルドの調査依頼:古代遺跡

 リュークはギルドの掲示板を眺めていた。


 無数の依頼が貼られたその中に、以前見た『古代の遺跡の調査依頼』が目に留まる。

 ふと目を凝らして確認すると、報酬額が上がっているのがわかった。


【依頼:古代遺跡調査】

 依頼主:ベルハイム市政局

 内容:影月の遺跡の調査および、黒い影の正体究明。


 報酬:金貨小15枚に増額

 備考:調査は危険を伴うため、熟練の冒険者を推奨。


 最近の目撃証言により、依頼額を増額中。


「……報酬が上がってる。やっぱり、ただの調査じゃないな」


 リュークは依頼書を手に取り、カウンターのエリナのもとへ足を運んだ。


 声をかける前に、エリナがこちらに気づき、柔らかく微笑む。


「おはよう、リューク。依頼を受けに来たの?」


 リュークは依頼書を掲げながら問いかける。


「この『古代の遺跡調査』……報酬が増えてる理由を教えてくれ」


 エリナの表情がわずかに曇った。

 戸惑いと不安が交じるような、重たい空気が流れる。


「最近、遺跡の周りで黒い影の目撃が相次いでいるの。それも、今までの噂話よりずっとはっきりしたものなのよ。」


「人々は怯えていて……その不安を反映する形で、依頼額も引き上げられたの」


 リュークは黙り込み、思考を巡らせた。


(やはり……昨夜の古文書と繋がっているのか?)

 沈黙を破るように、リュークは静かに答えた。


「……わかった。この依頼、受けるよ」


 エリナは驚いたように目を見開き、すぐに心配そうな表情へと変わる。


「本当に、一人で行くつもりなの?」

 リュークは少しだけ笑って、首を横に振った。


「いや、ガルドたちにも声をかけるさ。遺跡なんて、一人じゃどうにもならない」


 エリナはほっとしたように肩を緩めた。


「それがいいわ。あの人たちなら、きっと力になってくれる」


 リュークは礼を言い、依頼書をポーチにしまうとギルド内を見渡した。


 ちょうど奥のテーブルに、ガルドたちの姿があった。


(タイミングは悪くないな)

 リュークは迷わず歩み寄り、声をかける。


「ガルド、リーナ、ザック――ちょっと頼みがある」


 三人は同時に顔を上げ、ガルドが腕を組みながら首を傾ける。


「なんだよ、改まって」


 リュークは依頼書を手に、率直に切り出した。


「古代遺跡の調査依頼だ。報酬も上がってる。」


「……一緒に行ってくれないか?」



 ガルドは少し驚いた顔をしたが、すぐにニヤリと笑った。


「ほう、遺跡探索か。面白そうじゃねぇか!」


 リーナは少し心配そうに眉を寄せた。


「でも、遺跡には何が潜んでいるかわからないわ。準備はちゃんとしておかないとね」


 ザックも同意するように頷く。


「罠があるかもしれないしな。慎重に行くべきだ」


 リュークは彼らの反応に安堵しつつ、強く頷いた。


「ありがとう、みんな。準備を整えたら、明日出発しよう」


 こうして、リュークたちは影月の遺跡へ向けて準備を整えることになった。

 黒い影の正体を暴くために——。


 次回:古代遺跡調査準備と情報共有

 予告:新たな遺跡探索へ向けて準備を開始

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