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【メモリーバンク】異端者扱いされた俺が“量子の魔法”を使ったら世界が変わる――記憶もスキルも無かったけど最強になって行く。  作者: カイワレ大根
第2章

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第22話 暁の剣――初任務の幕開け

 受付嬢に案内され、リュークはギルドの一角へ向かった。

 そこには、すでに3人の冒険者が待っていた。


「お、君が合同討伐の参加者か?」


 声をかけてきたのは、赤髪の青年だった。

 明るい色の革鎧を身につけ、腰に下げた剣が微かに「チャリ」と鳴る。

 隣には、金髪の女性と、大柄な戦士風の男が立っている。


(この3人……どこか雰囲気が違うな)


 言葉を交わす前から、彼らの間に漂う空気に違和感ではない“気迫”を感じた。


 ただの寄せ集めではなく、実戦を共にくぐり抜けてきた者たちが持つ、見えない連携のようなもの。


「俺はガルド。このチームのリーダーみたいなもんだ」


 赤髪の青年が気さくに手を差し出す。


「リーナよ。よろしくね」


 金髪の女性が軽く笑みを浮かべ、落ち着いた声で応える。


「ザックだ」


 男は低く一言だけ言い、頷いた。

 無駄のない動きと、厚い前腕からは剣士としての重みがにじんでいる。


 リュークは彼らの名を聞いた瞬間、記憶が繋がった。


(暁の剣――この街では名の知れたパーティーだ)


 情報収集の際に耳にしたことがある。

 この3人は、高い実力を持ち、急成長している注目の冒険者たちだった。


「君は?」


「リュークです。よろしくお願いします」


 丁寧に頭を下げながらも、声には芯があった。


「お前、最近登録したばかりだろ?」


 ザックがリュークの冒険者カードをちらりと見て、肩越しに問いかける。


「ああ」


「……戦闘経験は?」


 短く問うザックの視線は、試すようでもあり、見極めるようでもあった。


「少しはある。まあ、実力はこれから見てくれ」


 リュークは静かに、だが揺るぎのない口調で答えた。

 その落ち着きが意外だったのか、ザックは口元を緩める。


「へえ、面白い奴だな」


 言葉とは裏腹に、そこにはどこか好意的な興味がにじんでいた。

 リーナとガルドも、ちらりとリュークとシャドウファングに目をやる。

 敵意でも不信でもない、むしろ一度“試してみたい”という目だった。


「じゃあ、行くとするか」


 ザックが背を向け、軽く手を上げる。

 こうして、リュークは暁の剣と共に初めてのギルド依頼へと向かうことになった。


 ◆初陣!ゴブリン討伐と実力の証明!

 ギルドでの打ち合わせを終えたリュークは、「暁の剣」のメンバーと共にギルドを出発した。


 道中立ち寄った道具屋で、爆裂玉や応急用の包帯、簡易罠に使う素材などを揃えておいた。

 最低限だが、戦闘に備える装備は整っている。


 ゴブリンの討伐依頼の指定場所は、ベルハイムから北へ少し離れた森林地帯だった。


「ゴブリンの目撃情報があったのは、この辺りだな」


 リーダーのガルドが地図を広げながら呟く。

 革の地図が「パサッ」と音を立てて広がり、指先でなぞられた位置に皆の視線が集まる。


 リュークはその隣で、水筒を取り出して一口だけ水を飲んだ。


「ゴクリ」


 と喉を通る冷えた水が、張りつめていた身体の緊張をわずかにほぐしてくれる。


「ゴブリンは群れで動くから、油断は禁物よ」


 リーナが慎重に周囲を見回しながら声を落とす。

 その目は常に周囲の動きに意識を張っており、足音一つにも気を配っているのが伝わってくる。


 ふと、リュークの肩にふわりと小枝が落ちた。

「ポサッ」という軽い音とともに、乾いた葉の破片が肩を滑り落ちる。


 リーナがすかさず手を伸ばし、手早くそれを摘み取って渡してくる。


「ほら、ついてる」


 口元にわずかな笑みを浮かべて差し出された枝に、リュークは小さく礼を言って受け取った。


 そのやり取りはほんの一瞬だったが、空気の張り詰めた中に、わずかな緩和と信頼が生まれる。

 そんな些細なやり取りすら、これからの戦いに向かう心を静かに整えていくようだった。


「……さて、新人の腕前を見せてもらうか」


 ガルドが鋭い視線をリュークに向ける。

 その目は、ただの好奇ではない。実戦を生き抜く者としての本気の見極め――まるで刃のように研ぎ澄まされていた。


 リュークはその視線を正面から受け止め、軽く息を吐いて静かに短剣を握った。

 革の柄が掌に馴染み、「ギュッ」とわずかに鳴る音が、覚悟を示すように響く。


(この依頼……単なる討伐じゃない。)


 ──そう、これは実力の証明の機会だ。


 ◆ゴブリンとの遭遇

 森の奥へと進むにつれ、辺りの空気が変わってきた。

 木々の隙間から差し込む光が徐々に薄れ、じっとりとした湿気が肌にまとわりついてくる。


 リュークは無意識に首元のスカーフを直した。

 重たくなった空気が、これから訪れる戦いの気配を静かに告げている。


「……近いな」


 ザックが低く呟き、リーナも静かに頷いた。


 リュークは短剣の柄に軽く指をかけつつ、隣を歩くシャドウファングに目をやる。

 黒狼はピクリと耳を動かし、わずかに唸り声を漏らした。


 その背筋には、明確な警戒が走っている。


(こいつも感じてる……)


 リュークは小さく息を吸い、ゆっくりと深呼吸を吐き出す。

 胸の奥で跳ねる鼓動を、自らの意志で静かに鎮めていく。


 その視線の先――茂みの影が、わずかに動いた。


「来るぞ!」


 ガルドが短く叫ぶ。

 その瞬間、ザックが身構え、剣に力を込めた。


 ──ガァァァッ!!


 草むらを「バサッ」とかき分ける音と共に、緑色の肌を持つ小柄な魔物が飛び出してきた。

 赤黒く濁った瞳を光らせ、錆びた短剣を振りかざして突っ込んでくる。


 ゴブリンだ!


「3体! こっちへ向かってくる!」


「やるわよ!」


 リーナが詠唱に入る。その声は凛と張り詰め、手の先に炎が収束していく。


「ファイアボルト!」


 放たれた火弾が「ボッ」と空気を裂き、先頭のゴブリンに直撃。


「ギャアアアッ!!」


 悲鳴と共に火花が弾け、ゴブリンの体が炎に包まれてのけぞる。

 黒焦げになった体が「ドサッ」と地面に倒れ込んだ。


「っしゃあ! 2体は残った!」


 ザックが前へと踏み出し、剣を構える。金属が「キィン」と高く鳴った。


 しかし――


「……俺がやる」


 リュークの声が、すっと空気を切った。


「シャドウファングは、牽制だ」


 静かに短剣を抜く。その刃が抜けるとき、「シュッ」と金属と革の擦れる音が微かに響く。


「……おい、新人。無理するなよ?」


「大丈夫だ」


 言い終えるや否や、リュークは一瞬の躊躇もなく、地面を蹴った。


「ダッ!」


 森の下草を「ザッ」と踏みしめ、リュークはゴブリンたちへと駆け出していく。


 次回: 初陣の一閃と、潜む巣の気配

 予告:初実戦。知識と直感が敵を穿つ。


読んでいただき、本当にありがとうございます!

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今後の執筆の大きな支えになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。



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