表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/123

第56話 採取任務、静寂の森へを編集

 朝日が街を照らし始めるころ、リュークとシャドウファングは静寂の森へと続く街道を歩いていた。


 街を抜けると、石畳の道はやがて土の小道へと変わる。

 鳥のさえずりと風に揺れる木々の音だけが響く静かな森の入口。


「ここから先が静寂の森か……」


 リュークは深呼吸し、周囲の気配を探る。

 魔物の気配はまだ感じない。


 道具袋を確かめると、罠用の縄や保存瓶がしっかり収まっていた。


「行こう、シャドウファング」


 黒狼は低く唸りながら先へ進む。


 森の中は薄暗く、木々が密集しているため光がほとんど届かない。


 リュークは慎重に足を進め、時折しゃがみ込んで獣道や草むらを観察する。

 魔石草を探すついでに、魔物の痕跡がないかも確認した。


「この辺りにはまだ魔物の気配はないか……」


 シャドウファングが鼻をひくつかせ、何かを嗅ぎ取ったようだ。


「何かいるのか?」


 シャドウファングは静かに森の奥を見つめ、低く唸る。

 その視線を追うと、獣道の先にわずかに踏み荒らされた草が見えた。


 リュークはしゃがみ込み、その場を慎重に調べる。


(足跡……?何か四足の魔物か?)

 近くの木に細い縄をくくりつけ、スネアトラップを仕掛けた。


 これで何かが通れば足を絡め取れるはずだ。


 森の奥へ進むと、空気がさらに冷たく感じられる。

 木々の隙間から差し込む光が薄れ、薄暗い静寂がリュークたちを包んだ。


「この辺りか……」

「確か、回復ポーションには『レッドグラス』と『ヒールフラワー』が必要だったな」


 リュークは森の地面に膝をつき、注意深く周囲を見回す。

 鑑定スキルを発動させると、視界に淡く光る草花が浮かび上がった。


【レッドグラス】

 特徴:赤い葉脈が走る細長い葉。

 日陰を好み、湿った土壌に生息。


 効能:止血効果、軽度の体力回復効果。


「見つけた……!」


 リュークは慎重にレッドグラスを摘み取る。

 葉の付け根から折り取ると、指先にほんのりと冷たい感触が伝わった。


 シャドウファングが鼻を鳴らし、リュークの隣に寄り添う。


「よし、次はヒールフラワーだな」


 再び鑑定を使いながら森を進むと、朽ちた切り株の根元に、淡い青色の花が揺れているのを見つけた。


【ヒールフラワー】

 特徴:淡い紅色の花弁を持つ薬草。


 効能:体力回復、止血効果、炎症抑制。

 ポーションの主成分に適している。


 リュークは慎重に花を摘み取り、小瓶に入れて保存する。

 その時、背後で草を踏む音がした。


「シャドウファング、警戒しろ」


 黒狼は低く唸り、茂みを睨みつける。

 次の瞬間、草むらから二体のスティングウルフが飛び出してきた!


「くそ、やっぱり来たか!」


 リュークは短剣を抜き、迎え撃つ体勢を取る。

 シャドウファングも唸り声を上げながら、敵に飛びかかった。


 この採取が、ただの採取で終わらないことをリュークはすぐに理解した。


「戦って、守るしかないな!」


 彼は身を低くして短剣を構え、ウルフたちとの戦闘に臨んだ——。


 狼型の魔物、スティングウルフが牙を剥き、低く唸りながらリュークに向かって突進してきた。


 その鋭い爪と牙は、獲物を確実に仕留めるための凶器だ。

 風を切り裂くような速度で迫るスティングウルフに、リュークは冷静に指示を出す。


「シャドウファング、回り込め!」


 リュークの指示に従い、黒狼は稲妻のような速度で横へ回り込み、スティングウルフの注意を引く。


 その隙にリュークはポーチから小瓶を取り出し、素早く地面に投げつけた。


 パシャン!


