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【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第4章

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第54話 朝の市場と歩む一歩──日常の戦い

 リュークは宿を出ると、シャドウファングと共にギルドへ向かった。


 朝の光が街を照らし、通りには活気が戻り始めている。


 ギルドの扉を押し開けると、見慣れた喧騒が耳を打った。

 冒険者たちが次の依頼に備えて準備を整えたり、酒をあおったりしている。


「おう、リューク!」


 カウンターの奥からガルドが手を挙げて呼びかけてくる。


 リュークは軽く頷きながら受付へ向かった。

 エリナが柔らかな笑みを浮かべて迎える。


「お帰りなさい、リュークさん。依頼の方は?」


 リュークはポーチから魔石草を取り出して差し出した。

 エリナは手際よく確認し、帳簿に何かを書き込む。


「確かに受け取りました。依頼達成ですね。報酬はこちらになります」


 銀貨小5枚が手渡される。


 その重みを手のひらに感じながら、リュークは心の中で小さくガッツポーズをした。

 シャドウファングが鼻を鳴らして、こちらを見上げる。


「これで少しは懐が温まったな」

「お疲れ様です。次の依頼も確認されますか?」


 エリナが微笑みながら訊ねるが、リュークは軽く首を振った。


「いや、今日は市場に寄っていくよ。ちょっと試したいことがあってね」

「そうですか。お気をつけて!」


 リュークは軽く手を挙げると、カウンターを後にし、ガルドの元へと向かった。


「よお、ガルドさん。相変わらず元気そうだな」


 リュークがそう声をかけると、ガルドは豪快に笑いながら答えた。


「おう、リューク!お前も無事に帰ってきたみてえだな。どうだ、今回の依頼は?」


「ああ、魔石草の採取だったんだが、特に問題はなかった。シャドウファングも元気にしてる」


 リュークは隣に控えるシャドウファングの頭を撫でた。シャドウファングは気持ちよさそうに目を細めている。


「そいつはよかった。しかし、お前さんの相棒は本当に立派な魔獣だな。見惚れちまうぜ」


 ガルドは感心したようにシャドウファングを見つめた。


「こいつは頼りになる相棒だからな」


 リュークは誇らしげに答えた。


「ところで、何か面白い依頼はあったか?」


 リュークが尋ねると、ガルドは顎を撫でながら答えた。


「そうだなあ。最近はオークの討伐依頼が増えてるな。それと、ゴブリンの群れが街道に出没しているって情報もある。まあ、お前さんならどれも何とかなると思うがな!」


「オークか。ゴブリンも厄介だな。情報提供、感謝する」


 リュークはそう答えると、ガルドはにやりと笑った。


「どういたしまして。何かあればいつでも声をかけてくれよな!」


 リュークは軽く頷くと、ギルドの掲示板へと目を向けた。

 新たな依頼がないか確認するためだ。


 掲示板には様々な依頼が張り出されており、冒険者たちが真剣な眼差しで内容を確認している。


(さて、何かあるか……)

 リュークは掲示板に張り出された依頼を一つ一つ確認していく。


 その時、一枚の依頼書が目に留まった。


「……古代遺跡の調査依頼、か」


 リュークは興味深そうに依頼書を手に取った。

 古代遺跡には貴重なアイテムや魔法の知識が眠っている可能性がある。


 特に、ガルドたちに聞いた“スキル開放に必要な要素が、古代の遺物に関係しているという話も思い出される。


「もしかしたら……スキルを開くための何かが見つかるかもしれないな」


 古代遺跡……機会あれば、行ってみたいと思いながら、リュークはギルドを後にした。


 ◆市場散策

 ギルドを出ると、リュークは市場へ向かった。

 朝の光に包まれた街並みはどこか穏やかで、道端には様々な露店が立ち並んでいる。


 新鮮な野菜、焼きたてのパン、薬草を並べた屋台が賑わいを見せていた。

 通りを歩くたび、焼きたてのパンの香ばしい匂いや、ハーブの爽やかな香りが鼻をくすぐる。


 シャドウファングも興味深げに鼻をひくつかせ、たまに小さくくしゃみをしていた。


「さて、ポーションが売れるか試してみるか……」


 リュークはポーチから昨日作った簡易魔力回復薬の瓶を取り出して見つめた。


 中の液体は淡い緑色をしており、揺らせばかすかに光を反射する。


(品質は低いが、売れれば資金稼ぎになるかもしれない)


 まずは市場を見て回ることにした。


 朝の市場は人々のざわめきに包まれ、どこか活気に満ちている。


 野菜を抱えた商人、布を広げる仕立て屋、旅人相手に香辛料を売る老婆――


 そんな光景の中を、リュークと黒狼は静かに歩いた。


 店のひとつに、古びた看板がかかった薬草店が目に入る。

 リュークは意を決して扉を開いた。


「いらっしゃいませ」


 カウンターの奥から、初老の店主が顔を上げた。

 白い髭を指で撫でながら、リュークを品定めするように見つめる。


「何か探しているのかね?」

「実は、試作品を作ったので見ていただけないかと思いまして」


 リュークは瓶を差し出す。


 店主は興味深そうに受け取り、瓶を光にかざして中身を覗き込んだ。

 そして、ひとさじ液体を指先に取り、舐めてみる。


「ほう……悪くない。少し苦味が強いが、効果はある。これをどうするつもりだ?」

「売れますか?」


 店主は顎に手を当てて考え込んだ。


「うむ……この品質なら銀貨小2枚で買おう」

「本当ですか!?」


 リュークは思わず声を上げた。

 まさかこんなに早く売れるとは思わなかったのだ。


「この品質なら、冒険者たちには十分通用する。うちでも扱えるが……そうだな、ギルドでも買取の窓口があるはずだ。そちらでも試してみるといい」


「ギルドでも……?」


「ああ。需要があるなら、まとめて取引できるかもしれん。とくに君のような若い冒険者が作ったとなれば、話題にもなる」


 店主は小さく笑いながら、カウンターの下から銀貨を取り出す。


「これは試作品の分だ。銀貨小2枚でどうだ」

「……ありがとうございます!」


 リュークは深く頭を下げ、銀貨を受け取った。

 拳を握りしめる――これで、ひとつ前に進める。


(このポーション……価値がある。なら、もっと良いものを作って、次はギルドで売ってみよう)


 静かに決意を込めながら、店を後にした。


 店の外に出ると、朝の光はさらに眩しさを増していた。


 通りの屋台では、パン屋の少年が焦げたパンを慌てて並べ直し、花売りの少女が明るい声を上げていた。


 店主の声が背後から聞こえる。


 リュークは軽く手を振りながら歩き出した。


 ポーチの中の銀貨を確かめると、ほんの少しだけ未来が近づいた気がした。


「シャドウファング、今日は上出来だな」


 シャドウファングが鼻を鳴らし、リュークの横を歩く。


 柔らかな風が二人の間を吹き抜け、これからの新しい冒険を祝福しているかのようだった。


(もっと力を手に入れて……この世界で生き抜いてやる!)


 リュークの冒険は、まだ始まったばかりだった。


 次回:市場と記憶、はじまりの調合

 予告:日常の記憶が、薬を導く技術へ

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