 瓶が割れ、中から白い煙が立ち上る。

 それは、視界を遮るための煙幕だ。


 スティングウルフが煙に気を取られた瞬間、リュークは研ぎ澄まされた短剣を構え、その脇腹に突き立てた。


「グガァァン!」


 スティングウルフが悲鳴を上げ、地面に崩れ落ちる。


 しかし、まだ油断はできない。

 残る一匹が、仲間の仇を討つために牙を研ぎ澄ませ、殺意のこもった目でリュークを睨みつけている。


「あと一匹……」


 リュークは静かに呟き、ポーチから細く丈夫なロープを取り出した。


 スティングウルフが再び突進してくる。


 リュークは冷静にロープを構え、スティングウルフの動きを予測する。


 スティングウルフが飛びかかってきた瞬間、リュークはロープを鞭のように振るい、スティングウルフの足を絡め取った。


 スティングウルフが体勢を崩した瞬間、リュークは詠唱を開始する。


「ファイヤーボルト」


 リュークの手から炎の玉がスティングウルフ目掛けて飛び出した。

 それは、標的を確実に焼き尽くすための業火だ。


 同時に、シャドウファングがスキル【シャドウストライク】を使い、漆黒の影を纏い、スティングウルフに襲い掛かる。


 その爪は、魔物の強靭な皮膚をも容易く切り裂く。


「ヴォフッ!」


 スティングウルフは断末魔の叫びを上げ、その巨体を地に伏せた。


 息を整えながら、リュークは周囲に警戒を怠らない。

 スティングウルフの群れは、まだ近くに潜んでいるかもしれない。


「シャドウファング、警戒を怠るな」


 リュークは相棒に指示を出し、周囲の警戒を怠らなかった。

 そして、倒れたスティングウルフの元へと歩み寄る。


「さて、こいつを鑑定してみるか」


 リュークは倒れたスティングウルフの死骸に手をかざし、鑑定を発動させた。


【スティングウルフ】

 •レベル:7

 •HP:0/120

 •MP:10/30

 •筋力:10

 •敏捷性:11

 •耐久力:13

 •魔力:8

 •スキル:牙突、爪撃、遠吠え

 •素材:獣の毛皮、狼の牙


 こんな風に見えるんだな。


「ふむ、レベルは7か。牙突と爪撃が主な攻撃手段か」


「遠吠えは仲間を呼ぶためのスキルだろう。素材は……まあ、こんなものか」


 リュークは鑑定結果を確認しながら、スティングウルフの情報を頭に叩き込む。

 レベルやスキル、素材などの情報は、今後の戦闘や採取活動に役立つ。


「シャドウファング、こいつの素材を回収するぞ」


 リュークはシャドウファングに指示を出し、スティングウルフの解体作業に取り掛かった。

 手際よく毛皮を剥ぎ、牙を抜き取る。


 リュークは回収した素材をポーチに詰め込み、立ち上がった。


「はぁ……はぁ……なんとかなったか」


 リュークは腰を落とし、地面に座り込んだ。

 シャドウファングが寄り添い、その鼻先でリュークの手を優しく舐める。


「ありがとうな、シャドウファング。お前がいなきゃ危なかった」


 リュークは森の静けさの中で深呼吸をした。

 戦いの余韻がまだ体に残っているが、今は素材の確認が先だ。


「スティングウルフの毛皮か……。加工次第では防具に使えそうだな」


 手際よく素材を革袋に詰めながら、鑑定スキルを再び発動させる。


【獣の毛皮】

 用途:防寒具、軽装鎧の素材。

 魔力を通せば耐性向上の可能性あり。


【狼の牙】

 用途:短剣の素材、装飾品の加工素材、毒塗布の触媒にも使用可能。


「やっぱりこの毛皮、ただの防寒具だけじゃなさそうだな」


 リュークは革袋を背負い、シャドウファングに合図を送った。


「よし、採取を続けよう。レッドグラスとヒールフラワーは手に入れたけど、もう少し材料が欲しい」


 森の奥へと足を踏み入れるたび、冷たい空気が肌を刺した。


 獣の匂いがかすかに漂っているが、先ほどのスティングウルフ以外の魔物の気配は今のところない。


 リュークは木々の合間を抜け、小さな清流にたどり着いた。

 川辺には、淡い紫色の小さな花が風に揺れている。


「……あれは?」


 彼はそっとしゃがみ込み、鑑定を発動した。


【ムーングラス】

 特徴:夜明け前にのみ咲く希少な薬草。


 効能:魔力回復効果、毒耐性向上、ポーションの触媒として優秀。


「これも使えるな」


 慎重に根元から採取し、小瓶に収める。

 これでポーションの品質をもう一段階上げられるかもしれない。


「シャドウファング、もう少し奥を探ろう」


 彼は短剣を拭い、罠を回収して奥に進んだ。


 リュークは黒狼を伴い、さらに森の奥へと踏み込んだ。

 その先に何が待ち受けているのかも知らずに——。


 ほんの少しだけ自信の光が宿っていた——。



 次回:ヒールフラワーの輝きと生還

 予告:命の花を守って帰る、それも冒険

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